学生が自主制作したアディダス「非公認」のCMに共感する人続出

これは傑作、と思わず繰り返して見てしまいました。わずか1ヶ月あまりで1,100万回再生されたショートムービーを紹介します。セリフは一切ありませんが、ぜひ動画でチェックしてみて。

もう一度、走りたい。

代わり映えのない毎日を施設で送る主人公の老人は、ある日窓の外にランニングをする人の姿を見つけます。大地を駆けるランナーの後ろ姿に、在りし日の自分を重ね合わせていたのかもしれません。もう一度走りたい、その気持ちが老人を突き動かします。思い出の品を愛おしそうに眺める視線の先に、くたびれた年代物のランニングシューズがありました。

シューズに足を入れたとたん、フィールドの歓声や栄光のゴールテープが昨日のことのように蘇ってきたのかもしれません。ランニングシャツに着替え、ゆっくり廊下へと駆け出す老人。「おいおい本気かよ」、無謀な挑戦にあ然とした顔で彼を見る入居者たち。

閉ざされた壁の向こうへ

老人の向かう先は閉ざされた扉の向こうの外の世界。けれど、その扉に手が届きかけたところで、いつもスタッフたちによって現実へと引き戻されてしまいます。彼の行くてを阻む扉は、いつだって固く閉ざされたまま。やがて、老人の行動にしびれを切らしたケアワーカーは、彼のシューズとランニングパンツを没収。ふたたび、ふさぎ込んだ代わり映えのない日常がやってきました。

『自由をつかみ取れ!』

ところが、老人の奇行をずっとそばで見てきた仲間たちが動きます。何度阻止されようと、失敗しようと、目標に向かって挑戦し続ける老人の姿に、いつしか同じ施設の入居者たちの心にも小さな変化を与えていたようです。観衆を味方につけて老人は栄光のゴールテープを切ることができるのか。結末は動画でじっくりどうぞ。 

1分40秒のこの動画、一見すればスポーツ用品「アディダス」のCMと思えるつくり。ところが、実際はCMディレクターを目指して勉強中の26歳の学生Eugen Merherによる自主制作作品でした。

Break Free(自由をつかみ取れ)』とタイトルにも銘打ったコンセプト、それに合わせ1足のシューズから生まれるストーリーとメッセージ。分かりやすさと共感性って、やっぱり大切ですね。

Licensed material used with permission by Eugen Merher
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。