元ANAトップCAが語る、本物の「リーダーシップ」とは?

ある程度のキャリアを積めば、誰しも「リーダー」という立場に立たされるもの。とはいえ、自分にはリーダーシップなんかないし、向いていないと感じる方も多いと思います。しかし、リーダーだからと言って気を張る必要はありません。

「リーダー」はリーダーシップを発揮してみんなを引っ張っていくのではなく、チームのみんながそれぞれの力を発揮できるように調整するのが仕事。

ここでは、拙著『誰からも好かれる女(ひと)の人と運を引き寄せる習慣』から、リーダーに本当に必要な能力を紹介します。リーダーって、意外と気楽なものなのですよ。

01.
苦手なことは
遠慮なく人に頼る

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入社して4年目、私は国内線のチーフパーサーになりました。チーフパーサーはその便の客室のトップ、責任者です。十数人のCAを率いるチームリーダーになるわけですが、気負いはありませんでした。クルーを引っ張っていくのではなく、経験の浅い私に協力してもらおうと考えたのです。

チーフパーサーはいちCAよりも役職的には上ですが、ある程度の年数を経験すれば誰でも就く役目です。立場は上になっても、他のCAより優秀だというわけではありませんから、苦手な部分は後輩に頼るという方法をよく取っていました。適任のクルーが担当したほうがスムーズに進むのは当然です。

昇格すると責任の重さやプレッシャーから、高圧的な態度を取る人もいます。組織の中でのポジションが上でも、命令されると人は気持ちよく動けません。また、しっかりしなければと思うあまり、なんでも自分でやろうとしすぎて空回りしてしまいます。チームを統括する立場になったら、自分1人でがんばるよりもスタッフの力を借りてミッションを成功させようと考えましょう。

自分もスタッフも満足しながら、お互いに力を発揮していく。それがまたよい運を引き寄せるベースになるはずです。

02.
優しい気持ちが
自然な笑顔を引き出す

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接遇者にとって、笑顔はウェルカムの気持ちを表現するために欠かせないものです。しかし、仕事の手順で頭がいっぱいだったり、お客様の対応に追われていたり、プライベートの心配事を抱えているときは笑顔が出せなくなっています。

私はチーフパーサーになって、今日のクルーはスマイルが足りないなと感じたときには、こうアドバイスしていました。

「口角を上げて笑顔をつくるのではなく、優しい気持ちでお客様の目を見つめてごらんなさい。それだけでもう自然に微笑んでいるものよ。目の前にいらっしゃるお客様と心を通わせるんだと思えば、絶対に笑顔になるわよ」

実際、無理に笑おうとすると、ぎこちない「つくり笑顔」や「営業スマイル」になってしまいます。しかし、1人ひとりのお客様としっかり目を合わせ、アイコンタクトを取れば、この方に喜んでいただきたいという気持ちがおのずと湧いてきます。その心が笑顔につながるのです。

職場の人々と心を通わせ、目の前にある仕事を丁寧にこなす。そうすると少しずつ信頼され、よい運が舞い込んでくる下地が完成します。

03.
ブレイクタイムをフル活用して
孤立した人を作らない

Group Friends Chilling Talking Holiday Concept

乗務のあとに、みんなでブレイクタイムを楽しむことも、日頃から心がけていました。コミュニケーションが生まれ、孤立しがちなクルーにも気を配ることができるからです。

私はクルーが孤立しないように気をつけていますが、それは自分自身もそういう立場になるのはいやだからです。

人の悪口、陰口が聞こえてくるような職場には悪い「気」が流れているように思います。私は自分がいる場所はいい「気」で満たしたいと考えていますから、仲間はずれのスタッフがいたり、マイナスの気持ちの人が周囲にいることを避けたいのです。

無理に仲良くはしないけれど、その人がいたたまれない気持ちにならないように、声をかけたり、気を配ることはできます。悪い「気」は寄せ付けないという精神で、スタッフとは全方向で交流しましょう。

04.
「評判」で
部下を判断しない

Gossiping in office

CAは毎回違うクルーと一緒に仕事をします。ですからチーフパーサーをしていると、ウワサを含め、たくさんの情報が入ってきます。例えば、「今日のフライトで美津奈さんとご一緒するあの人、ホントにダメ。注意したほうがいいですよ」と耳打ちされたりします。

でも、まだ一度も一緒にフライトしたことがないのに、彼女の仕事ぶりは判断できません。本来の能力を出す以前に、モチベーションが低いまま、フライトにのぞんでほしくないのです。

それまでの評価はどうであれ、今回のフライトで何かを学んでほしい。チャンスを与えるから、開花するきっかけをつかんでほしいというのが私のポリシーでした。実際、情報が先行して、やらせないからできない、できないからやらせてもらえない、という悪循環におちいっている場合も少なくありませんでした。

失敗やミスを指摘するだけでなく、小さな仕事から任せ、クリアできたらほめる。いいアイディアや工夫に気づいたら、きちんと口に出して認め、自信を持たせる。こうしたフォローを忘れてはなりません。

また、新人はなにかと気をつけてもらえますが、キャリアを積むごとに評価される機会が少なくなりがちです。キャリアに関係なく、いい点は積極的にほめましょう。

05.
適材適所で
スタッフ全員を巻きこむ

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リーダーだからといって、他のスタッフよりすべてに秀でる必要はありません。たとえば、私よりアナウンスが得意な人、ギャレーワークが上手な人はたくさんいました。そのフライトがよくなることを考えたら、できる人にやってもらうのが一番です。

チーフパーサーはそれをオーガナイズするのが仕事。気負う必要も全くありません。各クルーの得意分野を早い段階でつかんでおくほうが大事です。役割分担が仕事だと割り切ってしまえば、むしろ、自分のウィークポイントを見せて、スタッフにがんばらせたほうがいいくらいです。

全体を大きな視点で見渡し、スタッフを動かすことで、新しい目で業務を見ることができます。いちスタッフでは気づかなかったポイントに気づけると、あなたのスキルも上がり、成長につながります。

リーダーになったばかりのときは緊張しますし、プレッシャーを感じるもの。ですが、「多少失敗しても、お客様に迷惑をかけず、無事目的を達成できればいい」くらいの気持ちでいれば、ずいぶん気がラクになるものです。

あなたという人間に共感してもらい、スタッフを巻きこむ気持ちで取り組んでください。

誰からも好かれる女(ひと)の人と運を引き寄せる習慣
コンテンツ提供元:里岡美津奈

里岡美津奈/Mitsuna Satooka

人材育成コンサルタント。1986年全日本空輸株式会社(ANA)に入社。在職中、VIP特別機搭乗を務め、皇室、各国元首脳の接遇で高い評価を得る。2010年に退職。現在は人材育成コンサルタントとして、一般企業や病院でコミュニケーションスキルアップの指導にあたっている。

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