米自殺防止ホットライン番号が「10桁」から「3桁」に変更したワケ

全米自殺防止ライフライン(米自殺対策の相談窓口)」が従来の10桁の電話番号「988」という覚えやすい3桁に移行した。
※当面は従来の10桁の電話番号も並行して運用。

この新たな「988」という電話番号は、アメリカでの緊急通報ダイヤル「911」と同じようにフリーダイヤルで運営するとのこと。また、通話以外にもテキストでも相談が可能だそう。

なぜ、ライフラインの電話番号を短くしたのか……?

© 988Lifeline/Twitter

「米疫病対策センター(CDC)」によれば、全米の自殺件数は2000年から2020年までの間に30%増加したという。なかでも子どもの自殺率が増加傾向にあるとのこと……。

それと同時にホットラインへの相談件数も急増。「ウォール・ストリート・ジャーナル」の調査によれば、2016年から2021年までの5年間で相談件数は、じつに92%も増加したそうだ。

同ホットラインを運営している「米保健福祉省(HHS)」と「Vibrant Emotional Health」は、相談窓口へつながる電話番号を短縮し、覚えやすくすることで相談件数が増えると見込んでいるのだそう。

その背景には、「988」にかけることで全米にある200の「クライシスセンター」に繋がるという仕組みが。今までは繋がるまでの待ち時間が長かったが、今回の移行によってより多くの相談に対応できると期待されているのだ。

今回の番号移行にともない、米政府は3200万ドルの連保予算を提供。また、ジョージア州は全米で最も多い2,000万ドルを投資し、人員面と技術面で体制を強化するなど、各州もサービス改善のために追加予算を投じている。

日本でもフリーダイヤルの相談窓口はあるが、なかなか繋がらないことも問題視されている。また、電話番号は通常の10桁で構成されているために、精神的に追い詰められているとき、すぐに思い出して電話をかけられるとは言い切れない。

多くのセンターに繋がるヘルプの3桁。私たちにも必要ではないだろうか。

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