育児奮闘中のママを襲ったマタニティーブルー。「これは心の病気です」

待望の赤ちゃんが産まれしあわせな日々、のはずなのに突然涙がでたり、訳もなく気分が落ち込む。いわゆる「マタニティーブルー」は、慣れない育児による疲れだけでなく、こうしたイライラ状態がつづくことを指した表現です。一過性のもので多くのママは、赤ちゃんを育てる前向きな気持ちとともに、いつのまにかブルーな気分も晴れるようですが、そううまくはいかない人だっています。

毎日新聞が2016年4月にこんなデータを伝えていました。東京都監査医務院などの調査によると、2005年〜2014年までの10年間で東京都内だけでも自殺で亡くなった妊産婦が63名いたことが判明。そのうち出産後の1年未満の6割にうつ病や統合失調症による通院歴があったそうです。

さて、このコラムはカリフォルニア州に暮らすMary Minさんが、今まさにその最中にある自分の日常を赤裸々に綴ったもの。マタニティーブルー、こう言うと聞こえはいいかもしれません。では、「産後うつ」こう診断されたら?

ただ育児に奮闘しているだけだった…

娘の誕生から6週間、わたしは少しずつですが、かすみの中から抜け出してきた感覚を得ています。命の誕生という感動につづく、育児のプレッシャーも減り、今では授乳時間以外のことにもようやく頭が回るようになってきました。

 

これは、わたしがずっと考えていたこと、自分が「産後うつ」で、ここしばらく葛藤がつづいているという事実です。

 

母親がひどいうつ状態になり、子どもに愛情がわかない、自殺を考えたりする、という産後うつに関する記事がありますが、それだけがうつの症状ではないのです。わたしは自分自身や子どもに危害を加えるような症状ではありませんが、それでもやはり「うつ」であり、深刻な問題と自覚しています。

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わたしはお産の体験からくる、ただのシェルショック(戦時下などで起こる強い精神障害)のようなものだと思っていました。寝不足の日々に順応したり、授乳や(これがほんっと痛いんだわ)、赤ちゃんの世話の流れに慣れたり、そういった育児のルーチンに奮闘しているだけだと思い込んでいたのに。

 

ガンを患った愛犬の安楽死や、初めて雇ったナニー(*)が娘を窒息させそうになったので解雇したり、代わりに最高のナニーに出会ったり、そのナニーが何か次の仕事を見つけて辞めてしまうんではないかと心配し続けたり…、そんな娘の誕生を取り巻くたくさんの出来事の余波で気持ちが参っているだけ、こう自分に言い聞かせていたのかもしれません。

*ナニーとは、保護者に代わって子供の世話をする専門職。ベビーシッターとの違いは、身の回りの世話にとどまらず、しつけや情操教育といった乳幼児教育の専門家としてケアに当たる。

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こんな出来事の積み重ねが、今の状態を招いてしまった。けれど、妊娠中に情緒不安定やうつを経験したわたしは、結局のところ産後うつになる確率が高かったんだと思います。

 

担当の医師とは必ず連絡を取らなければいけなかったのに、いつも「大丈夫」と自分の心を偽って。精神科医は薬を飲むことを強く勧めるけれど、授乳期間中は絶対に服薬しないって、心に決めています。わたしのことを思って言ってくれているのは、もちろん理解できるけれど。また産婦人科の主治医は、「もっと夫に任せて自分が楽をしろ」とお説教ばっかりだし。

 

結局、わたしのことを理解してくれているとは思えず、セラピーにも行かなくなりました。仕事で十分たくさん抱えている夫に、これ以上わたしのことで迷惑をかけたくなかったのです。こんな話をしたら、関係がぎくしゃくしちゃうと思うと、友だちにも相談できませんでした。

 

じゃあ産後うつになってしまったら、誰に相談すればいい?

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じつのところ結構な“禁句”だったりするのが産後うつ。とくにアジア文化圏では、恥ずべきことのひとつに捉えられているようですし。今このコラムを書いているあいだも、周りの人がどんな目でわたしを見るようになるか、本当はそれが心配。

 

そもそも、なぜ産後うつになっているのかまったく理解できない人(好きで発症したんじゃないのに!)ほど、「大丈夫そのうち良くなるから」とか、「少しブルーになるのは自然なことよ」、さらには「あなたってすごく強い人、こんなになってしまうなんて想像もできない」、なんて言葉をかけてきます。

 

でもなかには、わたしがどうしているか、いつもメールで連絡してくれる心優しい友人たちもいます。それが唯一の救い。

 

誰だって好きで産後うつになる訳じゃない。こんな気持ちになったり、こんな思考回路になりたいなんて思ってもいません。毎日どうしようもない気分になり、こんな状態の自分をすごく嫌いになる、そうした葛藤が毎日つづくのです。

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信じられないくらい仕事がたまっているし、メールやSlackをチェックするのも怖い。友だちからの誘いも断ってしまうし、病院での予約以外で家の外に出ることも減りました。産後すぐはママ友交流会は積極的に参加しよう!と張り切ってみたけど、すぐ帰宅しては自分だけの孤独へと戻っていました。

 

それでも、先週はどうにかがんばって野菜を買うべく市場に出かけました。あらゆることに興味がわかないのがうつですが、どうしようもない気持ちで負のスパイラルにただ落ちていくのではなく、踏みとどまる力を少しずつ蓄えている最中です。

 

とっても孤独で寂しい道のり。もちろん好きで進んでいる訳じゃない。他人との交流をもって、人を理解することが本来わたしは大好きだけど、それすら圧倒的に思えて結局はそんなチャンスすら自分の外へと押しやってしまうのです。

 

周りの人の助けが欲しいはずなのに、手が差し伸べられると「嫌だ」と断ってしまう。ありがたいはずなのに、自分自身どう助けてもらえばいいのか、よく分からなくなってしまった。助けて欲しいと思った場面で、自分の要望が得られないことにが徐々に恐怖に変わっていったのかもしれません。

 

それでも、もしこの記事を読んで私に出会ったとしても、「かわいそう」なんて思ったり、良かれと思いアドバイスをくれたり、慰めの言葉はいりません。ただ無言で簡単にハグしてくれるだけで十分。それだけで自分がこの世界でひとりぼっちじゃないって思えるから。

 

ブログを始めようと思います。たまった仕事を掘り返してみようと思います。娘を連れて散歩にもでなきゃ。大きく息をすってみよう。また自分を生きられるように。いつかきっと、うつにだって打ち勝てる。

Reference:毎日新聞
Licensed material used with permission by Mary Min
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