「カバンの中に入れっぱなし」なら、この傘で。

1980年代前半、ロッククライミングをしていた自分たちにとって、国内メーカーで先進的なアウトドアウェアやギアを出している〈モンベル〉は特別な存在でした。

とくに衝撃的だったのはフリースです。

当時、冬用ウェアといえばダウンぐらい。そしてダウンは自分にとって高価でした。そこに国内メーカーが本格的なフリースを発売してきた。周囲のクライマーが、みんなこぞって着ていたのを覚えています。

そんな経験もあり、今でも〈モンベル〉のショップには定期的に足を運びます。

高品質なアウトドア用品という意味では、海外メーカーを中心に無限に選択肢がある昨今ですが、〈モンベル〉は世界レベルで高品質なウェアやザック、靴を作っていて、しかも手が出しやすい価格だったりします。

同じような立ち位置のメーカーとして〈スノーピーク〉が思い浮かぶかもしれませんが、自分のなかでは、〈モンベル〉は登山でスノーピークはキャンプという位置づけです。

最近、ショップで見つけたのが、この傘です。

トラベルアンブレラ」というモデルで、わずか86gという軽さがウリです。

“超軽量の傘”は、オンリーワンの存在ではありません。ただ、その多くは軽さを重視するあまり、実際使ってみると壊れやすいこともしばしば。〈トラベルアンブレラ〉は、超軽量なだけでなく、ちゃんと作り込まれているのがポイントです。

ポルカテックスという高い撥水性能の素材が使われ、縫製などもアウトドアメーカーらしくしっかりしています。

カラー展開は、ホワイト、サンセットオレンジ、ブルーブラックの3色がラインナップされていますが、ホワイト以外はいかにも山用というシブい色合い。僕はシティユースを想定して、都会的なホワイトにしました。

見た目にスマートだけでなく、バッグパックなんかにざっくり入れても視認性が高く、取り出しやすい。軽いので、天気に関わらずバッグに入れっぱなしです。

価格は税抜きで5,200円。

価格だけでみれば安くないかもしれません。でも、安いビニール傘を壊れては買い直すことを考えれば、そしてモバイルしやすい重量や作り込まれたディテールを考えれば、決して高価ではないのでは? シンプルで、しっかりと作り込まれたモノは、ジャンルを問わず長く使えるというのが持論です。

ちょうど、これから梅雨の季節。折りたたみ傘を買おうという際の選択肢に入れて、間違いないと思います。

佐々木俊尚/作家・ジャーナリスト
キュレーターとして、Twitterで情報技術やメディア、社会について積極的に発信中。食文化や登山、音楽にいたるまで、守備範囲は広い。最新刊は『そして、暮らしは共同体になる。』。

Photo by 元家健吾

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