日本人の考える天パは、パリっ子にとって「自由の象徴」だった
先月、フランス・パリで髪の多様性にスポットライトを当てた初のイベント「Free Curls Week(フリーカールズウィーク)」が開催された。
これは、ウェーブやカール、縮れ毛、くせ毛などの質感を持つ髪、いわゆる“テクスチャードヘア”を専門とするパリのヘアサロン「Bar à boucle(バー・ラ・ブークル)」が立ち上げたイベント。
あらゆるテクスチャードヘアに焦点を当て、社会における配慮の欠如への意識を高めながら、髪本来の美しさに目を向ける。
イベントは誰もが参加できる講演形式で、「髪に対する差別と偏見」「美容師の不足」「子どもの髪質に対する愛情」「完璧なカールヘアの執着」の4つのテーマが取り上げられた。
さて、それぞれのブースをまわる感覚で、イベントをのぞいてみよう!
1つ目のテーマ
「髪に対する差別と偏見」
フリーカールズウィーク初日、参加者からテクスチャードヘアに対する差別の経験が語られた。
「『ここは動物園じゃないんだから、髪を切れ』と言われた。」
「美容院に行ったら、『そんな髪は扱えない』って。」
「子供の頃からくるくるした髪だったから、まるで羊のように扱われた。」
学校や美容院、日常の様々な場面で、カールヘアをからかわれたり、差別的な扱いを受けたことがあるという参加者の声。
しかし彼らは、こうしたネガティブな経験に加え、こうも話している。
「髪質だけで、どんな人間かなんて定義できない。」
「どんな髪質だって美しいんだ。」
イベント主催者のモーガン・ブリッソン氏は「彼らにはそれぞれ、心に感じることや伝えたいことがある」と強調している。
「彼らに声を与えることが重要なのだ」と。
2つ目のテーマ
「美容師の不足」
モーガン氏は周囲にテクスチャードヘアの友人が多く、彼らが美容師を見つけるのが難しいことをよく理解していた。そして、それが彼女をサロンの創出へと駆り立てたそうだ。
彼女は、髪質に悩まされる人々と同じように、美容師を目指す人も「テクスチャードヘアに対応するため」の教育や練習の場を見つけるのが困難だと明かした。
「フランスの美容師研修制度は、時代遅れ。」
「残念なことに、テクスチャードヘアのカット方法を学校で教わることはなかった。」
自分自身で関心を持たない限り、テクスチャードヘアを扱う技術を習得するのは難しいという。
こうした教育制度の欠如も、カールヘアに対する差別的な見方を助長しているようにすら思える。
3つ目のテーマ
「子どもの髪質に対する愛情」
幼少期の髪についてのコンプレックスは大きな問題。
「子どもたちには、自分の髪がどんなものであっても愛せるということを、早い段階から説明する必要があります」とモーガン氏は話す。
そんなコンプレックスを解消するため、フリーカールズウィークは親子を招待し、『Pas Touche à Mes Cheveux(私の髪に触らないで)』という本を読む企画を実施した。
これは、大きく美しいカールヘアをもって生まれた6歳の少女の物語。
彼女のママは、ヘアケア方法を伝授しながら、髪の毛の違いを尊重し、自分自身を大切にすることを教えてくれる。
これはつまり、「NO TOUCH(むやみに干渉しない)」という強く優しいメッセージだ。
4つ目のテーマ
「完璧なカールヘアへの執着」
最後に取り上げられたテーマは「完璧なカールヘアへの執着」だ。
SNSではテクスチャードヘアが注目されるようになったが、その中でも「フィンガーコイル」と呼ばれるような一部のスタイルが脚光を浴びている。
フィンガーコイルのようにきれいにまとめ上げられたスタイルは、ある意味「完璧な」カールを目指す風潮としても見受けられる。
しかし、元々の髪に強いクセや縮れがある場合、理想的な巻きに仕上がらないことも。思い通りにいかず、不満を感じる人も少なくない。
しかし「完璧なカールを作ることが目標ではない」と、モーガン氏は主張する。重要なのは、私たちが持っているスタイルそのものを受け入れることに他ならないのだ。
髪の質感やクセ、悩みはきっと人それぞれ。髪の毛に限らず、容姿や性格だって同じだ。でも、どんなスタイルにも唯一無二の魅力があるはず。
4つのブースを回った今、フリーカールズウィークが1週間を通して伝えようとしたこのメッセージがあなたの心にも届いていると嬉しい。
『Free Curls Week』
【公式ホームページ】https://baraboucle.com/pages/free-curls-week
【公式Instagram】https://www.instagram.com/baraboucle/