大阪の廃材クリエイター、GONZO。きっかけは文楽の人形づくりだった

ここ数年、毎年増えつづけている大阪に訪れる外国人観光客。

その中心でもある難波の一角に、文化住宅をリノベーションした「道草アパートメント」という建物があります。 もともとあったものを再利用する、というコンセプトで現在も複数の店舗が入っているんですが、なかでも通行人の目を奪うフランケンシュタインをモチーフに廃材を利用したモノづくりをしている「Franken Furnitures(フランケン ファニチャーズ)」のクラフトマン、GONZOさんにお話を伺いました。

中学生のとき体験した
「文楽の人形づくり」

GONZOさんが初めてモノを作る経験をしたキッカケは、中学校の職業体験。同級生たちが普通のお店に職業体験に行くなか、GONZOさんは「文楽の人形づくり」を選択して、2週間弟子入り。

「生まれた街は、文楽の発祥の地『淡路島』にある人形の街とも呼ばれる南あわじ市で、生まれたころから浄瑠璃人形などを見る機会に恵まれていました」

「小さいころからよく壊れた物を分解していたので、親からも『壊し屋』と言われていました。絵を描くことはずっと好きで描いていたけど、モノづくりは文楽の人形が初めてでしたね」

古いものは再現できないし
まだ使えるのにもったいない

「古いものって、再現できないんです。いろんな人が使ってきて、いろんなストーリーが詰まっているんです」

たとえば、古民家で使っていた家具をそのままマンションで使おうとすると、雰囲気が合わない……。そんな要望に応えるために、リメイクして新しい命を吹き込むのだそうです。オーダーメイドで引き受けるときは、実際にお客さんのお宅まで伺ってデザインを検討することも。

「デザインは完全に任されるので、いかにお客さんの生活スタイルに合わせるかを意識して提案しています」

徐々に近所の人が「いらん物あるから使ってや!」と持って来てくれるケースも増えているそうです。

GONZOさんによって
新しい命が吹き込まれる

僕たちが普段何気なく捨ててしまうものでも、GONZOさんが手を加えることで新しい命が吹き込まれます。製作過程でスケッチなどをせず、目の前にある廃材からインスピレーションを膨らませて作品製作をするそうです。

「外を歩くときはいろんなものを見ながら、どういう風に利用できるか、とずっと考えていますね」

できあがった作品は、世界にひとつしかありません。機械で量産できる時代だからこそ、僕たちも手づくりでオンリーワンなものに惹かれてしまうのかもしれません。

集大成は
フランケンシュタインの
スピーカー

廃材クリエイターになる以前は、ダンス、ヒップホップ、音響PA、エンジニアなど、様々な活動をしてきたそうです。

ヒップホップでいろいろな音をサンプリングして音楽を作っていくように、廃材を組み合わせて、新しいものを作る。そうして完成した作品のなかで、一番思い入れがあり人気もあるのが、フランケンシュタインのスピーカー。

「中学生時代に体験した人形づくりにインスパイアされている部分がありますし、人の形にすることで思い入れも深くなりますよね。これには、自分がこれまで経験してきたことがすべて詰まっているんです。人形づくりという伝統文化は今、継承者も少ないので、自分の作品をきっかけてに、いろんな人に文楽を知ってもらえるようにしたいですね」

今後は、フランケンシュタインをテーマにしたテーマパークを作ることも視野に入れているそうです。

取材当日も、隣のバーでお酒を飲んでいた海外からのお客さんが上機嫌にお店に入ってきて盛り上がっていました。GONZOさんの気さくな人柄も、たくさんの人が集まってくる理由のひとつなのかもしれません。

「FRANKEN FURNITURES」

住所:大阪府大阪市中央区高津3-8-31 道草アパートメント1F
TEL:06-6648-8676
HP:https://franken-furnitures-webstore.com/
SNS:Instagram

Licensed material used with permission by yuji hirai, (Instagram)
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