お金がなくても、愛されなくても、大丈夫・・・アラン先生の「絶対に幸せになれる授業」

五百田達成さんによる実用エンタメ小説『アラン先生と不幸な8人』は、日本中から集められた不幸な高校生が、『幸福論』の著者・アランの化身である亜蘭幸男(あらんさちお・通称 アラン先生)によって、幸せになるためのヒントを与えられる物語。

命の大切さがわからない「自殺男」や人間関係がうまくいかない「人嫌男」など、さまざまな生徒に「幸せ」について説いていく本書には、たくさんの知恵がちりばめられています。今回はそのなかから、何をやっても「不幸」としか感じない校長先生と、アラン先生のやりとりを紹介します。

幸福を測る「ものさし」は
今の自分がどう感じるか

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ある日の放課後、アラン先生は校長室に呼び出された。日本中の不幸な高校生が集まる同校だが、アラン先生によって彼らは幸せになり、目もイキイキと輝いている。校長(=不幸男)は、そのことについて彼に抗議するつもりのようだ。

アラン 失礼します。

不幸男 どうして呼ばれたか、わかっているかね?単刀直入に言おう。生徒たちへの妙な啓蒙活動を即刻やめてもらいたい。

アラン 妙な啓蒙?なんですか、それは?

不幸男 とぼける気か?最近、熱心に生徒たちと話しているだろう。そして、キミのお気楽で行き当たりばったりな人生訓を垂れているそうじゃないか。

アラン 嫌だなぁ、人生訓なんて大げさですよ。世間話の延長で、ちょっと生徒の悩み相談に乗っただけです。でも悩み相談にのることの何がそんなに問題なんです?

不幸男 キミが生徒と話をするせいで、影響された生徒たちがどんどん不幸でなくなっている。この高校がどんな目的で設立されたのか、キミだって知っているだろう。

アラン 「他人の不幸は甘い蜜政策」ですか? バカバカしいですよね。不幸な子どもたちの生活を全国放送することで、国民に「自分はこの子たちより幸せだ」と感じさせるなんて。そもそも計画自体に無理があるんですよ。

不幸男 なんだって?

アラン だってそうじゃないですか。世の中の不幸の大半は、本物の不幸なんかじゃない。不幸になるほどの深刻な理由もないのに、物事を悪い方向に考え続けることで、自分で自分のことを不幸に陥れているだけの「偽物の不幸」です。

不幸男 偽物?

アラン はい。つまり、この学校の生徒の不幸度も、それ以外の国民の不幸度も大差はない。うちの高校の生徒が、人よりちょっと不幸に敏感で、より強く「自分は不幸だ」と思い込んでいただけの話です。

不幸男 そんなはずはない!私が日本全国から選り抜きの不幸な生徒を集めたんだぞ。みんな不幸だよ。不幸のエキスパートさ!少しくらい前向きになったって、事態は何も変わらない。彼らはきっとまた不幸になって、前よりも深く落ち込むことになる。

アラン そんなことはありませんよ。そりゃすぐに事態は好転しません。だから、また壁にぶち当たることはあると思います。でも、そのときに感情に任せて悲しみに囚われさえしなければ、彼らはもう不幸にはなりません。「意思の力で幸せになれる」ということを知っているからです。

不幸男 意思の力?「病は気から」レベルの戯言だな。

アラン 校長先生はどうしてそこまで「不幸は絶対なもの」と信じているんですか?そんなものは「偽物の不幸」ですよ。自分が作り上げたものです。そこから自由になれば、誰でも幸せになれるんですよ。

不幸男 誰でも!?貧しい家庭に生まれて、満足な教育も受けられずに育った子が、どうやって幸せになる?手段がないじゃないか。それなのに「幸せになれる」だなんて洗脳して、かわいそうなのは希望を持ってしまった生徒たちだ。

アラン ……校長先生は、幸福をものすごく特別なものだと思っているんですね。でも、幸福はそんなに特別なものじゃないですよ。努力は必要だけど、幸福になるための条件もなければ、幸福になれる人数の制限もない。人が自分で不幸を作り出してしまうのと同じように、幸福も自分で作ることができるんです。

不幸男 くだらない理想論だな。

アラン いいえ、くだらないのは校長先生の方ですよ。先生が「幸せになるのが難しい」「幸せになれる人はほんのわずかだ」と感じているとしたら、それは周りの人と比べているからですよ。「他人より稼ぐこと」「他人よりいい生活をすること」「他人の上に立つこと」だけが幸せだと思い込んでいるからです。

不幸男 それ以外に幸福を測るものさしなんてないじゃないか。

アラン いいえ、幸福を測る唯一のものさしは「今の自分がどう感じるか」ですよ。他人と比べるのではなく、健康や環境、自由、愛情…今の状況に満足すればいいのです。「寒さに対抗する唯一の手段は、寒さを受け入れること」という言葉があるようにね。

幸せになれそうだと思えたら
それが幸せ

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不幸男 現状に満足?こんな世の中で何に満足できるんだ?

