韓国の大学で「私も逮捕して!」というポスターを学生たちが貼る理由

ゲイの兵士が逮捕されたり、大統領選の候補者たちが同性愛に対して否定的な発言をするなど、同性愛者にとっては厳しい状況が続く韓国社会。そんな中、各地の大学で、「同性愛を罪とするならば、私も逮捕して!」という内容のポスターが貼られるムーブメントが起きている。

一連のカミングアウトの根底にあるのは、保守的な社会に対する若者たちの不満だろう。LGBTが一般的な用語として浸透している流れの中で「私たちの時代は違う」と声高に発しているように見ることができる。それにしても、若者たちを覚悟させるにいたった真意は何なのだろうか。日本のマスコミでは報道されない深い部分まで探ってみた。

以下、韓国メディアである『the hankyoreh:ハンギョレ』に掲載された記事を紹介しながら、考察したい。

韓国の大学生たちが綴る
ストレートなメッセージ

同性愛者を批判する大統領候補者達の発言を受け、ゲイ兵士のための学生団体による抗議運動が勃発

「私も逮捕して」と書かれたポスターが、韓国の大学のキャンパスに次々と貼られています。これは当初、ゲイの兵士を取り締まる軍の調査に抗議するために始まりましたが、5月9日の大統領選に出馬した有力候補者からの同性愛者批判のコメントを受けて、この運動の勢いは止まりません。

この「私も逮捕して」のポスターは、4月20日に西江大学校のキャンパスに初めて登場して以来、嘉泉(カチョン)大学校、檀国(タングク)大学校、大邱(テグ)大学校、釜山(プサン)大学校、誠信(ソンシン)女子大学校、新羅(シルラ)大学校、梨花(イファ)女子大学校にも貼り出されています。また、これらはソーシャルメディア上でも幅広く公開中。

4月24日、誠信女子大学校に貼られたポスターにはこんな文字が並んでいます:「ゲイの兵士が犯罪者なら、女子大のカップルも犯罪者。だから、私達も捕まえて」。一方、新羅大学校のポスターにはこう綴られています:「"同性愛は支持しないが、処罰の対象になるべきではない。だが、差別禁止の法律を作るつもりはない"と、有力な大統領候補の一人は語っています。その一方で、(この発言に対する) 謝罪を求めに現地に向かった活動家は逮捕されました」

「軍と路上で、友人達が捕えられていますが、大学の構内は本当に安全なのでしょうか?」

また、嘉泉大学校の壁に貼られたポスターにはこう記されています:「ゲイという理由だけで、軍は40名から50名の兵士を逮捕しました。テレビでは、セクシャルマイノリティへの嫌悪感に同調する多くの発言が成されています」

「この国は本当に民主主義国家なのでしょうか?」

誠信女子大学校、梨花女子大学校、檀国大学校の一部のポスターは破り捨てられましたが、残ったポスターには「(同性愛者に対する) 憎悪のありのままの姿を、私達は決して忘れない」と書かれています。

大統領選前に
真っ二つに別れた回答

一方、公開討論会での同性愛者に関する発言で批判を集めた、共に民主党のムン・ジェイン氏 (現大統領) は、軍によるゲイ兵士狩りを「人権の侵害だ」と述べています。4月30日、人権侵害と軍のセクシャルマイノリティ差別に関する、支援と報告のネットワークは、軍のゲイ兵士狩りに関する意見を求めて、第19回大統領選挙の候補者に対して実施した緊急アンケート調査の結果を発表しました。

「ゲイという理由で人々が人権侵害の被害者とならないように、おとり捜査の廃絶と、軍での人権教育の強化が行われるべきだ」と、ムン氏の選挙事務所は回答しています。

また、正義党のシム・サンジョン氏と、民衆連合党のキム・ソンドン氏も、本捜査を「人権の侵害」と述べています。

支援と報告のネットワークによると、このアンケートの調査票は大統領候補者6名の選挙本部に、4月20日に送付されました。

しかし、ホン・ジュンピョ氏 (自由韓国党)、アン・チョルス氏 (国民の党)、ユ・スンミン氏 (正しい政党) からは回答を得られていません。

先日(5月9日)の韓国大統領選で圧勝した民主党のムン・ジェイン氏は、ゲイ兵士の逮捕を「人権侵害」と声明した人物。「私も逮捕して」というポスター活動を皮切りにした同性愛者への偏見が強い韓国社会に対してのレジスタンスは、韓国のソーシャルメディアを見ている限り継続しているようだ。

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