高知発の乳酸菌、宇宙へ行ってグミになる。

宇宙について、特別興味があったわけでは、ない。けれど先日なんとな〜く誘われて、なんとな〜くJAXAの一般公開に行くことに。そしてそこで、不思議なグミに出会ったのだ。その名も、「宇宙のグミ」。パッケージには、

高知県のひまわり乳業さんが

行った乳酸菌の宇宙実験。

ロケットに乗って宇宙から生還した乳酸菌の

子孫たちをおいしいグミキャンディにしました。

とな。ビジュアルも、味も、乳酸菌も、いろいろ気になったものの、中身は全く見えないアルミ地仕様。とりあえず、なんか凄そうだから買ってみた。

日本の乳酸菌がロシアの
ロケットに乗ったワケ

そもそも気になったのはここ。

「当時、高知県の有志の企業が集まって、“夢のあることをしよう”とやっているプロジェクトがあったんです。第一弾ではお酒をつくる酵母菌を宇宙へ飛ばし、帰還したもので“土佐宇宙酒”という日本酒を作っていました。このプロジェクトのメンバーにうちの社長がいて、次はお宅の乳酸菌を乗せてみてはどうかと提案されたのがきっかけでした」

と話すのは、グミの中の乳酸菌、通称「宇宙乳酸菌」を扱うひまわり乳業の岡林さん。宇宙ビジネスで県内の産業活性化を目指そうとしたものだったそうで、「ひまわり乳業の市販のヨーグルトに使っていたもの」と「奈良漬けから独自に採取したもの」の2種の乳酸菌が、仲介業者を経てロシアのソユーズロケットに搭乗。カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から、宇宙に打ち上げられることになったんだとか。

乳酸菌発射の朝。カザフスタン・バイコヌール宇宙基地にて、ひときわ白く光るのがソユーズの発射台。

その後、およそ10日間の宇宙の旅を経て、乳酸菌は地球に生還。ちなみに宇宙に行ったあと、乳酸菌に変わったことは?

「後日、それを使ってヨーグルトを作ってみたら、発酵のスピードが若干速くなりました」

おおぉ。ということはそれによって何か嬉しいことが?

「あ、でも、発酵に6〜7時間かかっていたのが5時間になったっていうくらいですけどね」

おおぉぉぉ、想像以上に控えめな変化だ。

この2種の乳酸菌は当時「宇宙ヨーグルト」として製品化されたのち、残りを凍結保存され、時を経てその子孫がグミの中へと入れられることになったのだ。

宇宙について
興味を持つきっかけに

そして、この宇宙乳酸菌を使った商品を企画した株式会社BCCは、宇宙関連の商材を全国の科学館・博物館に卸している会社。

「宇宙を身近に感じてもらえるような商品を開発している中で、東京の仲介業者さんに宇宙に行ったひまわり乳業さんの宇宙乳酸菌を紹介されたんです。丁度お菓子分野でグミの市場が上がっていたこともあり、この宇宙乳酸菌とグミを組み合わせて何かできないかと企画されたのがこの“宇宙のグミ”です」

と担当の立元さん。中身が全く見えなくてヤキモキしたこのパッケージにも意味があって…。

宇宙への憧れや未来感を表現するため、グミそのものの写真やイラストは使いませんでした。アルミ地を活かしながらも、グラフィカルなデザインに。そして特にグミが好きな若い世代にも手にとってもらえるような、かわいさも心がけています」

確かに未来感。そして袋の中から出てくるのは、丸くて青い半透明のグミ。

これは、“地球”をイメージして作っているのだそうだ。見た瞬間、きっとみんなあの名言を言わずにはいられなくなると思う。

 「地球は青かった」by ガガーリン

 これね。

で、「宇宙乳酸菌」入りの
グミってどんな味?

なんとな〜く見つけたグミ、調べたら結構奥の深い商品で感動。もったいなくて食べられなくなってしまった。けど、味のレポートなしで終わるとクレームがきそうなので思い切って開封だ。えい!

袋を開けた途端に広がったのは、ヨーグルトのような爽やかな香り。ぽいっと口に入れると、予想以上に優しいソーダ味の甘みが広がった。さらに噛むと、あぁっ、グミの中心部からは例の乳酸菌入りゼリィがトロリ…。

ここで目をつむってみる。そして、自分の口に入れたものが、かつて宇宙を旅してきたものなんだなぁと思いながら、改めてグミを噛み締める。さすればもう、心は宇宙にいるかのように壮大な、パラダイス銀河な気分になったのであった。

かつてこの乳酸菌を宇宙に飛ばした高知県の関係者のみなさん。確かにこれは、“夢のあること”に間違いない。そしてめちゃくちゃロマンティック!

ご購入は、宇宙の店より。

Licensed material used with permission by ひまわり乳業株式会社, 株式会社BCC
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