アラン すべてに満足すればいいじゃないですか。「ごはんが食べられて幸せだ」「好きな人がいる」「いま、生きている」…なんでもいいんです。

不幸男 それでどうなる?本当は不幸なのに「幸せだ」って言い張るなんて哀れだよ。

アラン だ~か~ら~!「本当の不幸」も「本当の幸福」もないんですよ。たしかに他人と比べれば、競争社会で生き抜くためのモチベーションは上がると思います。でも、そんなことで得た幸福感は長続きはしませんよ。いずれ「自分よりももっといい何か」を持った人が現れるからです。他人と比べていたら、いつまでたってもゴールにたどり着かない。そんなルールのなかで幸せになろうとしたら、「世界一の幸せ者」になるしかない。

不幸男 だから幸せになれるのは、ほんの一握りの人間なんだ。それ以外の人間は、耐えて生きていくしかない。

アラン いいえ。幸せになるための一番簡単な方法は、他人と比べないことです。他人と比べさえしなければ、長く幸福でいられるんです。すごくシンプルで簡単なロジックですよ。

不幸男 しかし、他人と比べることなく、現状に満足した生徒たちは目の前の不遇な環境を打開しようとはしない、「貧しくてもいい」「生きているからいい」と言って、不幸を不幸のまま受け入れてしまうではないか!じつは私もかつてはキミのような楽観的な人間だった。しかし、私の「大丈夫だ。状況が悪くなったらその時に考えればいい」というアドバイスによって、当時の生徒たちは不遇な状況で満足してしまうようになったんだ。

アラン それの何が悪いんです?不遇な環境でも「これでいいんだ」と受け入れたなら、それが彼らにとっての幸せですよ。幸せは他人が決めるものじゃない。生徒一人ひとり、国民一人ひとりが自分だけの「幸せの基準」を持つことが、不幸を打開するための唯一の武器なんです。

不幸男 うむ…。

アラン もちろん僕だって教師の端くれです。「かわいい生徒により恵まれた環境を与えてやりたい」という気持ちもわかります。でも、自分のことを「不幸だ」なんて思い込んでまで、モチベーションを上げる必要があるとは思えません。

不幸男 私はもう、キミのような楽観主義者じゃない。そう簡単にはあの時の自分のことが許せんのだよ。くそう…!

アラン へ~、じつは校長って、もうのすごく生徒想いの優しい先生だったんですね。死ぬほど嫌なヤツだと思って、完全に反面教師にしちゃってました。なんか、すみません。

不幸男 キミは私が思っていたとおりの失礼なヤツだな。

アラン どうしても軽口を叩いてしまうんです。これが僕流の「上機嫌」を維持するための方法なんです。まず自分が幸せでいないと、他人を幸せにすることはできないですからね。とりあえず、僕の幸せを優先させてもらいました(笑)。

不幸男 私のことはさておき…、自分がどんなに辛い状況でも、生徒や子どもの幸せを願うのが「親心」ってもんじゃないのか?

アラン 願うのは勝手ですが、そんなこと簡単にはできませんよ。他人を幸せな気持ちにすることができるのは、幸せな人だけです。「幸福」こそが、他人を幸せにするための資源ですからね。不幸な人にはその資源がないんだから、自分以外の人に与えることはできないんですよ。だから、まずは自分が幸せにならないと。

不幸男 ふむ…まさか、キミから学ぶことがあるとはね。じゃあ、今の私には生徒を幸せにすることはできないな。

アラン そうですね(あっさり)。校長先生の不幸オーラは、正直「我が校イチ」ですから。むしろ、一緒にいる人間を不幸にします。不幸はものすごい勢いで伝染しますからね。自分と他人の不幸を予防するためにも、人は幸せにならなくちゃいけないんです。これは国民の義務と言ってもいい。

不幸男 それなら、不幸オーラをまとった私はどうしたらいい?

アラン まずは僕のつまらない冗談に笑ってください。それだけで十分です。幸せだから笑うのではないんです。笑うから幸せなんです。

不幸男 屁理屈にしか聞こえないがな(苦笑)。

アラン いいえ。無理をしてでも「幸せだ」って言うんですよ。演技だっていい。自分を上手にだますことができれば、いつかそれが本当になります。

不幸男 そういうものなのか?

アラン そうです!だから笑ってください。もしくは、あくびでもいいですよ。校長先生もこれからは「意思とテクニック」で自分を幸せにするんです。難しいことは何もありませんよ。

不幸男 なんだか久しぶりに穏やかな気持ちだよ。幸せになれそうな気さえする。それなのにこれまでずっと無駄な苦労をしていたなんてな。まあ、過去を振り返るのもやめようか。また無駄な悩みを抱えてしまいそうだ。

アラン 校長、いいことを教えてあげましょう。「幸せになれそうだ」と思えたら、もうすでに幸せなんですよ。

不幸男 そうだといいな。私はともかく、この学校はキミのせいで、不幸な生徒は一人残らずいなくなりそうだ。今度はどこかで、幸せな生徒を教えるとするよ。…ところでアラン先生。

アラン はい?

不幸男 ありがとう。明日からまたこの学校を、生徒たちを頼むよ。

アラン 何かと思ったら校長(笑)…もちろんです(真顔)。

【アラン先生の教え】

「幸せも、不幸も、どっちでもないも、
そう思えば、そうなる」

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