虐待されていた大叔母さんは、誰よりもやさしいモンスターだった。

アーティストのDiego Morenoが、皮膚が硬化し、臓器にも異常をもたらす全身性強皮症で苦しむ大叔母さんをきっかけに生み出したのは、怪物と人間が共存する「Guardians of memory」というシリーズ。

彼の一族の風習により、大叔母さんの病気は「罪」と言われ、身内から凄まじい虐待を受けていました。忌み嫌われる生活を送っていた彼女。でも、Diegoにとって特別な存在だったのは、花柄のワンピースがよく似合う優しい女性だったからです。

死んだ大叔母さんは、
世界一「愛すべき」バケモノ

ワンピースだけではなく、いつもエプロンをつけていた大叔母さん。なぜかというと、愛するDiegoにこっそりとお菓子をあげるために、エプロンでキャンディやチョコレートを隠していたのです。2006年から大叔母さんと祖母と3人で暮らしていましたが、1年後に彼女は病気の悪化のため亡くなってしまいました。もう一度、大好きなおばさんに会いたいと強く願ったDiegoですが、それはもう叶わぬ願い。

しかし、ある日のこと。祭典のためにバケモノに仮装した子どもたちの姿から、今は亡きおばさんと会っているような温かい気持ちになったのです。もしかしたら、罪として一族から煙たがられていたことにより、無垢な子どもが演じる見た目が恐ろしい怪物とおばさんのイメージが結びついたからなのかもしれません。

それからというもの、彼は誰からも差別されることなく、平穏に暮らすモンスターを作り続けました。

これらの作品には、大叔母さんとの「思い出」以外のメッセージがあるように感じました。

自分にとって普通じゃない存在に見えても、勝手な思い込みで優しさを忘れてはいけません。だって、写真にうつるモンスターのように、悪いヤツとは限らないのだから。

Licensed material used with permission by Diego Moreno
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。