食材はゴミ!?「Less is More」なコペンハーゲンの未来すぎるレストランを取材してきた

デンマークの首都コペンハーゲンに食産業の異端児がひっそりと佇む。

ヨーロッパで初めての、「ゴミ」を食材として利用するレストラン。いかにもデンマークらしい、自由で、やさしくて、クリエイティブで、ハッピーで、ピースなレストランだ。

F34e5b203dd8919bc4dad3cce9f300f820100f91

名前は、「Spisehuset Rub & Stub」。

NPO
(非営利団体)によって運営され、デンマーク難民委員会にも参加している。

目的はただ一つ。食品廃棄物と戦うこと。

食産業から生まれた〝ゴミ〟を利用して、コペンハーゲンからゴミを減らす活動をしている。
そんなクリエイティブで、途方もなくピースなレストランを取材した。

(英語版サイトはこちらから)

01.
”ゴミ〟レストランへ!

D66a0706a726f236f9630b942a9470bef66f04a5

デンマーク人の友達に「面白い場所ある?」と聞いて教えてもらったレストラン。

住所だけ調べて、とりあえず下調べなしでレストランに向かった。

0c5970c2d2f61c83655bd4ac0e84bc3522a68f46

カッコいい!!

後から聞いたところによると、この建物なんと築300年以上!コペンハーゲン市内の中でも有数の歴史的建造物らしい。

店内へ。

1b27cae5a7563ed7a5bd5dc1a1dcb985ab6550bd

デンマークらしいシンプルなオシャレを演出するレストラン。

98e71bf0c5ecc9c58f751f3e49b5bf5ca75bbcb7

メニューはどうやら3つ。

F797606fc6a9b5ab7b81f58e562bc68682bf78be

一番上のを注文すると、店内を見て回る間もなく食事が。

はやっ!!
スタッフから一言、「おかわりは自由よ」。

845661fa0d389199faff07c3714e1577338f18b4

おいしい!!!この後、おかわり2回(笑)。

食べ終わると、スタッフを見つけて直撃取材へ。「ちょっと時間いいですか?」と声をかけると、「10分だけね」とスタッフのマリアさん。

61fb67c551cf8e853739dddaa7288e1824f7b33c

まず、食事はおいしい。でも何が面白いのだろうか?

「友達に面白い場所教えてって聞いたら、ここを紹介してくれたんだけど、何が特別なんですか?」

6d0d1f5cdeecef94b1eb5c09deaa7c8d1fa02267

「そんなことも知らずに来たの?あなたが食べた食材の40%は〝ゴミ〟よ」

(えっ、えーーーー!!!)

D2aa32a580fe929563e07dc6bc6ca64286c69b06

「ゴミ」と聞いて驚いたが、ちゃんと厳選された〝ゴミ〟が寄付され、使われているという。形が悪くて売れない農作物だったり、生協やスーパーマーケットで賞味期限切れになった商品だったり。

「私たちは、食料廃棄物と戦っているの。だから食べ物のゴミを減らす活動をしているの」

6a33293c23b50a794ee82fc0e9710d3f84bb51c3

このレストランのポイントは5つ。非営利、ボランティア、日替わりメニュー、おかわり自由、持ち帰り自由。

「おかわりも持ち帰りも自由。いっけん矛盾するように思うでしょう?

でも、ゴミを出さないことは、消費しないこととは違う。消費しながらもゴミを減らせるサステナブルな道がある、と私たちは信じているの。

その代わり、メニューはその日にならないとわからない。当日にならないと、どんな〝ゴミ〟が調達できるかわからないから、メニューを前もって決められないの。もちろんこちらの一方的な都合だけど、お客さんとしてもリアリティがあって面白いでしょう」

Cea10269757502b694d6260f7716d29558c53d42

このレストランは2013年秋にオープンし、最初の1年半で3.5トンもの〝ゴミ〟を生き返らせたという。

食事の中の〝ゴミ〟の割合は現在平均40%。この割合をあげようと日々挑戦中だという。

また、ベジタリアンメニューも必ず毎日用意し、どんな人にも食事を楽しんでもらう工夫をしている。

02.
「物質」ではなく、
「物語」を消費して前進する

Af1de0acef16755da43fad02e25a6e6857e224a2

ここでひとつの疑問が。このレストランはどのように運営されているのだろうか?

「私たちは非営利組織。私たち主要なスタッフ4人以外、すべてボランティアによって成り立っているの」

スタッフの内訳は、2人のキッチンリーダー、フロアマネージャー、プロジェクトマネージャー。ボランティアスタッフはなんと120人いるんだとか。ものすごい人数…。

C0dce7bec01db045a1451df6839e0c7cd9397d48

では、どんな人がここで働いているのだろうか?

モチベーションは人それぞれ。時間が余ってる人、シェフとして訓練したい人、社会問題に問題意識がある人、いろんな経験を積みたい人、コミュニティに身を置きたい人…」

24991027b83319834317ea1bd337bf1a368dc2eb

「食料廃棄物が大問題だって当たり前だよね。誰だってわかる。

そういうコモンセンス(良心)によってこのレストランは成り立っているの。従業員もボランティアもお客さんも、みんなこの社会問題と戦っているのよ。

だからなんとなく働いているのとは違う。私ももともとボランティアとして入ったんだけど、途中で雇ってもらって、今では仕事をしながら仲間と戦って。

何より、食べに来てくれるお客さんを見るのが本当にうれしくって。
そこにはおいしい以上の何かがあるから

340c88296975db3e30a29b43b38fc4ded08a6a86

「食料廃棄物」という物語に、仲間が集まる。そして、一人ひとりの求めるものは違えど、同じ大きな目標に向かって共に前進していく。

「誰もこうしろ、ああしろと強制したりはしないの。関心が強い人はボランティアとして参加すればいいし、そこまで関心はないけど問題意識が少しでもある人は消費者として参加すればいいから」

