伝統の急須をアップデートした色鮮やかな「TOKONAME」でお茶をいれてみませんか?

常滑(とこなめ)焼といえば急須。こう形容されるほど愛知県常滑市は、古くから日常雑器の生産で栄えてきた町。その常滑焼に、とってもカラフルなティーポットがあります。

古くて新しいティーポット
「TOKONAME」

平安時代後期(1100年頃)より、日常雑器の生産が盛んな常滑市。当時は、じつに3,000基もの窯から煙が上がり、日本六古窯のひとつに数えられてきました。なかでも産地を代表する製品が急須をはじめとする茶器。青みがかった黒泥色や常滑伝統の赤土色をした朱泥色が、いわゆる私たちがよく知るところの急須のイメージです。

ところが、ここで紹介する「TOKONAME」のそれは、ご覧の通り淡いピンクにターコイズ、萌黄色と、まったくの別物。スタイルこそ急須なのに、色味が圧倒的に色鮮やかなのです。

たとえば、こちらの乳白色のポット。合わせるのはターコイズのカップ&ソーサー。どうです?この配色。素敵ですよね。

TOKOMANEはサイズの異なる3種類のポット、カップ、ソーサーで構成されたシリーズで、色は全部で6種類。柄もなくシンプルなデザインからは、古臭さは感じられません。こういうティーセットって、意外にありそうでなかったんですよね。

伝統から“イマドキ”
若きクリエイターたちの挑戦

ありそうでないモノづくり──。これを「伝統を更新するチャレンジ」と強調するのが、TOKONAMEプロジェクトの発起人であり、窯元「有限会社山源陶苑」の鯉江(こいえ)優次さん。900年の歴史ある常滑焼の伝統を現代の生活様式にフィットさせるため、プロダクトデザイナー・映像音楽クリエイター・グラフィックデザイナー・フォントデザイナー・フォトグラファーの有志6名を口説き落としました。

一見、まったく新しいプロダクトに思えるTOKONAMEシリーズも、いにしえより受け継がれてきた技術力と常滑焼きの持つ素材の魅力は、そのまま踏襲。足し引きの塩梅を考えに考え、こうして日常使いの急須は、ティーポットへとイノベーションを果たしたのです。

では、どこに革新が潜んでいるのか?
たとえば、古くから急須や湯のみに使われてきたこの土地独特の土の中から、白泥(はくでい)と呼ばれる白土のみを選択。ここに顔料を加えることで、これまでにない淡くやさしい風合いの6色を作り出しました。じつは、ティーポットもカップもTOKONAMEの茶器には釉薬(うわぐすり)を施さずに焼成するため、色も質感も土そのもの。きめ細やかな土肌を指先で実感することができるそうです。

土そのものの質感を残しながらミニマルなデザインに落とし込んでいく。ここ数年続く、国産の焼き物のトレンドは、このTOKONAMEにも。

何を残し、何を更新するか?

東京の陶器問屋に10年間勤めた鯉江さん。地元常滑に戻った彼がずっと心に抱いていたのが前述の「伝統の更新」というチャレンジだったそうです。そのために常滑焼の何を守り、何を更新していく必要があるのか…?6人のメンバーは合宿を重ね、プロジェクトのコンセプトを練り上げていきました。

「伝統技術と素材の魅力は残す」
「つくることと伝えることは同価値」
「鮮度の落ちないニュートラルな商品のスタンス」

やきものの町の伝統を変えてしまうのではなく、アップデートを施していく。こうして、懐かしくて新しいモダンな茶器は誕生しました。

鯉江さんたちのチャレンジは、全国各地のワークショップの場でも活かされているようです。こちらは、大分県の老舗茶屋「聴潮閣」で行われたお茶の淹れ方教室での様子。銘茶をTOKONAMEでいただくこの会には、若い人たちも多数参加。お茶離れ?いえいえ「古くて新しい」スタイルって、結構楽しいものですよね。

日本茶だけでなく、紅茶もコーヒーも。シーンを選ばず自在な使い方ができるのって、やっぱり使い勝手がいい証拠。オンラインショップも併設したサイトには、もっと詳しい情報も。
さあて、ここらでちょっとお茶にしませんか!

Licensed material used with permission by TOKONAME
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。