アメリカ育ちのアジア人。そんな私は「あずきトースト」みたいだ

「私たちは、東西両方の食材の中に共通点を見つけて、自分たちだけの食文化を作っていった。そしてそこにはいつも、あずきがあった」

台湾人の母を持ち、アメリカで生まれ育ったイラストレーターのLori Baileyさんは、小さい頃から様々な文化が“ぶつかり合う食卓”を経験してきたと言います。

アジアとアメリカのはざまにいた自身を、あずきトーストに重ね合わせた彼女のコラム「友だちが奇妙な目で見ていた『台湾のデザート』に、いま私が感謝している理由」を紹介します。

台湾人の母がアメリカで作る
「あずきトースト」

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Image byLori Bailey

母が棚からサンドイッチメーカーを取り出すとき、私たち兄弟は何をすべきなのか、すべて分かっていた。

まず、ふわっふわで真っ白な食パンを袋から取り出す。その上に、地元の中国食料品店で買ってきた「あずきペースト」を塗る。 そしてぎゅっとパンを重ねて、金属の板でできた、三角形のホットサンドイッチメーカーに挟むんだ。

サンドイッチが黄金に色づき、押しつぶされたパンの端が茶色くカリカリになるまで、かかる時間はたったの数分。だけど待ち遠しすぎて、何年も待っているかのように感じられた。そしてついに焼きあがって、待ってましたとばかりにかぶりつくと、火傷するほど熱いあんこが飛び出してくる。

けれど私は、そんなことおかまいなしに食べ続けた。

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Photo by cynthia

台湾からの移民だった母が持っていた料理のスナップ写真を、アメリカに住む私は未だに料理の参考にしている。

母は高雄(カオシュン、台湾南部の都市)で生まれ、美しい島の鮮やかな色彩のなかで30年間を過ごした。それから彼女はアメリカに移住し、テネシー州の農場の青年と結婚する。そうして、母にとってまったく新しい1ページが始まった。

アメリカ人として、アメリカ人の家庭を築くことは、彼女にとってどんな意味を持っていたのだろう。この南東部の小さな町に、台湾人である母の居場所はあったのだろうか?

母は新しい人生の中で混乱し、自分を失い、そして再び自己を見つけて立ち直った。そんななかで、私は生まれ育った。

西洋と東洋
文化が「交差」する食卓

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Image byLori Bailey

中国、日本、そして土着の影響が混ざる台湾の文化が、アメリカ南東部でぶつかって、我が家の食卓には色んな文化が混在していた。

あるときは、麻婆豆腐とコーンブレッドと野沢菜が一緒に並んだ。 スパゲッティはフォークで食べるときと箸で食べるときがあった。 日曜日の教会の持ち寄りパーティで伝説となった母の揚げ春巻きには、グリーンピースにキャセロール、アンブロシア(フルーツサラダ)といった洋風の具が入っていた。

私たちは、東西両方の食材の中に共通点を見つけて、自分たちだけの食文化を作っていった。そしてそこにはいつも、あずきがあった。

私はアメリカ人?
それとも台湾人?

私の父もあずきが好きだったから、母は食卓に出し続けていた。でも彼女は他の移民と同じように、自分が住むアメリカに順応せねば、という気持ちもあった。彼女も娘も、アメリカ人になろうとしているのだ。だから母は、西洋の食材である食パンにあんこを詰め込み、「トースト」にした(この料理に、きちんとした名前はついていない)。少しつついただけで爆発するくらいに、たっぷりと。

小さい頃、私は台湾とアメリカのハーフだということについて、深くは考えていなかった。私にとっては当たり前すぎることだったし、たまに親戚がスーツケースいっぱいにプレゼントやお菓子を詰めて集まってくることは、楽しいことだったから(いま考えると、これは東洋の風習だけど)。

でも大人になると、アイデンティティについて考えざるをえなくなる。私は、母の思惑どおり 「アメリカ人」として成長しようとした。けれど未だに「君は何人か」と問われると、筆が止まってしまう。私はアジア人なのか、それとも白人なのか?

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Image byLori Bailey

高校生の時、「月餅(げっぺい)事件」が起きた。クラスメイトが、私がランチに持っていった月餅を恐る恐る食べて、こう言った。「変なの」「面白いね」「豆っぽいな…」「ベーコンみたいだ」って。月餅を、そして私自身をもっと受け入れてほしかったのに。

最近になってやっと、母の育ったバックグラウンドと自分の育った経験のかけらを、かけ合わせることができるようになってきた。

アイデンティティは
あずきトーストの中に

色んな人種の血が混ざっているということは、きっと母が作ってくれた「あずきトースト」のようなものなのだと、最近思う。組み合わせの「冒険」だ。台湾人とアメリカ人の間で、どこかに私が私であると言える材料の組み合わせがある。

こんなに素晴らしいものを私に残してくれた、そして私が自由に人生を歩んでいく基礎を築いてくれた母に、心の底から感謝したいと思う。

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Image byLori Bailey

私が作るあずき料理のレパートリーは、伝統的な食材と様々な文化が混ぜ合わさっている。例えば、「あずきのルゲラー」(ユダヤ発祥の、クロワッサンに似たお菓子)のように。

でも、どうしようもなくあずきを求めてしまうときは、地元のアジア系パン屋さんで買った食パンをトーストして、その上に自家製あんこ(甘さは自分好みにしてある)を塗るのが、いちばんだ。あの古いサンドイッチメーカーは持ってないれど、母からもらったインスピレーションは今でもずっと私の中にある。

Licensed material used with permission by Food52
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