健診・人間ドックなんていらない!?「薬を使わない薬剤師」が一刀両断。医療の新常識5つ

私たちは、健康診断を受けたりサプリメント薬を摂取することで、元気な体を保とうとします。けれど、生活習慣を改めない限りは、真の健康を維持することもできません。そして、場合によっては検診が逆効果になることもあるんだとか。宇田川久美子さんの著書『薬を使わない薬剤師の「やめる」健康法』(光文社)より、薬剤師の観点で鋭く迫った新常識を紹介したいと思います。どれも、意外なものばかり。

01.
メタボ健診へ行くと、
みな病気にさせられる!?

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2008年4月から、40歳以上を対象に「特定健康診査・特定保健指導(通称メタボ健診)」が行われています。メタボのもとになったのは、1989年にアメリカで提唱された「死の四重奏」という概念。「上半身肥満、高血圧、高血糖、脂質異常」が合併した状態をさします。

日本では医療費を抑えるためには生活習慣病予防が大事だ、と厚生労働省が2000年から「健康日本21」というプロジェクトを開始。死の四重奏を参考に定められたのが、メタボリックシンドロームの診断基準でした。

つまりメタボとは、生活習慣病予防のための基準であり、基準値を超えている人をサポートするというのが、メタボ健診の目的なのです。ところが、蓋を開けてみれば、病気かそうでないかの線引きのための数値と化してしまいました。医療費を抑えるどころか、健診によって”病人”が大量に作られ、医療費が高騰したというわけです。

02.
健診・人間ドッグは、
生活習慣を見直す
イチ材料にすぎない

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お酒もタバコも大好き、睡眠不足で食事も不規則…そういう人に限って、「大丈夫。検査結果はAだから」とか「年に2回人間ドックに入っているから平気」と答えるのです。

私としては、いわば不摂生な生活を”許可してもらう”ために健診や人間ドックを受けるくらいなら、受けない方がいいと思います。健診結果が基準値内に収まっていても、不摂生を続けていれば、必ずどこかで負荷がかかってきます。人間はスーパーマンではないのです。それに身体の不調がすべて測定できるわけではありません。知らないうちに何か深刻なことが進行している可能性もあるわけですから。

健診を受けるのは、だらしない生活を自分に許したり、数値に一喜一憂するためではなく、生活習慣を見直す材料なのです。

03.
「がん検診」が高める
がん発症のリスク!?

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あなたは毎年がん検診を受けていますか?受ければ早期発見できて、がんで死ぬ可能性が低くなると思うからでしょうか?けれども、頻繁に検診を受けるのはやめた方がいいと、私は思います。その理由の一つは、がん検診そのものが危険だからです。

がん検診には多くの場合、放射線や電磁波が使われます。レントゲンやCT、マンモグラフィー、PETなどは放射線を使う検査ですから、放射線に被爆することであり、頻繁に受ければ当然発がんの危険性が高まります。

なかでも、CTやMRIなどの検査機器は、年々精度が高まっています。それだけたくさん放射線や電磁波を浴びるということです。病院で「今度、新しい機械が入りました。とてもきれいに撮れますよ」などといわれると、嬉しくなる人もいると思いますが、私は恐いと思います。

04.
病気の原因は
遺伝が3割、環境が7割

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日本でも遺伝子検査が流行っていて、自宅で唾液を採取して郵送すればOKという、手軽な検査キットが販売されています。検査項目は各種がんをはじめ、高血圧や心臓病、脳梗塞、糖尿病などの生活習慣病、肝炎やアトピー性皮膚炎、花粉症など300近くに及んでいます。

しかし、遺伝子検査をしなければ、生活習慣は改善できないのでしょうか?胃がんになりやすい遺伝子があると知らなくても、暴飲暴食や塩分の強いものや辛いもの、お酒を控えたほうがいいことはわかります。その病気になりやすい遺伝子があってもなくても、メチャクチャな生活をしていれば病気になりますし、病気を防ぐなら生活習慣を改善すればいいだけのこと。

そもそも、病気の原因は平均的に「遺伝が3割、環境が7割」と言われています。つまり、後天的な生活や環境の方が病気への影響は大きいと言えるのです。

05.
骨粗鬆症の薬を飲んでも
骨密度は上がらない

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骨粗鬆症と診断されて薬を飲んでいる人の大部分は、何の症状もないのに、病院に行って測ったら骨密度が低かったという人たちです。そもそも、70代、80代の人に、20代、30代の人と同じ骨密度が必要だという根拠がわかりません。そして、骨粗鬆症の薬には、非常に副作用の強いものが多いのです。たとえば、ビスフォスフォネート製剤と呼ばれる薬は、空腹時に飲まないと効果がないとされています。これでは胃潰瘍や十二指腸潰瘍を引き起こす危険性があるのは否めません。

骨粗鬆症の薬は、骨密度の減少を抑えるものです。飲み始めたら一生飲み続けなければなりません。その上、骨粗鬆症そのものを治すわけではありませんから、これらの薬を飲んで骨密度が上がったという人を、私はほとんど知りません。

薬を使わない薬剤師の「やめる」健康法
コンテンツ提供元:光文社

宇田川久美子/Kumiko Udagawa

一般社団法人国際感食協会理事、㈲ユアケー代表取締役、薬剤師・栄養学博士(米AHCN大学)、NPO法人統合医学健康増進会理事。医療の現場に身を置きながら、薬漬けの治療法に疑問を感じ、「薬を使わない薬剤師」をめざす。感じて食べる「感食」・楽しく歩く「ハッピーウォーク」を中心に、薬に頼らない健康法を多くの人々に伝えている。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。