元ANAトップCAが見た、一流と二流の「決定的な差」

ファーストクラスでお目にかかった方々が皆さん一流だったかというと、残念ながらそうとは言えません。その違いはなにか?拙著『一流になれる人、なれない人の見分け方』から、一流の方々と、二流になってしまう人の違いを紹介します。

01.
一流の人は
人間ができている

Businessman

「できる」人と、「できた」人、この違いがわかりますか。仕事が「できる」人と、人間が「できた」人です。「できる」人でなければ、一流にはなれないと思います。けれども、仕事が「できる」だけでは、やはり一流にはなれない。人間が「できた」人にならなくてはいけないのです。

人間ができているけれど、仕事の方での活躍はいまいち、という人はいるのでしょうか。

おそらくいません。なぜなら、人間ができた人は、仕事を通じて自分が社会にいかに貢献できるか、社会のために何ができるか、ということを考えています。つまり、人間ができている人は、仕事もできる。これはセットのようなものなのです。

結局、「できる」人かつ「できた」人が、一流になれるのです。

02.
一流の人は
「なんでもいい」と言わない

「一緒に食事をしましょう」ということになって「何がいい?」と聞かれたとき、「何でもいいです」と言う人がいますが、これは絶対に言ってはダメです。相手に喜んでもらいたいから意向を聞いているのですから、なんらかのヒントになる言葉、前向きな言葉が欲しいのです。

たとえば「おいしい蕎麦を食べたいんですが、いい店をご存知でしたら連れて行ってください」とか、「大勢で食べるなら、中華などは楽しくていいですね」というように、状況に配慮した中で意思表示をすると、より気持ち良く話を進められます。

一流になれる人は、自分の要望をゴリ押しせずに、自分の意思を上手に伝えることのできる人だと思います。そうなるには、どんなことにも自分の意思をはっきり持つことが大事です。日常の些細なことも、なんとなくそうするのではなくて、自分はこうしたいという意思決定をする。それが、物事を迅速に決断できるようになるトレーニングになります。

03.
一流の人は
感動を言葉にする

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「もっと感動しましょう」と私が言うと、「そうそう感動することなんてないですよ」と言う方がいらっしゃいます。その反応自体が、すでに心の感度を鈍らせている証拠です。

感動するというのは、自分のことがポジティブに揺り動かされて発する感情です。その心の動きを言葉にして伝えると、人間関係が深まります。感動を表現する言葉、ポジティブな言葉を口から出すことを意識してみましょう。いまより絶対、人間関係が円滑になるはずです。

普段から意識して、ちょっと周りの人をいい気持ちにさせるポジティブワードを使うようにする。たとえば、「さすがですね」「なるほど、納得ですよ」「◯◯さんだけのことはありますね」などでもいいでしょう。そのうち、人のよいところに自然に気づくようになってきます。

本当の一流の人は、そういう気配りができる。気配りができるから、人を束ねられる。人がついてくるのです。

04.
一流の人は
目標を具体的にしすぎない

私は、目標だとか夢を具体的に持ちすぎていると、かえってそれにこだわってしまってマイナスに働くことが多いように思っています。「自分の目指しているものはこれだけ」という意識が強すぎると、そこにしか目が行きません。もっと面白いものや、もっといいチャンスが周りにあっても、気づかずに見逃してしまいます。

たとえばショッピングに行くとします。「今日はこれを買う」と目的を決めて、それだけを探すと、意外と気に入るものが見つからない、ということがありませんか。それよりは、ウィンドウショッピングのつもりで何気なく歩いていたら、ものすごく好きなものに出会えることがある。

心に余裕があって、広い視野で自分のセンサーに引っかかってくるものを見ているときのほうが、自分に合ういいものがよくわかるからだと思います。好奇心のドアは、いつも開けておく。そのことが、チャンスを呼ぶのです。

05.
一流の人は
いまの自分の役割を楽しむ

Complicated sketch

仕事に就くにあたり、こうなりたい、ああなりたいという夢は、みんなあると思います。夢を持つことはもちろん悪くないことですが、自分の憧れるポジションなんて、簡単に手に入るものではありません。社会とか組織というのは、そんなに甘くはないのです。

でも、将来というのはいまの延長線上にあるわけです。だから、いまやるべきことに全力を注がないといけない。いまの自分に与えられている役割の中で輝いていくことが、将来につながり、それが夢や目標に結びついていくのです。

一流と呼ばれるようになるまでの「雌伏の時代」が誰しもあるわけですが、そういう時代もその状況の中で楽しんでいる。逆に言えば、そういう発想のできる人が、一流になっていくのです。

06.
一流の人は
どこでも自分の世界に入り込める

一流のエグゼクティブの方は、皆さん基本的に非常にタフです。周囲が多少ガヤガヤしていてもあまり気にされない方が多い。どんな状況にあっても自分は自分というスタンスで、すっと自分の世界に入り込めるようです。

ファーストクラスにお乗りになるエグゼクティブの方を見ていても、それぞれの自分の過ごし方のスタイルができています。「こっちから声をかけるまで起こさないでください」と言ってお休みになる方、「食事はこれとこれだけでいい」「飲み物のオーダーも聞いてくれなくていい」とおっしゃって、持ち込まれた本を何冊もずっと読みふけっている方もいます。

やはりビジネスの現場で、タフなネゴシエーションの経験をいろいろ積んでいるからではないでしょうか。自分の周囲に見えないエアカプセルがあって、それをすっと下ろして自分の世界に浸ってしまうような印象です。そういうすごい集中力を持っている人が多いような気がします。

07.
一流の人は
お坊さんの本を読んでいる

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エグゼクティブの方々は機内でどんな本を読んでいるかというと、意外にお坊さんの書いた本が多いですね。ビジネス書を読んでいる方はほとんどいません。

エグゼクティブにお坊さんの本や禅などが好まれるのは、やはり心をリセットし、メンタルを整える必要性をそれだけ感じているからだと思います。

ビジネスの世界で勝ち抜いていくというのは、担うものが非常に多いわけです。決断、競争、ネゴシエーション、そういう中で落ち込んで悩んでしまったり、打ちのめされてしまったりすると、メンタル的に潰れてしまいます。

自分の心を整える術を知っているということは、現代のようなストレス社会を生きて行くためには大切なことです。

一流になれる人、なれない人の見分け方
コンテンツ提供元:里岡美津奈

里岡 美津奈/Mitsuna Satooka

人材育成コンサルタント。1986年全日本空輸株式会社(ANA)に入社。在職中、VIP特別機搭乗を務め、皇室、各国元首脳の接遇で高い評価を得る。2010年に退職。現在は人材育成コンサルタントとして、一般企業や病院でコミュニケーションスキルアップの指導にあたっている。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。