やさしさや想いをシェアできる仲間がここに集い、コミュニティが生まれる。

だからだろうか。このレストランはとても温かく、居心地がよくて、ピースなのだ。

03.
〝Less is More〟
私たちの信じる道

D1f998b21133217f23198eb6df086922c9753163

「私たちは、〝Less is More〟を信じているの」

077fd21b260081c239282f4b82300819e2778cb0

「このレストランは、革新的な食料廃棄問題の解決法を提案しながら、新しい価値観を作ろうとしているの」

ゴミ排出大国、日本。20世紀型の物質至上主義的な資本主義に飼いならされたぼくらは、どうしても物質的な豊かさと精神的の豊かさをイコールで結んでしまいがちである。

しかし、このレストランはその価値観に真っ向から反対する。「少ないことはより豊かだ!」と。

7270d7247cffc804f0fedbe382fa3a6f52e93e50

マリアさんは最後にこう付け足した。
「これって、ものすごくデンマーク的な価値観なんだけどね」

45e7584c14f6615cb313ba6515b577867f027096

コペンハーゲンで出会った、21世紀型の革命的なレストラン。常識や固定概念にとらわれず、自分の信じる豊かな世界を実現しようとする。

そんなレストランはどの角度から覗いてもどこまでもやさしく、ピースで、とても美しい。

デンマークの人々の根底に流れる、自由と寛容性、それと共生の精神。その文化の上にクリエイティビティを開花させ、食料廃棄問題という闇に希望の光を照らす。

ここからやさしい革命が始まる。

EPOCH MAKERS

世界の片隅で異彩を放つ、デンマーク。この小さな北欧の国は、情報化がさらに進んだ未来の社会の一つのロールモデルになり得る。EPOCH MAKERSはその可能性を信じて、独自の視点から取材し発信するインタビューメディア。http://epmk.net/

普段はそうでもないが、今回ばかりはこう思わずにはいられなかった。「学生時代に戻りたい」と。ただし、コペンハーゲンの学生に限る。どうやら彼らは、こんな恩恵を...
2016年2月22日、デンマークの首都コペンハーゲンにオープンした、賞味期限切れの食品を専門に扱うスーパー「Wefood」が話題を呼んでいます。通常のスー...
世界的な課題とも言える大量の廃棄物は、さまざまな形の「リサイクル」となって、解決の一歩を踏み出そうとしています。ここでは、ファッショナブルなものから斬新な...
小規模なビール醸造所で職人たちがつくるクラフトビール。狂乱ブームの波が過ぎコーヒー人気のように、ようやくスタイルやシーンに浸透してきた日本。けれど、海外で...
2016年5月10日、NYのユニオン・スクエア・パークで開催されたとあるフードイベントで、5,000食のランチが無料で振る舞われたそうです。調理を指揮した...
法案は「全会一致」で可決。2016年2月5日、フランスは世界で初めてスーパーマーケットに対し、売れ残り食品の廃棄を法的に禁ずる国となった。今月5日から、廃...
ニキータ・クラストルゥプ氏(20)は保守党で活動するれっきとした「政治家」だ。過去に彼女が保守党のパーティに現れた際、その少し派手なファッションに世界中の...
骨の髄まで料理にしてしまうほど、あらゆる料理法が確立されている中国。ところが、急速な経済成長による外食産業の発展とともに、お客の食べ残しや、余分に仕入れた...
コペンハーゲンを拠点とする建築事務所・EFFEKTが、高さ600mにもなる遊歩道のコンセプトデザインを発表しました。樹木で作られた螺旋階段を登れば、雄大な...
あなたは、冷蔵庫の中身をすべて把握できている?いつ買ったかも覚えていない、いつ食べるかも分からない食料がゴロゴロしている。そんな人にこそ見てもらいたいのが...
ドアを開けると、にぎやかな笑い声が飛び交っていた。僕は入る建物を間違えたのか…。呆然としていると、「Hi」と握手を求められた。「あなた、見ない顔ね?私にで...
オランダで開発された「Goedzakken」は、捨てられているモノを欲しいと思った人に気軽に拾ってもらうために、中身をあえて見せるようにデザインされたゴミ...
食料廃棄を減らすムーブメントは、これまでにもいくつか紹介してきましたが、ロンドンでリリースされた「OLIO」は、ユーザー間で余った食料を「おすそわけ」する...
世界の海に浮遊する海洋プラスチックゴミを再利用して、海中に持続可能な都市空間を建設する。発想が飛躍しすぎて、もはやSF映画のようですよね。これを大真面目に...
一見すれば、まるでホテルや集合住宅のよう。コペンハーゲンにいかにも北欧らしい、シンプルでモダンな印象の病院があります。病院なのにとっても居心地がいい。矛盾...
まだ食べられるのに、消費期限が近いからという理由だけで廃棄されてしまう大量の食材。誰もが「もったいない!」とは思うものの、具体的に解決しようと思うとそれは...
巨人というのは、破壊したり、人を襲ったりするような、とにかく暴れまくる「怖いヤツら」というイメージでした。だけど、木でできた大きな彼らの表情があまりにも優...
世界大会をじつに11回も制した、サーファー界の生きる伝説ケリー・スレーター。彼が立ち上げたファッションブランド「Outerknown」、オシャレなことは言...
大量に廃棄されている衣料品をリサイクルする目的もあり、デニムでつくったサングラスが開発されました。環境問題に関心のあるデザイナー2名が、クラウドファンディ...
日本では当たり前のようにある「学校の掃除の時間」ですが、世界的に見るととても珍しい文化だとよく言われます。「みんなのものをみんなで大切に」という教育がされ...