サウナでおしゃべりってしてたっけ?

サウナ大好き作家・岩田リョウコさんと、サウナをこよなく愛する女優・清水みさとさん。

ふたりがどのようにサウナを日常に取り入れ、どんなサ活を楽しんでいるのか。気になりますよね? そこで、ふたりのサウナな日々を「交換日記」に綴ってもらいました。

今回は、リョウコさんからみさとさんへ──。

岩田リョウコ

文筆家、イラストレーター。アメリカ在住中に出版したコーヒー本『COFFEE GIVES ME SUPERPOWERS』が全米ベストセラーに。世界5ヵ国で翻訳出版されている。サウナ愛好家でサウナ・スパ健康アドバイザーの資格を持つ。著書に『週末フィンランド』、『エンジョイ!クラフトビール』、『コーヒーがないと生きていけない!』、『HAVE A GOOD SAUNA! 』『ちょっとサウナ行ってきます』。近著に『直訳やめたら英語が一気にできるようになった私の話』。
SNS:@ilovecoffeejp

みさとちゃんへ


山梨の「CYCL(サイクル)」良さそう〜!近いうちに一緒に行きたいです。

富士山って、これまでの人生でたぶん100回は見てるはずなのに、しかもなんなんらこの足で2回も登っちゃっているのに、なんでこんなに見飽きないんだろうって思いませんか? 見るたびに心がサワサワサワ〜って広がっていく感じ、しませんか?

毎回新幹線に乗ると撮ってしまう富士山©岩田リョウコ

静岡や山梨の人は毎日、富士山を見て生活してると思うんですが、どんな感じなんだろう? わたしたちの東京タワーとかスカイツリーみたいな感じですかね? 日によっては写真を撮りたくなる、くらいなのかな?

みさとちゃんの前回の日記『人生は、おしゃべりでできている?』を読んで、全然思い出せないことがあることに気づきました。コロナ前はサウナでしゃべってましたよね?もうすっかり「サウナではおしゃべりしない」がルールみたいになっちゃっていて、しゃべっていた時代のサウナのことを思い出せないんです。

©岩田リョウコ

例えばサウナ室に2人連れが何組か来ていたら、みんなそれぞれカフェみたいにワイワイしゃべってました……?まったく思い出せないんです、その光景。

 

記憶ってなんでこんなに長い期間のことが簡単にスルッと、そしてスコーンと抜けてしまうんだろう?

例えば、個人的な話なんですが、昔、4年くらい一緒に住んでいた恋人とどんなふうに生活していたのか思い出せないんです。旅行に行った思い出とか、こんな料理作って映画見ながら食べておいしかったな、とか断片的には思い出があるんですが。

アメリカでは犬2匹、人間1人と住んでました©岩田リョウコ

例えばこれもまたとっても個人的な話ですが、女性が避けては通れない生理の時とか。

月に一回のことですよ。なのに、4年間×12回の生理期間をわたしはどう過ごしていたのか思い出せないんです。ゴミはどうしてた?お腹が痛いと彼に言ってた?など、細かいことがまったく思い出せない!

彼との関係が悪かったから、記憶から消してるってわけではないんですよ。日常すぎる部分が抜け落ちてしまってる感じ。

 

そこで考えてみました。

これって、例えばいろんな場面が写真に残っていたり、その時のことを一緒に話す相手がいれば“反復”できるので、その時のことを脳に思い出させる、もしくは脳にとどめておくことができるけれど、反復がないと新しいことを入れるために脳が使ってないメモリーを消して、そこに上書きしちゃうんじゃないかな?って。

そう考えると、やっぱりスマホで簡単にその時の写真を撮れることって、記憶を蘇らせるカギを作っておけるんですよね。だって、もう別れてしまったずっと前の恋人と昔話に花を咲かせる機会って、そんなにあるわけじゃないと思うんです。となると、その時の自分の記憶は自分ひとりでは、どうがんばっても蘇って来ないんですよ。

写真があれば、急にそれがヒントになって、脳にパァッと映像が戻ってくる時ないですか?

写真があればこんな大笑いの理由も思い出せる!©岩田リョウコ

なので、おしゃべりも本当に大事だと思うんです。記憶の反復活動です。いつまでも、あの時おもしろかったよね、と反復することで記憶を生かし続けているんですよ、だから茂雄さんは呆れてるかもしれませんが、「記憶の反復活動」ですから!

 

あと記憶にないと言えば、サウナが好きになる前に行ったことのある銭湯。サウナを好きになってからは、そのサウナの特徴をしっかり観察するから覚えているんですが、お風呂だけ入ってた時は本当に無意識すぎて、覚えていない!

最近、代々木上原の昔懐かしい姿を今もとどめる「大黒湯」に行きました。ここもお風呂に入りにきたような、あやふやな記憶。

©岩田リョウコ

サウナは小さいながらも工夫してあってしっかりアツアツ。水風呂もバイブラで気持ちがいい!しかし特筆すべきはここの電気風呂!これまで入ってきた電気風呂でもトップクラスの強さ。内臓までグイグイ入ってきます。

©岩田リョウコ

そんなこんなで、日々入ってくる新しい記憶で昔の記憶が消されていかないためにも、おしゃべりを続けなきゃいけません。これからも記憶の反復活動、一緒にどんどんやっていきましょう〜!

大黒湯

【住所】東京都渋谷区西原3-24-5
【営業時間】15:50〜25:30(日曜日13:00〜25:30)
【定休日】第1・3水曜日

Top image: © 岩田リョウコ
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。