なぜ…。私がワインを13杯も飲んでしまった「一関」の食材の話

そんなに飲むつもりじゃなかったのに。この夜、気づけば私は2時間足らずの間に13杯ものワインを飲んでいたのだ。なぜそのようなことに? それは、お腹を鳴らしながら参加した「ノムリエの会 〜世界のワイン×岩手・一関の美味しい〜」というイベントで振る舞われた料理が、どれもこれも最高のものだったから。

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会場となった、CROSS TOKYOの増山シェフと、ソムリエ&おつまみ研究家の大橋みちこさん両氏がセレクトした岩手県一関市の食材。それらがこの日限りの特別料理に仕立てられ、世界中からセレクトされたワインとともに振る舞われたのだ。最高のスタッフによって作り、選ばれた料理とワインのペアリングなんて、文句なしに決まってる。けれど、私のグラスが止まらなくなった理由はそれだけじゃない。

 

最高の料理とともに、「思い」も一緒に食べたのである。

生産者と消費者の
新しい出会い方

今回のイベントでは、料理に使われた一関食材の生産農家の方々も参加し、その生産物をPRする場も設けられていた。この企画、じつは「OWNERS」というサービスが一関市と連携して開催したイベントとのこと。

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OWNERSとは? ざっくり言うと、インターネットを通して、生産者が作る生産物に対し生産の段階から事前登録することで、その生産物の一口オーナーとなるというもの。生産プロセスを共有しながら、旬の時期には生産者から直接商品が届けられるという。

「りんごの木のオーナーになる」といった制度は昔から存在する。でも、実際にオーナーになりたい、生産者の顔の見える物を購入したい、などと思ったところで情報が限られていたり、手続きが面倒だったり、登録しても生産物が届くだけでそのプロセスが見えないものばかりだった。これらの課題を、インターネットを活用し解決しているのがOWNERSなのである。

そのOWNERSが今回、一関市の地産外商プロジェクトのパートナーとなり、当サイトに一関市の生産者が参加することはもちろん、リアルの場として、CROSS TOKYOでのタイアップイベントを開催することになったというわけだ。

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マルシェでなくても、深く
作り手の思いに触れられる

このサービスを立ち上げた株式会社ukka代表取締役の谷川さんは、以前勤務していたPR会社で地方の生産者の方と話す機会が多く、その度にこんなことを思ったという。

「美味しいものを食べた時、その食べ物の背景に生産者の顔が浮かぶ人って少ないと思うんです。つまり生産者がどれだけの思いを込めてその野菜や果物などを作っているのか、それを作ったり収穫する過程でどんな苦労やこだわりがあったのか、それが全然消費者に伝わっていない。マルシェだけでなく、もっと気軽に、簡単に生産者と繋がれる場所があれば、こうした問題が解決する気がしたんです」

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だからOWNERSでは、まず、そんな生産者の思いを記事として読み、知るところから始める。その上で、この人の物を買ってみたいなとなれば、オーナーとなってコミュニケーションをとったり、購入ができたりするのだ。

契約した農家さんには、生産過程や収穫の様子を見せてもらったり、時間のある時は直接現地に行って収穫体験をさせてもらうこともできる。そして、購入し食べたものが美味しければ、「おいしかった」と直接伝えることもできるという。これ、普段はかなり実現しにくいけど、作り手と買い手の間にあってしかるべきとても大切なコミュニケーションだ。

“応援したいから買う”
そんな人を増やしたい

谷川さんはまた、普段の私たちの消費行動は、農業の生産現場や生産者に対して強く影響を及ぼしているということを忘れてはいけないという。でも実際それを自覚できている人はとても少ない。

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「ある生産物を購入するというのは、その後ろにいる生産者や技術、歴史や伝統などを将来的に渡って応援する一票を投じるということ。一人でも多くの方の消費行動が、”安くて便利だから買う”ではなく、”応援したいから買う”、”将来も残ってほしいから買う”という意識を持ったものに変わっていってほしいと思うんです」

そのために必要なものだけど、今まで圧倒的に足りなかった”生産者と消費者が出会う場”。それを、これからはOWNERSが担っていく。

  思いとともに食べる一関の
食材は素晴らしかったのだ

今回の「ノムリエの会 〜世界のワイン×岩手・一関の美味しい〜 」は、初開催にも関わらず定員を超える120名が参加したという。そこは、OWNERSに登録している一関市の生産者の生産物を、実際に味わうことができる貴重な機会となっていた。それも、最高の形で。

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例えば、このいわて南牛の一口丼に使われていたお米は「門崎めだか米」といって、めだかが泳ぐ田んぼで一緒に育った減農薬・減化学肥料で作られた特別栽培米。

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田んぼで活躍しためだかは灌漑期、水抜きのタイミングで越冬するため水路や池に移動。翌春、田んぼに水が入る時期に往来工(めだかが水路と田んぼを自由に往来できるようにしたツール)を通り、田んぼに戻ってくる。

 
めだかが棲めるような水路のある田んぼでお米を作るということは、耕作効率が悪く今ではあまり見られなくなっている。そんな中、門崎ファームではめだかの保護・共存を続けるべく、岩手大学農学部と共同で独自の栽培方法を開発したのだ。安心で美味しいお米ができるのと同時に、絶滅危惧種である日本めだかを守りたいという思いも実現するまさに画期的なシステムなのである。
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めだかに優しいお米。食べてみると、私の口の中にも優しい甘みが広がった。他の料理で使われている食材も、その全てに生産者の努力や思いがあり、この日はそれを確認しながら一つ一つの料理をワインとともに楽しむことができたのだ。

 

「蒸し鶏とぶどうのサラダ、ヨーグルトとディルの風味」も…

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「マコモダケとホタテのポワレ、トリュフ香るソース・ヴァンブラン」も…

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「豚肩ロースのポルケッタ、ゴマとハーブの香り」も… 

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「ツルクビとベーコンのロックフォールチーズクリームペンネ」も… 

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この日出会った全ての料理で使われている一関の食材に、生産者の思いがあり、物語があり、心が奪われた。

「食の豊かさというのは、だれがどんな風に、どんな思いで作っているのかを知った上で食べるというところにあると思っています。ノムリエの会を通して、OWNERSという出会いの場を知ってもらうとともに、美味しい料理に感動し、各生産者さんのファンが増えるきっかけにもなってくれればいいなと思っています」

 私がワインを13杯も飲んでしまったのはきっと、この料理とともに食べた生産者の「思い」のせい。作り手の思いとともに味わう料理の味は、格別以外の何者でもないのだ。

Photo by ukka
Licensed material used with permission by 株式会社ukka
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