35歳からの心と体の整え方。しなやかに生きるための「7つのヒント」

35歳という年齢は、自分にひたひたと押し寄せ始めた「経年変化」に初めて意識を向ける時期です。精神的にも体力的にも変化の訪れを感じるでしょう。そんな年代だからこそ、心と体のバランスを整え、スタミナを上手に回すことを考える必要があります。ここでは、『35歳のチェックリスト』(光文社新書)より、この年齢からの心と体の整え方を紹介します。

01.
「経験知」を有効活用する

35歳くらいからは、体力に自信がなくなってくる分を、知性と経験でカバーすることができるようになってくるでしょう。さまざまな経験を繰り返す中で、何を優先させたらいいのか、どこにどのくらいの力を配分すればいいのかが見えているので、無駄の少ないエネルギー投入ができるようになるのです。経験に基づいた知恵を利用して、体力のロスを減らすイメージです。

ただし、その「経験知」をどれだけ有効に活かせるかは状況適応力によります。変化を前向きに受け止め、柔軟に自分を「馴化(じゅんか)」させる意識を持ち続けることが大事です。優れたビジネスパーソンは状況適応力に長けているものです。

02.
行動をパターン化して
余計な動きをなくしていく

習慣の力を活用して効率性を向上させることは、35歳以降の仕事において大きな強みになってきます。型を決める、やり方や段取りを決める、時間を決めるなど、自分なりのルールを作って習慣として行うように決めてしまう。あとは習慣の力を利用して同じパターンで継続するのです。常に同じ環境を作り、そこに体をセットするイメージを持ちましょう。

そうやって体を習慣の中にセットできるようになると、自動化する部分が多くなってくるので、余計な動きがなくなり省力化できます。このような「習慣の束」をどんどん増やし、仕事量を習慣で分散させていくことによって、疲れを軽減することができます。

03.
脳内シミュレーションをして
ペース配分をつかむ

無理をせず、しかしスピードを落とさず、本質を見逃さずに周りの人をうまく巻き込んでやっていく。そのために大事なのはペース配分です。スケジュール帳は予定を忘れないように書き込むだけではなく、それを見て脳内シミュレーションをしながらペース配分をすることで機能します。移動の時間などを使って、自分のスケジュールを見渡す時間を設けましょう。自分の行動の流れや実際の時間の組み立て方をプランニングするのです。

そうすることで、ウォーミングアップができている状態になり、体も準備をするようになります。効率的に動けますし、予測できているので体力の消耗を減らすことにもつながります。

04.
やるべきことを小分けにして
コンスタントにやり続ける

自分を過信して無理をしない。これは35歳からの大切な自己調整法です。100キロの荷物を無理して持ち上げようとするのではなく、50キロを2回、場合によっては20キロを5回にする方がダメージは少なく済みます。小分けにしてコンスタントにやり続けることが、安定して仕事をしていく鉄則です。疲れた頭や体でやり続けるよりは、「今日はここまで、続きは明日」と小分けにする方が、かえって効率が上がり疲れも少ないでしょう。

さらに、ひとつのことにかける時間を減らすことで、逆に一日に多くのことを処理できるというメリットもあります。複眼的にバランス良く進めて行く方が手際も良くなります。

05.
「区切り」の一歩手前でやめる

小分けで仕事を進めると、たいがい区切りがいいところまでやっておこうとしますが、この「区切り」が実はあまり良くありません。コンスタントに新しいものを生み出す意識を継続させていくには、区切りのいいところまでやりきるよりも、「もう少しやりたい」というところでやめておく。区切りがいいところまでやってしまうと、やりきった気持ちから、せっかく入ったやる気のスイッチが一旦オフになってしまいます。

エンジンが冷えた状態からでは、立ち上がりに時間とエネルギーがかかります。やる気のエンジンが温まりやすいように、少し心残りがあるくらいの余力を残しておくほうがいいのです。

06.
外の世界と
“つながらない”時間を持つ

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インターネットやスマートフォンの普及で私たちは、いつでも連絡が取れる、いつでも外界とつながっている状態にあります。それは意識が拡散しやすく、今やるべきことに集中しにくい状況でもあります。ときには、自分の判断で外界との接触を断ち切って集中する、没頭する時間も必要です。

たとえば、「これを何時までにやる」と決めて、その時間内は外の世界とのやりとりを隔絶し、やるべきことだけに集中する。そういう時間を持つようにすることが、集中力を高めて効率良く、メリハリの利いた生活をしていくためには重要です。まず必要なのは、外の世界を締め出す「勇気」を持つことです。

07.
好奇心にブレーキをかけない

人間は何歳になっても好奇心を持って脱皮し続けることが大切です。外部からの刺激を取り入れながら新陳代謝を繰り返して生きていくのです。好奇心を失った時点から、人はどんどん老け込んでいってしまいます。今の30代、40代の人たちには、外見や肉体的にはまだまだ若くても、頭が固いという印象の人も意外にいるようです。固着してディフェンシブになりすぎることは、自分が停滞していくだけではなく、組織の力にもブレーキをかけてしまいます。

たとえば、休日にもただ休むだけではなく、自分が楽しいと思える何かをして刺激を受けることが、ある意味、精神のリフレッシュになるのです。

35歳のチェックリスト
コンテンツ提供元:光文社

齋藤 孝/Takashi Saito

明治大学文学部教授。33歳までは安定収入がない苦労続きの人生を送っていた。現在は、大学や企業での講義のほか、執筆、テレビ番組へのコメンテーター出演など、多忙な毎日を送る。著書は『座右のニーチェ』(光文社新書)、毎日出版文化賞特別賞を受賞したベストセラー『声に出して読みたい日本語』(草思社)など多数。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。