「True North, Akita.」は、人との繋がりを思い出させてくれる。

ここ数年、地方の魅力を発信するムービーを数多く見かける。ときにそれはネットを通して世界中を駆け巡り、海外から「amazing!」の声が届くこともしばしばだ。

そんなムーブメントを牽引してきた気鋭集団のひとつ「augment5 Inc.」。彼らが秋田県とタッグを組み、昨年から制作してきた「True North, Akita.」の続編、秋田の夏を映した第3弾と、冬を映した第4弾をご覧いただきたい。

True North, Akita. #3  男鹿半島篇

True North, Akita. #4  鹿角篇

なぜ、こんなに
惹き込まれるのだろう

めまぐるしくタイムラインが過ぎ去るSNSや、過剰なまでのCGに慣れた我々現世代の人間は、ちょっとやそっとの映像の美麗さには驚かなくなってしまっている。だから「田舎の今の美しさを捉えた映像だ」と言われて、ピンと来ない人も多いだろう。

しかし、上の映像に惹き込まれざるを得なかった人は少なくないはずだ。フィルムチックな仕上がりが、我々の目を引きつけるのだろうか。あるいはその音楽が、情緒を醸し出してくれているのだろうか。

それだけではないはずだ。 

地元の人しか知らない魅力を
伝えたかった

秋田と聞くと、なんとなく雪が降り積もる厳しい冬や、「あきたこまち」「きりたんぽ」といった米どころをイメージする。しかし「#3 男鹿半島篇」が映し出しているのは、波がなく水平線がすっと広がる海辺で暮らす、漁師家族の穏やかな夏の日々だ。秋田の夏といえば男鹿半島、という地元でしか知られていない魅力を、垣間見ることができる。

また「#4 鹿角篇」が撮影されたのは冬だが、そこに感じるのは厳しさよりもむしろ「人々の温かさ」だ。ユネスコ無形文化財に指定されたばかりの「花輪ばやし」というお祭りを中心に、地域のコミュニティがしっかりと残っている商店街。そこに根ざす人と人との繋がりが、見れば見るほどに伝わってくる。

今回の製作に当たり、地元の漁師一家や商店街の人のコミュニティに踏み込み、密着取材をしたという彼ら。「今年もまた会いに行きたい」と言うほど密な関係を築いたからこそ、地元の人しか知り得ない魅力を引き出すことができたのだろう。

美しく、そして何もない。淡々と人々の姿が映され、特別なストーリーはない。当たり前に過ぎていく平凡な日常。だからこそいま、私たちは魅了される気がする。

「True North, Akita.」シリーズは、今回でひと区切りだ。次はその目で直接確かめるために、秋田へ足を踏み入れるときなのかもしれない。

Licensed material used with permission by augment5 inc.
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。