あなたの努力や頑張りが、まったく相手に伝わっていないのはなぜ?

「自分はきちんと評価されていない気がする」と思っていても、なかなか自分から「頑張りました!」とアピールするのは苦手という人も多いでしょう。

そもそも日本人は、自分自身の良いところを主張するのが苦手です。とはいえ、現代のような厳しい社会では、自分のストロングポイントをスムーズに伝えていく必要があります。

ビジネスコーチ馬場啓介さんの著書『なぜか好かれる人の「わからせる」技術』では、まわりの人があなたの長所に自然と気づくアピール方法がまとめられています。「わかってもらえない…」と嘆く前に、この記事を読んでアクションしてみてはいかがでしょうか?

アピールとは
「相手に興味を持たせること」

あなたがどんなに「仕事を頑張っている」と口にしていても、それだけでは相手に伝わりません。だからといって、自分で主張するとどうしても押しつけるような印象になってしまいます。

自然に伝えたいのであれば、まずは自己アピールしたいポイントに関心を持ってもらうように仕向けましょう。その上手な例が、クリエイターである箭内道彦さんの入社試験面接でのエピソードです。

彼は広告代理店の面接を受けた際、ギターを持って臨みましたが、ギターは席の横に立てかけたまま。あえて触れませんでした。そのまま終了となり、席を立とうとする箭内さん。面接官たちは「最後の自己アピールで弾くんだな」と思っていたのでしょう、驚いた様子で、「それ、何だったの?」と彼に聞きました。箭内さんは「え? 聴きたいですか?」と言ってギターを弾き、無事に自分をアピールできたそうです。

もし彼が、「得意なので弾きます」と普通に披露しても、何も響かなかったはず。ところが、面接官に「ギターを持ってきた理由が知りたい」と思わせたことで、アピールの効果が格段に高まったのです。結果的に、自ら主張したわけでもないのに強い印象を与えることに成功。ちなみに箭内さんは、この会社に合格しました。

このように、アピールとは「相手に聞かれたもの勝ち」。いかに、こちらのホームに持ち込むかが重要なのです。

自分を主張したいなら
まずは相手を認めること

基本的に人は「自分に関心を抱いてくれている人」に興味を持ちます。自分の頑張りを認めてもらいたいときは、こちらの頑張りよりも、まずは相手を讃えることです。そうすると、相手もあなたを理解してくれようとするでしょう。

たとえば、あなたが独身でフルタイムで働いているとして、隣の席の同僚は産休明けで17時になると帰ってしまうとします。あなたは彼女が帰ったあと、彼女の仕事をフォローするために残業することに…。でも、どうやら相手には伝わっていないようです。

こんなとき「あなたが早く帰る分、仕事が大変になる!」と訴えても不快感しか与えません。そうではなく、「子どもが小さいのに職場復帰して大変でしょ?何でも言ってね」と先に相手の頑張りを讃えるのです。すると「こちらこそ仕事のフォローしてくれてありがとう。私のせいで大変じゃない?」というように、あなたを気遣う発言に繋がりやすくなります。

人間は、自分のことを理解してくれたと思うと、必ずと言っていいほど話を聞く余裕が生まれ、頑張りを引き出そうとします。

自分本意にならず、まずは認めることから始めましょう。

話し上手は
アピールが下手

「自分は話すのが苦手だから、頑張りが伝えられない」

もし、あなたがこうした悩みを抱えているならチャンスです。なぜなら、こういう人のほうが頑張りをうまく伝えられることが多いからです。

言葉が先に出てしまう人は、頭で深く考えずに話している場合が多々あります。「とりあえずこの場を繋がなくては!」といった、はやる気持ちから言葉を発しているのです。逆に口数が少ない人は、相手の話をよく聞いています。そして、頭の中できちんと整理してから話すため、的確な質問ができます。

こういう人は自分からアピールしなくても、まわりが「お!」と感心し、「ちゃんと考えているんだな」とわかってもらいやすかったりします。思わず言葉が先に出てしまうタイプなら、何かを言う前に一度深呼吸をしてください。そして、相手が話しやすいように、おだやかな表情で相槌を打つと良いかもしれません。

テレビを観ていても、リアクション上手な人が生き残っているケースが多いものです。お笑い芸人であれば、誰かが発言すると、すぐに手を叩いたり、おおげさに驚いたり。そうやって盛り上げることで、相手は気持ち良く話すことができます。ポイントは「自分のことを話そう」ではなくて、「相手の話をたくさん引き出してあげよう」と意識を持つこと。

相手に頑張りを伝えたいのなら、まずは「聞く技術」を磨いてください。

「頑張っている」を
アピールするのは逆効果

人間は、簡単には変わることができません。無理に変えようとすると、行動が不自然になり、空回りに…。それはさらに人を遠ざけることにも繋がります。

私はよく、コーチングを気球に例えて説明します。熱気球というのは空気を熱することで上昇すると思いきや、重りである砂袋がついていて、それを外さないと、いくら炎を大きくしても昇ることはできません。より高く上昇させるためには、炎を大きくすることばかり考えるよりも、重りを断ち切ることを考えなくてはいけないのです。

私自身は炎が小さく、あまりエネルギッシュなタイプではありません。ただ、重りを常に小さくする工夫をしているので、人一倍、上へと昇っていけるという自負はあります。逆に炎を大きくすることばかりに意識が向いている人を見ると、「違う場所にも目を向ければいいのに」と、もどかしい気持ちになるのです。

頑張りを伝えるのも同様で、自分を奮い立たせ、やる気を出したから認められるというものではない気がします。重りを断ち切り、自然体の自分だからこそ、認められることもあるはず。意気込みは少し脇に置いて、フッと肩の力を抜くと頑張りがうまく伝わるようになっていくでしょう。

著者・馬場啓介さんのスクールはコチラから:マザーズコーチングスクール,, トラストコーチングスクール
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