30分620円で、金を採りまくる。大分・日田の、金山で見た果てなき夢

 

「お金持ちになりたい」

 

人生、一度でもそう思ったことがある人は、是非、大分県、日田温泉から車で約60分の山奥にあるこの「鯛生金山(たいおきんざん)」にも行ってみてください。ここはかつて、夢とロマンを求めた人々が世界中から集まり、様々なドラマが繰り広げられた場所。1898年に金鉱脈が発見されてから閉山までの80年間で、産出量は金40トン、銀160トンにも及んだとか。今では地底博物館 鯛生金山として生まれ変わり、当時の様子を伝える貴重な施設となっています。

ここをお金持ちになりたい人に勧める理由、それは、実はまだ採れるというからです。……金〜!

振って、回して、大金持ち
欲望まみれの砂金採り体験

©2019 ETSU MORIYAMA

「金に魅せられて、ブラジルで実際に山を買って、金を採掘したって人が、“MYお皿”を持って体験しに来ましたよ」

 

と、以前やって来たツワモノの存在を、所長の松尾さんは教えてくれました。なんのことか? はい、鯛生金山でできる、砂金採り体験の話です。

©2019 ETSU MORIYAMA

こうして専用のお皿を回したり振るったりしながら、砂に紛れた金を見つけていきます。なんだ、金が採れるって、砂金採り体験のことか、絶対そう思いましたよね。でもね、

 

「毎週通っている方は、30分あれば30粒くらいは普通に採ります。このボトルがびっしり砂金で埋まるものを4〜5本持っていて、持たせてもらいましたけど重さが違いましたよ」

 

だそうです。あなどってはいけません。レートで換算すると、だいたい12〜13万円くらいになる量とか。1日で、30分を15セット(計7.5時間)した人もいて、さすがに夕方になったら「腰が……」と言いながら帰って行ったそうです。そんな中、過去最高採取量を叩き出すべくメラメラしていた私たちですが、実際30分で採れた砂金はこんなもの。

©2019 ETSU MORIYAMA

初めての人が採れる量はだいたい3〜5粒くらいだというから平均ではあるものの、なんだか悔しくてウッカリもう何セットかやってしまいそうな勢いでした(こうしてみんな金に魅せられていくのだなあ)。松尾さんによると、さらにマニアは梅雨明け、山から流れ出してきた金を採りに、実際の川に行くそうで、川底の「このあたりにありそうだ」という場所までわかるのだそうです。しかし、お金が絡むこと。人間関係が破綻してしまうことがあるため、必ず単独行動をするというのは、ちょっと怖い話……。

博物館の怪しい入り口の先で
待っていたイケメン軍団

©2019 ETSU MORIYAMA

地底博物館の入り口も、ちょっと怖い。けど、中はマイナスイオンが出まくっているという説明書きもあったので、進みましょう。なにやらいい予感がしませんか?

©2019 ETSU MORIYAMA

ちなみに鯛生金山は、昭和47(1972)年に金山としての役目を終え、その後、奇しくも東京ディズニーランドの開園と同じ昭和58(1983)年の4月15日に、地底博物館として生まれ変わりました。35歳ですね。中では、当時の採掘の様子や、技術の数々、きっと誰もが想像する以上に見所がたくさんあります。こちらは深さ510メートルにも及ぶという第一堅坑。採掘した金を引き上げるのに使っていた穴です。

©2019 ETSU MORIYAMA

この暗くて深いまっすぐな穴は、30メートルおきに横穴が掘られていて、つまりはこの地下は下の写真のようになっているというわけです(ただし、今はもう下半分くらいは水の中)。実際見ることはできませんが、自分の足元を想像すると、ちょっと震えます。

©2019 ETSU MORIYAMA

おそるおそる深い穴の中を覗き込んで見ているうちに、うまく言えませんがなんとも不思議な気分になっていき、「この下は、宇宙と繋がっている…」と呟きそうになったりも(実際は水に浸かっています)。

