社会現象にもなったロックバンドの知られざるストーリーに釘づけ

久々に胸にささった。

伝説のロックバンドとして、今でも語り継がれるオアシス。その長編ドキュメンタリー作品に心を揺さぶられた。もちろん、三十代の頃、バンド名も曲も聴いたことがあったが、そこまで詳しくはなかった。でも、2016年に公開されて以来、何故か、ずっと気になっていた。

タイトルは『オアシス:スーパーソニック(原題「oasis:supersonic」)』。

1994年にデビューしてから、最速で音楽シーンの頂点に立ち、そして、多くのファンに惜しまれながらも解散したカリスマバンド。彼らの真実が、明らかにされるー。

トレーラーにもあるように、このドキュメンタリーでフィーチャーされているのは、デビュー3年後の1996年8月にロンドン郊外のネブワースにて25万人を集めた野外ライブ。当時の動員記録を塗り替えたという映像は圧巻だ。あまりにも人数が多すぎて、人が粒のよう。僕の目には挽肉の塊のように感じられた。

犬猿の仲と噂される
真実が明らかに

(C)Jill Furmanovsky

最大の見どころの1つは、バンドの中心的存在でありながら、犬猿の仲と噂される兄弟リアムとノエルの関係だろう。膨大なアーカイブやプライベート映像を通じて、二人の素顔やライバル関係の構図がはっきりと輪郭を帯びてくる。

二人のバックグラウンドは、決して恵まれてはいない。イギリスの工業都市マンチェスターにある公営団地で育った兄弟は、札付きの不良として悪名を残している。失業者手当てをもらいながら、バンドを続けていく状況下で養われた反骨心。やがて、チャンスをつかみスターダムにのし上がっていく。その軌跡は、痛快で爽快だ。

それにしても、バンドがあそこまで成功したのは、二人の間に微妙に流れる緊張感だったのだろう。時に反発しあいながらも、やがて共鳴しあって数々の名曲を生んでいく。その様子が、当時の映像に加えて、二人へのインタビューですべての真実が炙り出される。

デビューからの3年間を中心に描かれる栄光と破滅への序曲。「超高速」を意味するスーパーソニックというタイトルの通り、ジェットコースターの如くぶっ飛ばしていく展開には、片時も目が離せない。オアシスファンのみならず、オアシスのことをリアルタイムで知らない若い世代にも充分に楽しめるエンターテイメントに仕上がっている。

3月22日(水)にブルーレイとDVDがリリースした。このタイミングで、偉大なロックバンドが駆け抜けた道のりを自分自身の目で確認してみるのは、いかがだろうか? 

(C)Jill Furmanovsky

(C)Jill Furmanovsky

Licensed material used with permission by oasis-supersonic
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。