あえて「不便」を楽しむと、意外に利益が生まれる。

京都大学デザイン学ユニットで「不便益」を研究しているという川上浩司教授。その著書のタイトルは『ごめんなさい、もしあなたがちょっとでも行き詰まりを感じているなら、不便を取り入れてみてはどうですか?~不便益という発想』と強烈に長く読みづらいというデメリットを持ちながら、読者の目を引くメリットを持ちます。

まさにこの考えが、不便から益を見出す「不便益」という考え方のひとつ。

ここでは「便利」と「不便」とはどういうことなのかをまとめていきたいと思います。

ひとりで「クルマ」を
組み立てる!?

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「不便」という言葉は、往々にして悪いことのように捉われがちですが、決してそんなことはありません。

工業生産を例にとりましょう。

ベルトコンベアを使ったライン方式は、大量生産をする場合にとても便利な手法です。いわばスタンダードな作業工程として長年採用されてきました。

ところが近年では、少人数でチームを作り、製品組み立てをする「セル生産方式」を採用している工場(家電やクルマなど)が増えています。もともとは多品種少量生産に対応するためという側面があるようですが、私は重要な作業をしているというモチベーションと個人のスキルアップが互いを高め合っている、という面に注目しています。

洗濯機や軽車両など、複雑な機械をひとり(または少人数)で組み立てるのは、流れ作業よりも不便でしょう。難しい作業になりますし、覚えなければいけないことも多くなります。しかし、車両を組み立てる喜びやそこで得られる誇りは、何にも代えられない格別な喜びが生まれます。

モチベーションが上がるというのは、確かに気持ちの問題です。でもその結果、スキルや生産性が上がり、数字(結果)として表すことのできる客観的なメリットにも繋がっているのは事実です。

これこそ、あえて「不便」にしているからこそ得られる利益ではないでしょうか。

電子辞書では
得られない「紙の力」

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普段、私たちが何気なく使っている日用品にも、不便益はたくさんあります。たとえば辞書には、紙の辞書と電子辞書(ウェブページを含む)があります。目的である単語の意味を調べるためには、所望の単語に一足飛びに行けるので、電子辞書の方が便利です。

ただ、そんな便利なものがあるにも関わらず、紙の辞書を使う人も多くいます。「なぜあえて不便な方を使うのか?」と聞いてみると、たいていは以下の理由でした。

・「おっ」と気づける
探している単語にたどり着くまでに、それ以外の単語を発見したり、所望の単語まわりにある関連する単語を一望できるのが良いとのこと。目的からフラッと外れて別の単語に気がつくことで「似た綴りの単語は意味が異なるが、同じ語源なのか」と知ることができ、嬉しかったりするそうです。

不便であることは、やれることが限られて可能性を狭めてしまうイメージがありますが、紙で調べたこと(不便)で、新たな知識を得ることができます。機械に頼っていては生まれなかった副産物ですね。

あなたの生活のまわりにも、きっとこのような不便益はたくさんあります。便利なものだけに頼るのではなく、あえて手間をかけて行動することで、思わぬ利益を得られるかもしれませんね。

不便じゃないと
ダメなこと

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紙の辞書を使うことが、どんな益をもたらしているのか書き出してみると、

・「おっ」と気づく(気づきや出会いが多い)→機会の拡大
目的以外の単語を発見

・「フラッ」とやれる(能動的に行動を起こせる)→工夫の余地がある
その単語の意味を習得

・触って、使って、分かる→対象系が理解しやすい
辞書を使って理解する

以上が、紙の辞書を使ったからこそ生まれた3つの利益(機会拡大、工夫の余地、対象系の理解)です。

これは「習熟を得る(限界がなく成長が見込める)」ことと深く関連すると言えます。たとえば、綺麗な文書を作るためなら手書きよりワープロの方が便利でしょう。ただし、進化と言えばせいぜいタイピングのスピードが速くなるぐらいで、文字が美しくなることはありません。

しかし、手書きは手間がかかるものの「これ以上綺麗な文字はない」と言われることは永遠にありません。手書きの方が工夫の余地があるため限界を感じないのです。

機械では決して真似のできない、人間ならではの不便を楽しみ、成長の糧にする生き方。あなたも取り入れてみては?

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