©2019 ETSU MORIYAMA

このお兄さんが再現しているのは、機械を使って金鉱脈を掘り進める場面。爆薬を使ったり使わなかったり、当時の採掘法も様々だったのですが、鉱脈に沿って上手に岩盤を崩すことができるようになるには、長年の経験と勘が必要なんだそうですよ。

 

進んで行くうちに「再現シーンに出演している坑夫の中から“イケメン”を探す」という遊びも思いつきました。

 

第三位はこちらの彼。

©2019 ETSU MORIYAMA

第二位。

©2019 ETSU MORIYAMA

第一位は真ん中の彼かなあ。

©2019 ETSU MORIYAMA

ちょっとテカリは気になりますね。

©2019 ETSU MORIYAMA

ちなみに下の写真の方は、鯛生金山にイギリスの機械を導入して採掘量を飛躍的に伸ばしたという、ハンス・ハンターさん。実物の写真とだいぶ雰囲気が違いますが、圏外。

©2019 ETSU MORIYAMA

この遊び、思いのほか盛り上がる予感です(多分ですけど)。

念じながら金箔を貼ると
願いを叶えてくれる

©2019 ETSU MORIYAMA

さらに坑道をずっと進んで行くと、黄金に輝く二匹の鯛がいて、ここでのアナウンスを聞けば、こんな山奥に“鯛生”という地名がついた謎が明らかになります。この夫婦鯛は、実は昔は本物の金で作られていたそうなのですが、オスの方だけ盗難被害に合ってしまったため、今では両方レプリカでできているとか。本物の復活は、平和な世の中が訪れるまでおあずけです。

 

ちなみに、その脇にある鯛の像には50円で金箔を貼ることができて、お願い事がある人は念じながら貼ればいつか叶う、とのこと(いつ叶うのか、それが結構重要だったりもするのですが)。お金を洗って金運をあげるコーナーもあります。ご利益のほどは別にしても、こういうものは、とりあえずやっておくと思い出が増える気がしてオススメです。観光地での顔ハメ然り。

©2019 ETSU MORIYAMA
©2019 ETSU MORIYAMA

そして、いよいよここに到着です。

これは、かつてここに集った
人たちの夢とロマンの輝き

©2019 ETSU MORIYAMA

見学コースの最後には、辺り一面が輝く坑道に到着します。都会のイルミネーションより技術や規模がすごい、という訳では決してありません。だけど、ここまでのストーリーを踏まえて見ること、この輝きは、なんだかとても感動してしまうのです。それは、様々な困難と苦労の末に金鉱脈を発見した、当時の坑夫たちの思いとシンクロするからなのかもしれません。

 

コースの途中では、実際にここで働いていた坑夫の声が聞ける場所もありました。彼は、金鉱脈を見つけた当時の喜びとともに、事故で友人を亡くした悲しみと坑道を支える支柱枠の大切さを語っていたし、十分な装備もなく、薄着や裸足に草履で作業していた人々の様子を再現する場所もありました。

©2019 ETSU MORIYAMA

私は砂金採りでさえろくにできなかったなあ、なんてことを思い出しながら、当時の坑夫たちの血と汗と涙、そして夢とロマンに改めて思いを馳せました。

 

最後に、帰り道での提案もひとつだけ。売店で売られている「黄金浪漫」というむぎ焼酎にご注目ください。これは、購入すると鯛生金山の坑道内で3年熟成され、後に受け取れる(郵送可)というお酒。実は鯛生金山の坑道内は、一年を通して一定気温で加湿され、暗くてお酒の熟成には最適なのだそうです。陶器の入れ物に入れて寝かせることで、通常ピリッと辛いむぎ焼酎も、まろやかな飲み口になるそうですよ。

©2019 ETSU MORIYAMA

ちなみに、売店脇にはUFOキャッチャーもあって遊べますが、アームはちょっと緩めとのことです(ホントかな?)。

©2019 ETSU MORIYAMA

地底博物館 鯛生金山
住所:大分県日田市中津江村合瀬3750
TEL:0973-56-5316
営業時間:3月~11月 9:00~17:00、12月~2月 10:00~16:30
定休日:1月1日
公式HP:http://taiokinzan.jp/

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Top image: © ETSU MORIYAMA
取材協力:日田旅館組合
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