ついに赤ちゃんがカプセルから誕生?人工子宮施設のコンセプト映像が話題に

先日、世界初となる架空の人工子宮施設「EctoLife」のコンセプト動画が公開された。そのあまりにも衝撃的なビジュアルが、いま全世界で注目を集めている。

© Hashem Al-Ghaili/YouTube

2017年、フィラデルフィアの科学者チームは「バイオバッグ」という人工子宮により、数週間にわたって羊の赤ちゃんを育てることに成功した。

今回の動画では、同じことを人間で行うとどのようになるのか、その全貌がうかがえる。

母親の子宮を再現したカプセルで成長する、無数の赤ちゃん。
この「EctoLife」は、再生可能エネルギーによる電力で稼働し、年間3万人の赤ちゃんを育てることができるそう。

赤ちゃんの様子はAIによって常にモニタリングされ、すぐに異常を発見できるシステムになっている。両親は、人工子宮内の360° カメラによって赤ちゃんの様子を観察したり、マイクを使って語りかけたりすることが可能だ。

赤ちゃんが完全に成熟すれば、ボタンを押すだけでカプセルが開いてご対面。これにより、早産や帝王切開といった心配はもはや過去のものとなる。

動画ではこうした人工子宮が、子宮摘出の経験がある人にも機会を与えられること、妊娠・出産にともなう合併症を軽減できることなどが述べられている。

また、体外受精によって卵子と精子を結合させる過程で、遺伝的に問題がない胚を選んだり、遺伝性疾患を持たないよう操作を行なったりすることができる。そのため、自身の年齢や病気といった生物学的なハードルなしに子どもを産むことも可能となる。

さらに、出産のプロセスから子宮を取り除くことは、驚くことに人間の進化の方法を変える可能性もあるらしい。

オスロ大学の准教授であるアンナ・スマイドール博士によれば、人間の子宮と骨盤の制約が、人間の脳と頭蓋骨の大きさにブレーキをかけていることが分かっているそうだ。

「通常の方法で『生まれる』必要性から解放されれば、新しい進化の軌跡への道が開けるかもしれない」と博士は述べる。

今回動画を投稿したプロデューサーのハシェム氏いわく、このコンセプトで言及されている要素はすべて科学に基づいて検証済みであり、技術的にはわずか10年ほどで実現が可能だという。

こうした技術にまつわる議論は、倫理的な問題から非常に難しいものになるだろう。しかし、世界的に大規模な少子化が進むなかで、決して無視できない話題であることは確かだ。

Top image: © Hashem Al-Ghaili
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