醤油瓶の中に入っていた、意外なもの。

まさかのあゆ・イン・醤油! それは、多くの人にとってあまり馴染みのない光景だ。味の想像もつきにくい。そんな商品を作ったのは、高知県四万十市にある印刷業・せいぶ印刷工房。え、今印刷屋さんが作ったって言いましたか?  ええ言いましたよ。なんでまた、畑違いの食品開発なんてすることになったのか。そして、醤油とあゆを組み合わせることになったのか。謎だらけ、なんである。

「いいお土産がない」と
言われて…

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10年ほど前、たまたま知り合った観光客から「せっかく旅行に来たのに、いいお土産がない」という声を聞いた社員がいた。旅を構成する要素の中で、お土産はかなり重要なポジションを占めるもの。締めにいいお土産がみつからなかった時は、少し消化不良な感じだ。その声を自治体に伝えたところ、フリーペーパーなども手がけていることから地元の企業などとの繋がりがあったせいぶ印刷工房が、「君たちならできる」とお土産開発を任されることに。彼らの本業は印刷屋さん。けれどそんな話を聞いてしまってはほうって置けない。この土地の人は情に厚いお世話焼きなのだ。なにかいいアイディアはないものか…。

「せっかく遊びに来たのだから、ここならではのものをお土産に選んでほしいと思ったんですよね。それで、ここ高知県南西部・幡多地域ならではの食文化を持ち帰ってもらえるのがいいんじゃないかって思ったんです」(ご担当・濱田さん)

そうだ、
食文化を持ち帰ってもらおう

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昔から、鰹の一本釣りで有名な幡多地方。中でも土佐清水市で生産される宗田節は、知る人ぞ知る地域特産物で、全国生産量日本一(約八割)を誇っている。それは「めじか節(宗田節)」と呼ばれ、通常の鰹節よりも濃く、力強く、旨みの強いダシの源として、四国の美味しいうどんやそばのダシとしても欠かせない。

また、四万十川流域ではあゆ漁が盛ん。落ちあゆ(秋〜冬に産卵のために海に下りてくるもの)を焼いたり燻製にしたりして雑煮のだしにしたり、甘露煮にしたりして使っていたとか。鰹節やあゆを扱う加工所では、作る際切れっ端や廃棄あゆが出る。ここで働いているお母さんたちは、この切れっ端などをもらってきて、お家の醤油がめにぶっこみ、だし醤油を作っていたんだそう。

「これだ」

この昔からの食文化を思い出し、早速商品開発がスタートしたのだ。

そうとくれば
とことんこだわる

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そうして生まれたものの中に「あゆのだし」及び「鰹のだし」がある。作るからにはと、素材や工程にもとことんこだわった。「あゆのだし」のあゆは、昔ながらの本格炭火焼無煙燻製法で。石を敷き詰めた焼きあゆ用の缶筒の底に炭火をおこし、その周りに串に刺したあゆを並べていく。

この上に缶筒をかぶせ、あとは火加減を見ながらまんべんなくあゆに火が通るよう、串を回しながら一昼夜かけてじっくりと焼き上げていくのだ。火が強すぎて焦げないように、また弱すぎてカビないように、細心の注意を払いながら。

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「鰹のだし」に使われているめじか節も、昔ながらのこだわりの製法で作られている。めじかを熱湯で煮て肉質を引き締め、内臓や骨などを丁寧に取り、天候や風向きなどに注意しながら一週間かけて焙乾。仕上げはしっかり天日干し。

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このようにして仕上げた焼きあゆやめじか節を、瓶の中に入れて製品化した。そこにお好みの醤油を注ぎ、1〜4日ほど待つだけでオリジナルだし醤油が完成する。この地域の昔ながらの食文化に思いを馳せながら、こぼさないよう丁寧に作ってみよう。昆布やニンニク、鷹の爪などを入れても美味しいとのことだ。

幡多にはうまいもんが
こじゃんとあるぜよ

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出来上がったものは、普段の醤油と同じように使うべし。冷奴、湯豆腐、卵焼き、サラダのドレッシングなどはそのままかけて。味噌汁や煮物はもちろん、お湯で割ってうどんや天ぷらのつゆにしたり、おかゆに混ぜても風味が増して美味しい。チャーハンや野菜炒めに、なんて使い方もグー。

「四万十をはじめ、私たちの住む高知県幡多地域には、大自然の豊かな恵みによってもたらされた“うまいもん”がたくさんあります。この商品をきっかけにこんなに美味しいものがあるんだということを知ってもらい、もっと遊びに来てくれる人が増えたらいいなと思っています」(濱田さん)

早速、卵かけごはんにあゆのだし醤油をかけていただいた。芳醇なだしの風味が香るのと同時に、私の口の中に一気に広がる四万十川流域の大自然。はぁ〜、もう、四万十行きたい。

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