なんで最近、瓶でなく「缶入り」のクラフトビールが増えているんだろう

最近、こんな疑問を感じたことはありませんか?「クラフトビールはビン入りよりも缶に入ったもののほうが多い」と。どうやら日本だけではないようです。クラフトビール大国アメリカでも、売り場にはビンより缶がズラリと並ぶ状況だとか。

誤解を恐れずに言えば、なんとなくなくビン入りのほうが、小規模でローカルで、コミュニティに紐付いている感じを与えなくもない(流通を度外視すれば)。ですが、缶が選ばれている理由は他にちゃんとある。

この記事は、ミネソタ州でウイスキー醸造所を経営しながら、ブログを綴るEmily Vikre(fiveandspice)氏が、友人のクラフトビールメーカーに取材したリアルな声です。

クラフトビールは缶に詰める
わずか2年でシェアが5倍に

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Photo by Emily Vikre

私の自宅近くの酒屋には、「ビール・セラー」があります。これはクラフトビールのセレクションを貯蔵するための冷蔵ルーム。

ここ数年のうちに、ビールをめぐる保管、陳列方法に大きな変化が起こっています。こはく色のビンの壁や棚が、カラフルなアルミニウムの缶に置き換えられているのですから。もしかしたら、あなたもそれに気づいているのでは。

実際、缶入りクラフトビールの数は、2012年から約二倍に増加しました。加えて、米ブルーワーズ・アソシエーション(以下BA)によると、缶に入ったクラフトビールの割合は、2011年の時点で約2%、それが2014年には10%以上にまで跳ね上がっているのです。

数にしたらわずかかもしれない。ビンだって今なお9割近いシェアがある訳ですから。それでも、なぜ缶へのシフトが起きているのか。私は、ミネソタでクラフトビール会社「Bent Paddle」を経営する友人たちが、3年前の創業以来、缶で販売していることに着目。彼らに直接、聞いてみることに。

 

ビンより缶が選ばれる理由4つ

答えはじつにシンプル。Bent Paddleも、前述のBAも、そして缶を最初にクラフトビールに使用したOskar Blueすらも、すべて同じ結論に至っていた(もちろん共謀なんてありません)。結局のところクラフトビール会社は、自分たちのすぐれた製品を提供するのに、ビンよりも缶の特質に魅了されているからです。

では、その特質を見ていきましょう。

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ビールの品質を左右する
光と空気をバッチリ遮断

ビールの品質は光や空気との接触などを含む、いくつかの条件から影響を受けるもの。ビンに比べ、缶はより機密性が高く、すべての光を遮断してくれます。

大半のクラフトビールは低温殺菌がされていないため、この点は特に重要。劣化のリスクを減らし、ビールの状態を安定させるには、缶に詰めることに一日の長があるということ。

リサイクル(ほぼ)100%
60日以内に売り場に戻ることも

もちろんガラスもリサイクルされますが、現在アメリカにおいてアルミ缶の再利用性はよりいっそう高いものに。じつのところ、ほぼ100%がリサイクル可能なのです。

製造業に携わる人々の多くが、環境への負担を考慮するのが21世紀型の二次産業。再利用性の高い保存容器は当然ながら世のニーズと言えるもの。そして、一説によるとリサイクル処理されたビール缶はまた、60日以内にできたてのビールを詰めて、売場へと戻ってくるのだとか

さらに、ビンよりも軽量で、効率的に運搬できることも思うと、環境にも醸造所の収益にもいい影響を及ぼすことが挙げられます。

クラフトブームに合わせ
アルミ缶の製造技術も進歩

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昨今のクラフトビール業界では、缶そのものの製造技術でイノベーションが起こっています。これが小規模のビール会社であっても、缶入りの採用を可能にしている要因。

現在主流のアルミ缶には、わずかな味でもビールに付着するのを防ぐ、ライニング(被膜加工)が施されています。この加工コストが数年前より格段に抑えられるようになったため、中小規模のビール会社でも採用がしやすくなった、というのが本音のようです。

アウトドアでビールを楽しむ
ポータブルな選択肢

Bent Paddleの私の友人たちは、ハイキングやカヌー、ゴルフ、ビーチ、とみな遊びの天才。自分たちの「遊びの場」にお気に入りのビールを持っていきたい。それが、開発の想いのなかにはあるようです。

そうなると、どうしてもビンは理想的な相棒とは言えません。アウトドア・アクティビティにビールを持参したいと思えば、“缶に詰める”はよりポータブルな選択肢ということでしょう。

「クラフトはビンより缶」
を植え付けた大衆ビール

ところで、私の主観ですが昨今の缶ビール人気についてこうも思うのです。2008年前後に突如としてブームとなったPBR (パブスト・ブルー・リボン)が流れを変えた、と。

それは BudweiserやCoorsのような大手メーカーではなく、主流から外れた大衆的でレトロなビールでした。これが缶で販売されていたのです。唇に感じる、クールでメタリックな感触は、大学時代や1980年代を、私だけでなく多くの人に彷彿させました。

2002年から缶入りで販売しているOskar Bluesは、クラフトビールのテイストと、PBR風の外見とを融合させた見事なコンビネーション。ですが、このブランドが急成長し始めたのですら2009年頃からなんですから。

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