「マインドフルネス」に続く注目の存在──それが「クリスタルボウル」
AIとIoTの時代に求められる
「積極的な睡眠」のための手法
──海外でのクリスタルボウルのシーンは?
海外では、マインドフルネスのプロセスとして「サウンド・バス」というイベントが注目を集めています。
サウンド・バスとは、その名の通り「音のお風呂」という意味で、お風呂に入るように音を浴びて精神を安定した状態に近づけたり、心身をリフレッシュしたりする音楽イベントです。
サウンド・バスでは様々な楽器が用いられていますが、クリスタルボウルはその中心的な役割を担っています。
昨年、テキサスで開催された『サウス・バイ・サウスウエスト』という国際的なテック系フェスティバルでもサウンド・バスが紹介され、リラックスや癒しをより積極的に活用していくムーブメントが起きつつあります。
──クリスタルボウルが注目を集めているわけは?
テクノロジーが急速に発展し、単純労働だけを頑張ればいい時代ではなくなって、柔軟で豊かな発想力やクリエイティビティが重視される世の中になりつつある点が大きいのではないでしょうか。
たとえば、過去の時代であれば、エナジードリンクをガブ飲みして徹夜で仕事をしていれば成果が出せていたかもしれません。でも、AIとIoTの時代になると、力業で押すだけの労働は価値が下がってきますよね。
求められる価値が「余計なことを考えずに働く」から「いろいろなことを考えて創出する」に変化すると、個々の発想力やクリエイティビティが重要になります。
そこへのアプローチとして、自分の精神や意識と向き合う方法に「瞑想」がありますが、瞑想によるアプローチにはある程度の訓練が必要です。
その点、クリスタルボウルは「音」という外的な力によって積極的に深い瞑想に似た状態に導くことができるので、実用的なツールとして注目を集めているんです。
また、クリエイティビティを高めるという用途ではなく、短時間で心地よく効率的に休息を得られるのもクリスタルボウルの魅力なので、眠りが浅い人にもおすすめです。
──日本では?
少しずつですが、イベントの数も増えてきて、普及の兆しが見えはじめているように感じます。ヨガとの親和性が高いので、ヨガ教室や講師の方からワークショップに招かれて演奏することも多いですね。
ただ、クリスタルボウルは歴史が浅い世界なので、演奏する人によって音の雰囲気がまったく違うんです。
クリスタルボウルとは楽器そのものを指す言葉で、つまりは「ギター」や「ピアノ」と同じなんです。同じギターを使っていても、フォークもロックも演奏できるように、いろいろな活用方法があります。
何が正解で何が不正解かというようなことではなく、自分の好みの演奏を見つけられたら、新しい価値が生まれるかもしれません。
──どういった場所で体験できますか?
深くリラックスできるように、クリスタルボウルは寝転がった状態で聴いてもらうことが多いので、コンサート会場やライブハウスではなく、ヨガスタジオが利用されることが多いです。
あと、お寺もよく使われていますね。
私も『IYC表参道スタジオ』というヨガスタジオでイベントをおこなっています。
もし興味があれば、まずは体験……いや、「体感」してもらって、クリスタルボウルの魅力に触れてみてください。