「息子へ、君に伝えたいことがある」。父から贈る、よりよく生きるためのヒント。

18世紀のイギリスで、著名な教養人の一人と称され、大使、閣僚としても活躍したフィリップ・チェスターフィールド卿。一人の男性として、そして、父親として、最愛の息子に人生の心得を説きました。

彼が息子に贈った手紙をまとめた『わが息子よ、君はどう生きるか』は、父親から息子への限りない愛情と人間知に満ちた、書簡集の最高傑作。人生論の名著として、世界で1,100万人もの人々に読み継がれてきました。

その中から、私たちにも参考になる、よりよく生きるためのコツをご紹介します。自分自身を磨き、よりよい人間関係を築くための極意を学びましょう。

知らないふりをしていよう

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知らないふりをするということは、往々にして大変役に立つ知恵ではないだろうか。たとえば、個人的に対する中傷などは、耳にタコができるくらい聞かされていても、話している相手が心の許せる親友でもない限り、聞いたことがないというふりをするくらいでちょうどいい。こういう場合、聞く側も話す側と同じくらい悪いと思われ、品位を下げてしまうのが常だからだ。

いつも何も知らないということにしておけば、ひょんなことから、ほんとうに知らなかった情報が完璧な形で入ってくることがある。それ以外にも、情報を入手することに無関心とみなされ、陰謀や悪だくみには無縁の人物のように思われる得もある。

知らないふりをするのと反対に、当然すべてを知っているようなふりをするのも、時には効果がある。こういった、生活の知恵のようなものを上手に使いこなすには、身の回りの出来事に意識を向け、常日ごろから冷静でいなければならない。君にとっては、社会は戦場と変わらない。ちょっとした不注意、ちょっとした心の油断が命取りになるのだ。

人とのつながりも実力のひとつ

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社会において、人とのつながりは必要不可欠だ。関係を慎重に構築し、それをうまく維持できれば、そこに関与する者の成功はまちがいないだろう。

コネといっても、2通りある。まずは、対等な人間関係だ。これは、素質も力量もほぼ似通った2人の人間が構築する関係で、自由な交流が行われる。お互いの能力を認め合い、相手が自分のために進んで尽力してくれるという確信なくしては成立しない。

もうひとつは、対等でない関係だ。地位や財産が片方にあり、もう一方に素質や能力があるという場合がそれだ。この関係では、恩恵にあずかれるのは片方だけで、こういう人を巧妙に操れれば、恩恵を受ける側に大きな利益をもたらすことが多い。

物腰は柔らかく、意志は頑固に

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物腰を柔らかく、意志を頑固にすることは、人生のあらゆる場面で君を助けてくれるだろう。両方が揃っていることが望ましいが、そういう人はなかなかいない。

このふたつを併せ持っていると、どういう利点があるのだろう。たとえば、誰かに命令を下すとき、冷静かつ強固な意志を示すだけでなく、それを優しさでくるんで、相手に余計な劣等感を抱かせないように、できるだけ気持ちよく命令に従ってもらえるような配慮ができる。

そのとき、けっしてあとへは引かないねばりと、品位を失わない執拗さで、意志がいかに強いかを示すことが肝心だ。感情が高ぶって、思慮に欠けたことや、ぶしつけなことを口走りそうになったら、自分を制して、物腰を柔らかくすること。落ち着くまで黙し、表情の変化を読み取られないように神経を集中させよう。

どうしても妥協しなければならない時が来るまで、一歩も退いてはいけないし、折衷案も受け入れてはいけない。しかし、どうしても妥協しなければならない場合は、抵抗しながら、一歩ずつ退き、穏やかな態度で相手の心をつかむ。このように貫き通せば、少なくとも、相手の思い通りにはならない。

一方、他人の意見がまちがっていると思うときは、はっきりそう言うべきだ。そのとき、表情、話し方、言葉の選び方、発声、品位、それらをすべてを柔らかく、優しくしなさい。そうすれば、君の物腰は柔らかくなり、それに加え、意志の強さも一本通れば、人々の心をひきつけることはまちがいない。

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