アメリカならではの事情を解決するUPSによる「ドローン宅配」

ドローンを使った宅配サービスは日進月歩。物流各社による運用に向けたテスト飛行がこうしてニュースになることからも、近い将来、現実のものとなるのは間違いないはず。

さらに言えば、ただ無人で飛ばせばいいという段階から、「ドローン宅配」が担う環境への配慮にも注目するフェーズに差し掛かっているようですよ。

ここで紹介するのは、国際物流UPSによるドローン宅配のテストフライトの模様。そこには、「アメリカならでは」の事情に配慮した宅配方法がありました。

空からちょっとお邪魔します

UPSが現在開発中のドローン搭載専用トラック。そのメリットが最大限に発揮されるのは都市部ではなく、アメリカの農村地帯。

ドローン本体下部に設置されたケージに配達物をセットし、宅配地のアドレスを入力。開閉式のトラックの屋根が開くと、勢いよくドローンが飛び立って行きました。

と、ここまでは従来のドローン宅配との特異性は、さして感じないことでしょう。では、今回のテスト飛行がこれまでのものと大きく異なる点はどこにあるのか?

移動しながら配送
ただし、届けるのはドローン

たとえば、昨年末に実施されたAmazonによるテストフライトの成功は、拠点となる配送センターから、送り先の住所をインプットしたドローンを飛ばすというものでした。

これに対して今回のアイデアは、拠点が移動するトラック。つまり、つねに車も移動しながら同時にドローンにも飛んでもらうということ。配送の効率性を高め、さらには燃費も二酸化炭素排出量も削減できるという算段がここにあるんだとか。

一見、宅配車と同時運行では効率が悪そうにも思えるのですが、そこにはアメリカならではの事情があります。以下の画像がもっとも分かりやすくそれを証明しているように思うのですが、いかがでしょう?

先に断っておくと、今回の実験はフロリダ州で実施されたものですが、これよりさらに広大な農村地域が広がる場所をイメージしてみてください。それこそ地平線まで続く農場を経営している人へと配送する場合、必ずしも幹線道路から母屋までのアクセスがいいとは限らない。

区画された畑や牧場の角を曲がる道路を通るくらいならば、空を最短距離で飛ぶほうが…たしかにこれなら効率的に宅配ができる。

宅配後は
トラックの移動先で合流

そしてUPSの宅配ドローン、目的地に集荷物を届けた後は、そのまま自動的にトラックめがけて飛んで戻ってくることができるんだそう。これにより、トラックは舗装された道路を、ドローンは最短距離で任務を遂行することで、環境にも配慮しながら宅配の目的を同時にかなえる未来型の宅配サービスのあり方を示唆したわけです。

「ドライバーがUPSの“顔”であることは、これからも変わりません。が、ドローン宅配がルート上のさまざまな場所でドライバーを支援し、時間を節約し、高まる顧客サービスのニーズに応える潜在的な可能性を秘めていると感じています」。

とは、UPSのグローバルエンジニアリングおよびサステナビリティ担当Mark Wallace氏の言葉。新システム導入に向けての大きなテスト飛行だったと強調します。というのも同社のドライバー1人が、1マイルを一年間削減続けるだけでも、最大5,000万ドル(約57億円)の削減につながるとの試算が出ているとかで。

積載重量や天候への配慮、飛行可能エリア、留守宅への対応、などなど課題は山積でしょうが、未来の宅配のあり方がどんどん進化していくことが分かりますよね。

Licensed material used with permission by UPS
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。