農業をもっと身近に。オーストラリア発の「畑をもたない農業」とは?

農業ブームなんて言葉もありましたが、いまだに「大変そう」「汚れそう」といったイメージを持っている人も多いかもしれません。

でも、そういったイメージを覆して「農業をカッコよくしよう」という流れができつつあるのは、日本に限ったことではありません。オーストラリアの農業男子たちも、今までとはまったく違う、おしゃれでかっこいい農業を提案しているんです。

農業をもっと
簡単に、おしゃれに。

マット・ペンバーさんをはじめとした、農業男子たちが集う「ザ・リトル・ベジー・パッチ」は、野菜などの栽培を支援する事業を行っているオーストラリアの会社。

技量や場所の広さに関係なく、誰でもできるような農業を目指したい。都会のアパート、広大な土地、どこに住んでいても、みんなに農業を楽しんでほしい、というのが彼らの理念。

「農業」と聞くと、広い畑で野菜を育てなければいけない、なんて思いがちですが、決してそんなことはないと言います。

小さなコンテナで野菜を育てられるキットや、簡易的な農機具の販売が彼らの主なビジネス。

また、『狭いスペースで農業をする方法』や『1分で園芸家になる』といった本も出版。どのグッズもシンプルかつ素朴なデザインで、彼らのグッズで農業を始めれば、それまで農業経験がなくても、おしゃれな趣味に早変わりしちゃいそうです。

農業を始めたきっかけは?

ペンバーさんは、幼い頃、祖父母の庭にあった野菜畑へ頻繁に足を運んでいて、なんでも、そこがペンバーさんにとってはお気に入りの場所だったそうです。やがて彼は、大学で会計学と金融学を学んだあと、数年間旅に出ることを決意。そして旅を終えるとオーストラリアには戻らず、しばらくスペインで園芸関係の仕事をしながら生計を立てていました。

「スペインで仕事をしているとき、あるお客さんからヒントを得ました。『野菜や食べ物を育てたいという人がいる。でもどうやって始めたらいいか分からない』と言うのです」

そして2007年になり、スローフード・ブームへ。それを受けてペンバーさんは、今こそ農業ビジネスを始めるチャンスだと考えたそうです。そして、母国オーストラリアへ帰り、現在のビジネスをスタート。

ペンバーさんに
影響を与えた日本人がいる

彼がこの事業を始めた理由のひとつに、山下農園の山下朝史さんという日本人の存在があったと言います。山下さんは、パリ近郊の小さな農場で日本の品種の野菜を育て、パリ市内のレストランにその野菜を販売していました。

ペンバーさんは、ニッチなニーズを満たす山下さんの姿を見て、小規模ながらも質の高いものを提供するビジネスにチャンスがあると確信したそうです。

現代に合った
農業のスタイルを

彼らは「ポップアップ・パッチ」という、都会のなかで野菜を育てるイベントも開催していました。そこは、野菜を育てるだけではなく、人と人とをつなげる場でもありましたが、残念ながら地主との関係で一旦やめることに。

しかし現在は再開に向けて、環境に優しく、長期的にできることを条件に、新たな場所を探しているといいます。

オーストラリアの男たちが勧める、畑を持っていない人に向けた新しい農業の形。こういった動きは、世界的に見ても今後増えてきそうですね。

Licensed material used with permission by Little Veggie Patch Co
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。