ホームレスにランチをおごったら、「忘れられない時間」を得られた大学生

たまたま飲みの席で盛り上がった知らない人との会話や、旅先で隣り合わせた旅行者の体験談、そうしたものが、後々忘れられない記憶となるようなことって意外と多いんじゃないでしょうか。ゆえに、人は「一期一会」を大切にする。

フィリピンの大学生Faye Aresさんも、まさに同じような出会いをし、Facebookでその体験を紹介。これが大きな反響を呼ぶことに。

「Win-Win」を生んだ
ホームレスとの有意義な時間

ある日、ショッピングモールに買い物に訪れたFayeさん。ランチを選んでいたところ、ホームレスの男性が力なく歩み寄ってきたそうです。伸び放題の無精髭、襟元のよれたTシャツ姿の彼はこう口を開きました。

「すみません…怒らないでください。お金が欲しいというわけではないですが、お腹が空いてどうにもならなくて…。何か食べるものをいただきたいのです」

貧相な見た目からは想像できないほどの流暢な英語に、一瞬Fayeさんは驚いたと言います。懇願を受け入れたとき、男性の目には涙が浮かんでいたようで。こうして2人分の食事代金を支払ったFayeさん、一緒に席に着き男性の話を聞いてまたびっくり。

なんでも、男性はむかし経済学を学びフィリピン大学では教壇に立った経歴の持ち主。セブに移り住みビジネスを始めたものの、事業が上手くいかずに破産、やがて路頭に迷うことに。

数奇な自分の運命をただとうとうと語っただけならば、正直うっとうしいと感じても不思議ありません。けれど、Fayeさんにはこれが「Win-Win」だと思える理由がありました。

ひとつは、彼女が副専攻している「経済学」について教えてくれたということ。若いうちに学ぶことがいかに重要かを説いた男性の、何年ぶりかの課外授業。そして、もうひとつは…。

“一期一会”は
思わぬときに、思わぬ場所で。

「男性とのひとときは、どこか亡くなった私の祖父を思い出させてくれたんです。いま家族の面倒を見てくれているおじいちゃんとも似ている気がして。だからかも、無力感ただよう彼の姿に、自然と体が反応してしまったんだと思います」

たくさん話して、いろんなことを共有できたに違いない。そう思った私は、他にどんな会話をしたのかFayeさんに直接聞いてみました。

すると、「ヒミツにしておきたいプライベートなこと。ゴメンね」、フラれちゃいました。それだけFayeさんにとって、貴重な一期一会になったということなんでしょうね。

 

Licensed material used with permission by Faye Ares
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。