マリネなんて意味がない!?達人が「バーベキューあるある10選」を科学的にバッサリ

Meathead Goldwynさんは、世界で最も有名なバーベキューサイト「Amazing Ribs」の編集者で、科学的な観点から調理法などを紹介する『Meathead, The Science of Great Barbecue and Grilling』を上梓した、いわばバーベキューマスター。その彼が、「バーベキューでやってしまいがちな10の勘違い」を科学的に説明しています。

01.
手をかざしたって
温度はわからない

プロの料理人もよくやっているけれど、全くもってナンセンス。コンロの上で手を広げて「1001、1002…」なんて、燻製になっちゃう。人それぞれ熱いと思う感覚は違うでしょ。

02.
グリルを熱くしても
肉に火は通らない

グリルで表面をよく焼きたい時は、「直火」と、対流熱で火を通す「遠火」ができるように2つの温度を準備しよう。ガスの場合は片方の火を消しておく。炭火の場合は片方に炭を寄せて、もう片方は開けておく。これで温度コントロールができる。

厚く切った肉を焼くのにいい「リバースシール」っていうテクニックを紹介しよう。これは、だいたいの厚切りの食べ物には使える。まず、遠火の方でゆっくりと温め、煙であぶる。これで、スパイスからは得られないエレガントな香りが付くんだ。ゆっくり肉を温めることで酵素が働き、肉を柔らかくしてくれる。

03.
表面から焼いても
肉汁は漏れていく

肉は約70%が水分で出来ていて、そのほとんどが数千ある細長い筋組織の中に閉じ込められている。肉を温めると、その肉汁を絞り出していることになるんだ。調理中に垂れたり蒸発するけれど、それは止められない。ジュージュー聞こえるのがいい?それは熱された金属に水が落ちているだけだよ。

茶色く表面が固まった肉はとても美味しそうに見えるけれど、ただ高熱で表面が乾燥しただけ。表面を焼いたものとそうでない肉を同じ温度で料理した結果は、表面を焼いた肉のほうが軽かったんだ。

04.
マリネは
肉を柔らかくしない

表面だけにしか意味はないよ、特に厚く切ったものにはね。肉はたんぱく質のスポンジに水分が染み込んだもの。他に水分が入る余地なんてないのさ。味の分子に関して言うと、塩は水分を含むと細かくなって肉の中まで浸透するんだけど、砂糖やにんにく、こしょうなどは分子が大きいので表面の毛穴から入っていかないんだ。一晩置いたとしても、2cm以上浸透することはほぼない。

05.
肉から出てくる
ピンク色の液体は
血ではない

肉汁って、単に水分と色のついたたんぱく質・ミオグロビンから出来ているんだ。この成分、決して血流からは見つからないよ。もしそれが血だったら、君の血の色と同じ濃い赤のはず。この液体のことを「血」って呼ぶなら、ティーンエイジャーはベジタリアンになっちゃう。

06.
チキンから透明の液体が出ても
火が通ったとは限らない

これを信じていると、焼き過ぎたり、運が悪いと一晩トイレにいることになったり、さらに良くないケースだと救急室で過ごすことも…。肉汁は、さっきも言ったようにミオグロビンだ。この成分は調理されると構造が変わり、分子が変化してピンクじゃなくなる。でもね、ミオグロビンの色が変わるのに、決まった温度はないんだ。

それよりも大切なのは、筋肉のpH値。遺伝子によっても違ってくるし、屠殺された時のストレス、気温なんかも関係してくる。いろんな要因が重なるから、一概には言えない。でも、肉が低温殺菌法で処理されていれば、80〜85度で調理しても、肉汁がピンクでも大丈夫。

つまり、色で判断するのは危険。大切なのは温度。

07.
まめにチェックしたって
何も変わらない

ひんぱんにオーブンを開けたりしてない?そんなことしても何にも変わらないよ。せっかくのあったかい空気が外に出ちゃう。このあったかい空気が肉の外側から内部までじわじわ火を通してくれているんだ。肉は70%が水分で出来てるって話はしたよね。水分は空気より保温率が高いんだ。

ボストン大学のグレッグ・ブロンダー物理学食品学博士のテストによると、ドアを大きく開けた時、肉の表面温度には少し影響があったけど、内部の温度には何の影響もなかったんだ。つまり、オーブンで焼くなら温度計を刺して、ただ待つのみ。

08.
「煙もくもく」は
意味がない

多ければいいってもんじゃないんだよ。煙は細かい粒子と、小さくて熱い、早く燃えている火で出来ているから、周りが見えなくなるんだ。白い煙は空気が欠乏していることで起きる現象。青い煙は食べ物の味を良くしてくれるよ。

09.
「BTU」は
熱さと比例しない

BTUーこれは主にアメリカで用いられている熱量の単位で、英熱量と呼ばれる。

この計算は、圧力、栓の開き、種類などを元にしている。BTUが高いほど燃料が必要になるけれど、熱くなるわけじゃない。

ものすごくスピードが出る車で買い物に行ったとしよう。1キロあたりのガソリン量って、その車の速さを表しているわけじゃないよね。そんな感じ。

10.
網にオイルを塗っても
肉はくっつく

たくさんのバーベキュー本に書いてあるけど、うまくいく時とうまくいかない時があるんじゃないかな?これは、網の温度と関係してるんだ。

さっきのブロンダー博士によれば、油を網に塗った時、油が煙になる温度より低い場合、たんぱく質と脂肪をはがすのに役立つけれど、煙になる温度を超えてしまうと、油はほぼ瞬時に炭化するのだそう。これが、網と肉をくっつけてしまう原因なんだって。

Licensed material used with permission by AmazingRibs
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