「うっかりミスが多い人」。職場でそんな烙印を押されてしまった人へのアドバイス

仕事を進めるうえで、アテンションミス(注意に関するミス)は防ぎたいもの。たとえば、証券会社の営業担当が、数字の入力をミスしただけで数百万~数億円の損害をもたらすことだってありえます。本人にとっては「うっかりミス」だとしても、そのアテンションミスが会社に大きな損害を与えるのです。

宇都出雅巳さんの著書『仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方』では、アテンションミスが起きる原因と対策がまとめられていました。「見落とし」や「注意散漫」がよくあるという人は必見です。

人はちゃんと
見ているようで見ていない

最初に簡単な実験をしてみましょう。顔を上げて周りの景色をしっかり見てください。人やモノなどいろいろと目に入ると思いますが、とにかくすべてをしっかり観察してください。

では、あなたに質問です。

「いま見た風景のなかに、青色のモノはありましたか?あったとしたらそれは何でしょうか?」

顔を上げたくなるのを我慢して、目を閉じて思い出してください。

おそらくほとんどの人が思い出せないでしょう。では、もう一度周りの景色を見渡してください。今度は青色のモノが、まるで浮かび上がるように目に飛び込んできたはず。同じ景色をしっかり見ていても、目に入って記憶に残る事柄は、注意をどこに向けていたかで変わってきます。

人は、ちゃんと見ているようで見ていないのです。注意をしようとしていても、しっかり見ていないのです。つまり、アテンションミスは特別なことではなく、つねに起こっている事象です。まずはこの事実を自覚することが、アテンションミスをなくす第一歩となります。

注意を向けないための
「注意」が必要

スマホをみる

仕事中、スマホを開きたくなったことはありませんか?ゲームやメールをチェックしたくなったり、気になるニュースを見たくなったり。ついつい手が伸びるのを我慢していると、あなたの注意はスマホに向けられます。

人間が同時に注意を払える数は、せいぜい7つ前後です。「気になる」「集中できない」という状態は、この貴重な注意力を消費している証拠。また外的条件だけではなく、心情にも注意しなければなりません。とくに消費するのが「不安」「心配」「後悔」など。これらはいったんハマるとどんどん増幅して、あなたの注意力を蝕みます。

最近の調査で「人は起きている時間の半分近く、そのとき行なっている活動と無関係なことを考えている」という結果が出ています。つまり、人間は注意力が散漫になりやすい生き物です。アテンションミスを減らして仕事で成果を出すには、注意という貴重な資源をきちんとマネジメントする必要があるのです。

アテンションミスを
起こさないためには?

集中する

アテンションミスを完全になくすことはできません。だからこそ、アテンションミスが起きることを前提に考えて、事前に対策を講じる必要があります。一番簡単でベターな方法は、チェック作業。報告書や見積書などの書類を上司に見せるとき「ちゃんとチェックしたか?」と言われるほど、チェック作業は仕事の基本なのです。

そのチェック作業を明文化したものが「チェックリスト」です。製造業や建築業に携わる人たちの中には、日々使っているという人も多いでしょう。一度リストを作ってしまえばそれ以降は頭を使う必要がないので、仕事効率がアップします。職場にチェックリストがない場合も、自分なりのチェックリストを作って日々の業務で活用することをオススメします。

「がんばらないこと」が
大切

じつは「ちゃんと見ようとしない」こともアテンションミスを防ぐ対策のひとつ。「逆効果じゃないの?」と思われそうですが、人はいくら自分に「しっかり見よう」と言い聞かせても、それが原因でミスを起こすことがあります。極端に視野を狭くしないことが重要なのです。

とくに真面目な性格の人や知識がある人ほど、先入観や思い込みにとらわれやすく、視野が狭くなり、ミスを犯しやすくなります。つまり、がんばらないこととは俯瞰すること。物事を広い視野で見るようにしてください。

「未完了事項」を
完了させる

メモをとる

人は、中途半端な状態のことほど意識に残ると言われています。アテンションミスを減らすならば、中途半端な状態のタスクをできるだけ減らすことが大切です。

目の前にある仕事に限らず、上司に謝罪しなければいけないことや、ずっと読みたかった本のこと…人は何かしら未完了事項を抱えているもの。そういったものは知らず知らずのうちにあなたの注意力を奪っています。

半年に一回程度でもいいので、あなたがやりたいことや気になることを書き出し、完了するように努めてください。1つでも決着をつけることで、アテンションミスは減っていくでしょう。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。