ニューヨークを舞台にした小説が、孤独を癒してくれる

ジェフの勝手にカルチャー論 Vol.36 
「ポール・オースター」

ポール・オースターは、1947年生まれのアメリカの小説家。彼を一躍有名にしたのは、「シティ・オブ・グラス」「幽霊たち」「鍵のかかった部屋」ニューヨーク三部作だ。

これらの共通点は、文字通りニューヨークを舞台としている以外にも、主人公の探偵が、自身のドッペルゲンガー(自分自身の姿を自分で見る幻覚の一種)を探しているような感覚に襲われるところ。もう1つは、推理小説やミステリーのように始まるが、描かれているのは人間の孤独や不安だというところ。

ドッペルゲンガーは馴染みのない言葉かもしれないが、18世紀末から20世紀にかけて活躍した作家にとって、死や災難の前兆であるドッペルゲンガーは魅力的な題材で、当時、流行していて、自己の罪悪感の投影としてモチーフになることも多かったようだ。

オースターの代表作といえば青春小説である「ムーン・パレス」。友人、恋人などの助けを借りながらも、自分を探し求め、一歩を踏み出すまでの物語は、創造性に溢れたストーリーテリングとなっている。実に見事なその構成力には目を見張るものがある。

ちなみに、小説のタイトルは彼自身の出身校であるコロンビア大学の近くに実際にあった中華料理屋の名前。さらに自身が幼少時代にダンボールいっぱいの本を読み耽ったエピソードも作品内に登場する。

さらに、映画「スモーク」では、原作に加えて、脚本も書き下ろしている。このストーリーの舞台は、ブルックリンの小さなタバコ屋。ここに集まるワケあり男女が交わっていくプロットは秀悦だ。ほろ苦い大人向けの作品に仕上がっている。「スモーク」について書かれた記事はこちらをチェック。

オースターの小説には、孤独を抱える人が多く登場する。これから先の道に迷った時、挫折を経験した時、生きる意味を失った時、そして、孤独を感じる時にこそ読んでもらいたい。読み終わった時には、微かながら希望の光が見える気がするので。

TABI LABOのライターのJeff Kidoが、古今東西のカルチャーについて独自の視点から好き勝手に論じる『ジェフの勝手にカルチャー論』。1分で読める記事を、毎日1本公開していくぜ。

「ルート66」については、コチラ

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