ピンチを切り抜ける!ヤクザの説得術がスゴイ【6選】

普段通り生活していたって、誰にでもピンチは訪れる。ビジネスの場であったり、恋人とのケンカであったり、状況は様々だろうが、そんな場面では「言い換え術」がものを言う。

ここで、ピンチを切り抜けるための言い換え術を紹介しよう。結局、ものは言いよう。ちょっとした「言い換え」で、ピンチは切り抜けられる!

01.
「元も子もないぞ」で
非難を受けずに前言撤回

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前言をいかにして翻すか。ここが、信用を懸けた勝負となる。釈明も、お詫びも、開き直りも、撤回も、どれをチョイスしても非難ごうごう。信用は地に落ちてしまうのだ。

そこで、言い換え術の出番となる。参考になるのは「ナニワのケンカ師」の異名を取った橋下徹元大阪市長だ。彼は暫定予算を組むにあたって「財政再建が第一。大阪府が転覆してしまっては元も子もない」と堂々と言ってのけ、「出産・子育て支援事業」の凍結を表明した。この言葉には「いま無理して大阪府が転覆してもいいんですか!」という言外の「恫喝」が潜んでいる。それでなんとなく納得してしまうのだ。

「社長、来年は給料を上げてくれるとおっしゃったじゃないですか」「たしかに言った。しかし、今は売り上げを伸ばすことが第一だ」と言ってから「会社がつぶれたら元も子もないぞ」と一言付け加えれば(ホンマや)ということになる。非難もされず、信用も損なわずして前言を翻すとは、こういうことを言うのだ。

02.
不満や批判は
「壁打ちテニス」で打ち返す

ある空手団体の総会でこんなことがあった。「意見を聞かない」「独善的だ」と若手から不満が噴出したのだ。「文句を言うのは10年早い!」と一喝して済んだのは昔の話。「そんなことはない」と頭から否定しては火に油。「ごもっとも」では責任問題に発展する。役員たちが立ち往生したとき、長老がおもむろに口を開いて、若手たちにこう言った。

「諸君の言うことはよくわかった。そのうえで、あえて問いたい。諸君は組織発展のために、これまで何をしてきたというのか。批判をする前に胸に手をあてて、わが身に問うていただきたい」

今度は若手たちが言葉に窮した。これが「壁打ちテニス式」の言い換えで、相手の批判を「壁打ちテニス」の要領で、長老はそっくりそのまま跳ね返してみせたのである。

部下が文句を言ってきたら「上司の批判をする前に自分たちは部下として本文を尽くしているかを考えてほしい」と打ち返す。力強く、真摯に、そして誠意をもって「壁打ちテニス」の「壁」になればいいのだ。

03.
「ダメ」の言い換えで
相手に自己説得させる

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「デパートでとても素敵な指輪を見つけたんだけど」

「ダメ」とはねつけるのは論外としても「どこにそんなカネがあるんだ」と渋い顔を見せれば相手に不満が残る。
そこで「いいよ。いくらくらいするんだろう」「50万くらいかしら」「すぐにでもプレゼントしたいんだけど、もう少しがんばればマンションの頭金が貯まるんだけどな」「そうよね」

指輪をおねだりする自分が間違っていた、と結論を相手に出させることによって、不満も恨みもいだかせることなく目的を遂げることができる。これが心理学で言う「自己説得」であり、他人から説得されるよりも、自己説得のほうが効果が高いとされる。「ダメ」の言い換えが勝負なのだ。

04.
「私は共犯者です」
素直に非を認めて謝罪

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人間は誰でもドジを踏む。だからドジを踏んだとき、いかにして幕引きを図るかが勝負になる。ここで「うまい!」と感心したのが佐村河内守氏のゴーストライターとして世間を騒がせた新垣隆氏だ。

彼は記者会見でこう言った。「私は佐村河内さんの共犯者です。申し訳ございませんでした」すなわち「私は罪人です」と非を認め、謝ったのである。しかも謙虚な態度が好感をもって世間に受け入れられ、それほどのバッシングは受けなかったどころか結果として彼の収入は5割増しになった。

ドジを踏んだときは「言い訳」を「謝罪と反省」の言葉に置き換え、「そこまで謝らなくても」と世間の同情を得られれば、「禍を転じて福となす」になるというわけだ。「うっかりミスでした」と言い訳がましいことを言わないで「自分の無能さに腹が立ちます」と唇のひとつも噛みしめてみせれば「そこまで自分を責めなくてもいいじゃないか」ということになるのである。

05.
積極的な「ノー」で評価を上げる

「ノー」をどんな言葉で言い換えるか。これによって相手の評価と対応はガラリと変わる。

たとえばホテルの予約。「2泊なんですが、ツインは空いていますか?」「申し訳ありません、あいにく満室でございます」という言い方をされれば「あっ、そ」電話を切ってしまう。少しばかり名の知られたホテルであれば「ダブルでしたら空いていますが」と別の部屋を薦めたりする。「じゃ、それで」と予約をするが、気分はイマイチ。「空いています」という言い方が「残り物」という気分にさせるからだ。

その点、昨年取った京都のホテルは違った。「その日はダブルをご用意させていただいておりますが、いかがいたしましょうか」この「用意してある」という言い換えが「残り物」というニュアンスを払拭するばかりか(ダブルも悪くないな)という積極的な気持ちにさせたのである。

これは人間関係でも応用できる。「明日の午後、空いているか?」と上司に問われたら「4時からなら空けられます」と積極的なニュアンスで言い換えるのだ。

06.
「下見て暮らせ」と比較で説得

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「比較」を仏教は厳しく戒める。差別の心につながるからだ。しかし、物書きの立場でこれを説得術として見ると「下を見て暮らせ」というのは実に効果的な言い換えになる。

私の知る住職は、悩み事相談に対してはあえて「それは、ようござんしたな」という第一声を必ず発する。「住職さん、もう腰痛がつらくてつらくて」「それは、ようござんしたな」檀家さんがムッとすると「突然逝ってしまうよりええやないの」

住職はあくまで方便として常に、その人が抱いている悩みよりもさらに苦しいものを引き合いに出すことで相手の気持ちをやわらげ、「それもそうや」という気持ちにさせるわけだ。
檀家さんの父親が亡くなったときも、「それは、ようござんした」と言ったという伝説がある。「お父さんはお浄土で生まれ変わったんや。地獄へ行くよりええやないか」と言ったそうで「そりゃ、確かにそうだよな」とその長男が一杯飲みながら話してくれたものだ。「下見て暮らせ」は説得の手段として絶大な威力を発揮するのだ。

説得は「言い換え」が9割
コンテンツ提供元:光文社

向谷匡史/Tadashi Mukaidani

1950年生まれ。数多くの大物ヤクザを取材した週刊誌記者を経て、現在は浄土真宗本願寺派の僧侶。『会話は最初のひと言が9割』(光文社新書)、『ヤクザ式ビジネスの「かけひき」で絶対に負けない技術』(光文社知恵の森文庫)、『ヤクザの実戦心理術』『ホストの実戦心理術』(KKベストセラーズ)など記者時代の経験を活かした著書を多数もつ作家としても活動している。

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