【ジャズを知る】発祥の地は、なぜニューオーリンズだったのか?

ジャズ、聴いていますか?

現在人気の漫画『BLUE GIANT』を読んでも感じるかもしれませんが、特別に意識してジャズを聴いているという人は決して多くありません。しかし、映画やCMなどで無意識のうちに耳にしていることは意外と多いのです。

そんな意外にも身近にある「ジャズ」という音楽は、一体どういう経緯で生まれた音楽なのでしょうか。油井正一さんの著書『生きているジャズ史』から、その成り立ちについて簡単に紹介したいと思います。

無職だから
ありあわせの楽器を
弾くことにした

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ジャズ発祥の地は、アメリカ南部の港町ルイジアナ州・ニューオーリンズ。南部の黒人奴隷たちは南北戦争を経て、1863年に自由を手に入れました。しかし自由になったのはいいのですが、食べていくためには自分で稼がなければなりません。

当時のニューオーリンズは、アメリカ政府公認の娼館がある唯一の歓楽都市でした。奴隷解放によって仕事を求めた黒人たちは、ダンスホールや酒場などのBGMとして歌ったり、楽器演奏をして生活することにしました。これが「ジャズ」の始まりです。

無職なのに、高価な楽器はどこで調達したのか?その理由は簡単です。南北戦争後ということもあり、南軍の軍楽隊のものがニューオーリンズにあふれ、二束三文で売られていたから。ジャズの楽器が、ピアノやドラム、トランペットやサックスなのも、元はと言えば軍隊のマーチングなどに使われていた楽器を流用していたからです。

ジャズの
アドリブの源流は?

当時、音楽の教育をしっかり受けている黒人は、ほとんどいません。そのため大多数の黒人は、楽譜を読むことができませんでした。当時人気のあったトランペット奏者でさえ、そうだったといいます。

そこで、初期のジャズメンたちは酒場などの営業が終わった早朝に、作曲家やピアニストの演奏を耳コピして曲を覚えていきました。何回も演奏しているうちに、うろ覚えの部分がそれぞれのパートのフレーズで補完され、どんどん違う音楽になっていきました。

演奏者のアドリブ次第で同じ曲でも様々なアレンジがされるため、このジャズの自由さの源流は、初期の演奏者たちが譜面を読めなかったことに由来しているのかもしれません。

またニューオーリンズは、様々な人種が何世代もつながることで、多様な文化を形成していました。それは音楽にも作用し、子供の頃から耳に馴染んでいたアフリカの宗教音楽を始め、スペインのハバネラ、フランスの民謡、時にはクラシックまで多種多様な音楽を取り込み、独自のリズムを作りだしていきました。

元祖キング
バディ・ボールデン

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最初のジャズ王として知られているのは、コルネット奏者のバディ・ボールデンです。演奏者は彼の前にもいますが、今日のニューオーリンズの標準のバンド編成となる、コルネット、クラリネット、トロンボーン、ギター、ベース、ドラムで正式に活動したのは彼が初めてです。ボールデンが最初にジャズを演奏したとされるのが1891年。黒人が音楽家として名を残すまで、1863年の奴隷解放から30年近くが必要でした。

ボールデンのバンドは公園やピクニック、ダンス、カーニバルなど、主に野外で稼いでいたそうです。というのもボールデンのコルネットの音がとにかく大きくてうるさかったからだとか。当時は演奏技術よりも、より長く演奏でき、より大きな音を出せることが重要視されていたようです。

ボールデンの人気はものすごく、記録によれば数千人の女性に囲まれて黄色い声を浴びていたのだとか。1890年のアメリカの国勢調査によると、この年のニューオーリンズの人口が242,039人ということなので、女性だけで数千人は大げさかもしれません。ですが、アイドル的な存在であったことに違いはないでしょう。

残念なことに、レコード時代よりも前に活躍していた人なので、音源は残っていません。ボールデンはその人気にも関わらず、報酬は金よりも酒だったそうで、長く貧乏生活をしたあと、後年は発狂し、20年近く病院に収容されたまま、1931年に約70年の人生の幕を閉じました。

ニューオーリンズ・ジャズが
アメリカ全土へ

華々しく栄えたニューオーリンズの発展にも陰りが見えてきます。きっかけは、歓楽街ストーリーヴィルの閉鎖です。1917年、アメリカが第一次世界大戦に参戦すると、軍規の乱れを気にした海軍長官によって、強制的に閉鎖されました。

これにより職を失ったジャズミュージシャンたちは、新たな活躍の場を求めて北上していきました。ここから、ニューオーリンズのジャズがアメリカ全土に広がっていくこととなったのです。

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