気候変動待ったなし。大洪水や熱波に負けない未来のシューズ。

どれほどデータで割り出しても、未来のカタチは目に見えないから……。

本当は迎えたくない未来からの手紙を3通、そこで生き抜くためのシューズとともに、ご紹介しよう。

1通目は、かつての水の都、イタリアはヴェネツィアから。

地球温暖化に伴って、私たちが予想していた2倍の速度で海面が上昇し、沿岸部は頻繁に洪水に見舞われてます。潮が引くこともあれば、永久に満ちていることも。水深のある場所を歩くために、竹馬のような厚底靴「VENICE HEEL」が発売されました。満潮用、干潮用で使い分けていますよ。

© 2021 Sruli Recht & Industry
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2通目は、火山性砂漠のアイスランドから。

高齢化社会において、見た目や気分を若く保つ技術はあっても、バランス感覚や運動能力の低下には歯止めが効かなかった。バランスを崩して転倒し、寝たきりで血栓ができることもままある。早期の予防のために、不安定な場所を歩いているという錯覚を与えることで、脳にバランス調整をおこなわせる靴「UN_BALANCED」が生まれた。

© 2021 Sruli Recht & Industry
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3通目は、みんなが余暇を過ごすアメリカから。

室内の温度を調節するために使われる電力は、いまや天文学的な数字になっている。室内を冷やせば、外の暑さが増すとわかっているから、みんな無理をしているんだ。そこで、エネルギーを使わずに体を冷やす靴「PHASE_CHANGE」が開発された。ゾウやウサギが大きな耳で血液を冷やすように、35℃以下では液体、35℃以上では気体になる相変化物質を、血管のように靴底〜膝下で循環させる仕組みなんだって。

© 2021 Sruli Recht & Industry
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招かれざる未来の物語3編と、フットウェアシリーズ「DAMAGE」を考案したのは、アイスランド出身デザイナーのSruli Recht。

靴がすっかりファッションアイテムとなった現代と未来像を重ねながら「ただ機能面だけにフォーカスし、(保護やトレーニングというカタチで)身体機能を拡張してくれる靴」を目指したそう。

その背景には「人が製品に合わせるのではなく、異なるライフスタイルや居住域に合わせて製品を人にフィットさせるべきである」という信念がある。

各シューズは、NFT(非代替性トークン)のマーケットプレイス「Foundation」で、デジタル&フィジカル作品として販売中

「どうか、こんなシューズを履いて過ごす日々がきませんように」と願う一方で、こんな世界になってもきっと問題に立ち向かうデザインの力に、希望を感じてやまない。
Copyright 2021 Sruli Recht @sruli_recht Industry @industrypdx
Photography Marino Thorlacius @marinothorlacius
NFT held at @withfoundation
 
collaborating with creative consultancy, Industry, in Portland, Oregon
Top image: © 2021 Sruli Recht & Industry
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。