たまねぎのように甘くて辛い人生を!人気哲学者に学ぶ「心のトリセツ」

「人間はたまねぎであるーー」。こう定義するのは、パリ発祥の市民の哲学討論の場である「哲学カフェ」を国内で主宰し、市民のための開かれた哲学を実践している、小川仁志氏。今回は、彼の著書『人間はたまねぎ(自分の心の取扱説明書をつくろう!)』より、その所為を紹介します。

人間は感情という“皮”を
身にまとっている

あなたが人間だと言える理由は何ですか?手足がついているから?考えることができるから?

じゃあ、人型のAIロボットも人間ですか?違いますよね。AIロボットになくて人間にはあるもの…それは“感情”です。

この、私たち人間にしか備わっていないすばらしい機能には、たとえば次の7つの要素があります。

・達成感(〜できた!)

・義務感(〜しないといけない)

・罪悪感(〜してしまった)

・親近感(〜といると落ちつくなあ)

・嫌悪感(〜を受け入れられない)

・劣等感(どうせ私は〜)

・幸福感(幸せだなあ)

これらの皮を身にまとい、本当の姿を隠し、まるでたまねぎのように存在しているのです。

しあわせは
皮を1枚1枚むくことから

世間一般では、西洋哲学の影響で「感情は理性によって支配されている」という発想になりがちです。

でも、果たして本当に感情は理性のシモベなのでしょうか。あるいは、感情がシモベたる状況が望ましいのでしょうか。

大切なのは、感情の本質をよく知り、それらとうまく付き合いながら、自分のために使いこなすことです。そうして初めて、私たちは幸福に生きられるのです。

私たちは何かをするたび、また何かをするために、さまざまな感情を抱きます。

その感情を使いこなせないようでは、振り回されるだけで、決して幸福にはなれません。自分の心の取扱説明書をつくる必要があるのです。まるでたまねぎの皮を1枚1枚むくようにして。

あなたの皮を剥くと、そこにはいったいどんな自分が立っていると思いますか?

たまねぎをむくと
涙が出るワケ

もし人間が、感情の皮に覆われた「たまねぎ」のような存在だとしたらどうでしょう。実際、たまねぎの語源は人間の頭に由来するという説もありますが、きっと11枚の感情の皮をむく作業によって、切ない人間の姿が現れてくるに違いありません。

だって往々にして私たちは、日ごろ感情によって自分を繕ったり、本音を隠したりしているのですから。

ただ、本当にしあわせになるためには、その涙が必要です。最後の1枚を剥がし終えた時、感情を使いこなし、甘くて辛いたまねぎのように味わい深い人生を手に入れることでしょう。

『人間はたまねぎ』小川仁志・著

私たちは7つの感情を、皮のように身にまとって生きています。まるで、たまねぎのように……。著者累計80万部を超え、京大→商社マン→フリーター→公務員→哲学者という異色の経歴をもつ著者が、わかりやすく、おもしろく、その7つの感情の皮を剥がす旅へと誘います。一番身近なのに、実は知らないことだらけだった“自分”をまるごと使いこなしましょう。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。