筋肉は年に1%ずつ減っていく・・・寿命を伸ばしたいなら、今からトレーニングするべき!

筋肉は、体全体の健康に大きく関わってきます。「若いうちから筋肉を落とさないことが大切」「いま運動しておくことが未来の健康につながるんですよ」と、全国各地の講演で伝え続けている久野譜也さん。ここでは彼の著書『筋トレをする人が10年後、20年後になっても老けない46の理由』より、その重要性と対処法をご紹介します。

01.
保険や貯金のように
”筋肉”の将来も考えるべき

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私たちの筋肉量は30代以降、年1%ずつ減り続けています。筋トレなどの運動をしなければ、10年先で10%、20年先で20%、30年先には30%の筋肉が減るのです。

そうなると、ちょっとしたことで疲れてしまうだけでなく、体が思うように動かなくなったり、腰やひざが痛んだりします。ですから、自分の未来を明るいものにしたいなら、いまのうちに筋肉をつけておくことが必須。

誰もが将来の苦労を減らしたいという気持ちを抱いています。“事故や災害に遭ったり病気になったらどうしよう”という不安があるから、生命保険や損害保険に入るわけですし、“お金で苦労したくない”から、貯蓄や運用をして増やそうとするわけです。

私は「筋肉」もこれと同じだと思います。筋肉もいまのうちに増やしておけば、それだけ後がラクになるのです。さあ、みなさんも未来を豊かにするための”財テク”をするつもりで筋トレをはじめましょう。

02.
自己管理ができない人
=仕事ができない

ニューヨークのエリートビジネスマンにとって、健康面での自己管理は「できて当然のこと」とされています。喫煙者や肥満の人は、もうそれだけで「自己管理ができない人=仕事ができない人」というレッテルをはられてしまうのです。

そういった風潮もあって、彼らは筋トレに対してとても熱心に取り組んでいるのです。ニューヨーカーにとっては、ジムで筋トレするのは日課のようなもの。みんな朝早く家を出て、ジムで汗を流し、シャワーを浴びてからオフィスに出勤しています。

03.
無理なダイエットで
「寝たきり予備軍」に?

ほとんどの人がダイエットの経験があると思います。なかでも、運動を行わず、厳しい食事制限によって減量したという人は要注意。あなたはすでに「寝たきり予備軍」に該当しています。

どうして「食事制限のみのダイエット」が「寝たきり」につながるのか。それは、筋肉がごっそり減ってしまうからです。ダイエットとリバウンドを繰り返すうちに、筋肉がすっかり細り、代わりに脂肪が増えて、両者の割合が本来あるべき姿と逆転してしまうケースもあります。

この筋肉量低下を決して甘く見てはいけません。わたしたちの研究では、「食事制限だけのダイエットを3ヵ月続けると、5%の筋肉が落ちる」という驚きの結果が得られています。これは、通常なら年1%の割合で落ちていく筋肉が、わずか3ヵ月間で5倍も落ちてしまったということ。いかに「ごっそりと筋肉が減ってしまうか」がおわかりでしょう。

04.
座っている時間が長いほど
寿命は短くなる

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「座って過ごす時間が長いほど寿命が短くなる」「1日に6時間座っていると、1 日3時間の人に比べて死のリスクが40%増える」
「テレビ、パソコンを1日4時間以上利用すると、死亡リスクが2倍になる」ーー近年、世界各国の研究機関でこうした研究発表が相次いでいます。どうやら、「長い時間座っていること」ほど健康に悪い行為はないようです。

デスクワークをしているときは、頭はさかんに動かしていても、体はほとんど動かしていません。キーボードを打つのに指や腕、目の筋肉は使っているかもしれませんが、他の部位の筋肉活動はほぼ停止した状態。

とくに下半身の筋肉は、座っている間中まったく使われないことになります。ではどうしたらいいか。たとえば、「20〜30分に一度は席を立つ」「1日に1〜2回は社外に出る用事をつくる」など、心がけてみましょう。

05.
現代の筋トレには
「忍耐」も「根性」もいらない

「筋トレ」というと、ものすごく苛酷で厳しいトレーニングを想像していませんか?しかし、まったくそんなことはないのです。現代の筋トレは、いわば「生活科学」です。

人間が生活や活動に欠かせない体の動きを維持するには、どの部分にどれくらい筋肉が必要かについて解明されています。しかも、年齢や体力、目的に合ったトレーニングプランも割り出すことができる。もちろん、運動経験のない女性にも、80歳以上のお年寄りにもふさわしい筋トレがあります。そして、そのトレーニングには「忍耐」も「根性」もいりません。あくまで、「自分にとって必要なだけ」のトレーニングをこなしていけばいいと思ってください。

むしろ、やってみればトレーニングを気持ちよく感じるでしょうし、体が疲れなくなったりラクに動くようになったりするにつれ、どんどん病みつきになっていくことでしょう。

06.
「500円玉貯金」のように
コツコツ続けることが大切

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たとえば、毎日500円玉貯金をしていくと、約20ヵ月で30万円にもなります。コツコツと貯めていけば、自分にとってありがたい財産となるわけです。筋トレもこれと同じようなもの。額は少なくてOK。

1日に行うトレーニングは、「最低限の量」で構いません。筋肉に対して効果を上げられる量をキープしつつ、ギリギリの線までハードルを下げて負担を軽くしていいのです。時間にして5分程度でしょう。

とにかく、大切にすべきは「継続性」。筋トレは負荷の高いトレーニングを短期的に行うよりも、負荷が軽くても細く長く続けていくほうがはるかに大事だと思ってください。

筋トレをする人が10年後、20年後になっても
老けない46の理由
コンテンツ提供元:毎日新聞出版

久野譜也/Shinya Kuno

筑波大学大学院人間総合科学研究科教授。スポーツ医学の分野において、サルコペニア肥満、中高年の筋力トレーニング、健康政策などを研究。2002年に「日本全国を元気にする」というミッションを掲げ、大学発ベンチャー「㈱つくばウエルネスリサーチ」を設立。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。