『Reborn-Art Festival 2017』 "1泊2日"アート体験が、謎だった。

「LOCALとの対話」——と聞き、我らがTABI LABO、LOCALチーム、黙っていられませんでした。

その言葉は、
あの芸術祭にありました

私たちを引きつけた魔法のワード「LOCALとの対話」は、『Reborn-Art Festival 2017』のプレスリリースにあった。

『Reborn-Art Festival 2017』は、宮城県石巻市を中心に、2017年9月10日(日)まで開催されている芸術祭だ。

環境問題と向き合うべく、2015年から行われていた野外フェス『ap bank fes』。2011年、2012年は東日本大震災の復興支援をテーマに催されたが、その後4年間は「今はすべての力を被災地の現場に注ぐべき」と休催の道を選んだ。2016年、総合芸術祭が誕生することがアナウンスされると、そのプレイベントとして『Reborn-Art Festival × ap bank fes 2016』を開催。『ap bank fes』は復活し、今年、満を持して『Reborn-Art Festival 2017』開催されるに至った。

東日本大震災から6年のときが経った今だからこそ、現地で暮らす人々と、そのエネルギーに共感したさまざまアーティストがともに何かできるのではないか——そんな思いを乗せ、『Reborn-Art Festival 2017』は幕を開けた。東北の自然、食材、歴史、文化を舞台に、地域のさらなる復興を目指して。

わーい、行きたーい!
て、気軽に思ってました

『a.p bank fes』が復活したときからこの芸術祭には注目していたし、さらにはプレスリリースに「LOCAL」の文字を見つけ、「あ、これ取材とかいけるんじゃん?(経費で)」と胸を弾ませた——のもつかの間。

私は、混乱した。

「LOCALとの対話」と書かれたプログラムは、『Reborn-Art Walk』という項目だった。これは、宮城県北東部に位置する牡鹿半島(おしかはんとう)で行われた、体験型プログラムだ。

プログラムでは、ワークショップやアート鑑賞のほか、刺し網漁、鹿の解体といった牡鹿半島ならではの体験ができる。
内容は明確だ。鹿の解体とか未知すぎるし、おもしろそう。しかし——。

[ 日程 ] 一泊二日

なんだ、この拘束時間は。
それが、唯一にして最大の混乱を引き起こした要因だった。

芸術祭が乱立する今日この頃、アート、特に現代美術は私たちにとって「なんかよくわらかないもの」から、「あいかわらずわからないけど、なんか楽しめるもの」に変化した。広大な大地で観る圧倒的なランドアート、大声をあげてみんなで体験できるインスタレーション……。アートは、エンターテインメントとしての機能を求められ、果たすようになった。

そんな時代において、ここまで時間とエネルギーをかけ、アートを体験する——これは何を意味するのか?

そのカギとなるのが
「Reborn-Art」
(だと思ったんですが...)

そもそも、「Reborn-Art」とは何ぞや、という話。
『Reborn-Art Festival 2017』のコンセプト紹介では、こう書いてある。

Artとは「人が生きる術」すべてを指すArsということば(ラテン語)がもとになっています。私たちは震災以後はっきりと、自分たちのまわりからほんとうの「人の生きる術」が失われかかっていることを、認識するようになりました。いまもっとも必要なことは、この「人の生きる術」を蘇らせ取り戻すことにあると考えています。

私たちがこの「Reborn-Art」を発見/再発見し、地域が前進するためのエネルギーを生みだすこと。それが『Reborn-Art Festival 2017』の目的—— 。

と、まとめてはみましたが、正直よくわかりません。
だけど、こういうときにどうするべきか、私、知っています。

百聞は一見に如かず。
とにかく、行け!!!

というわけで8月10日(木)朝、カメラマンとともに、このツアーのベースキャンプとなる石巻市立荻浜小学校へ向かったのでした。

〈DAY1 10:30〉
すべてはここから始まった

台風の影響で、一時開催が危ぶまれた『Reborn-Art Walk』も、無事開催が決まりひと安心。

集まった13名の参加者をナビゲートするのは、成瀬正憲さんだ。

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成瀬さんは、9年前に山形県に移住し、羽黒町観光協会職員として活躍。山伏文化などの研究を行ったのち、「日知舎」を設立。今も、地域文化の継承や発展のため、さまざまな表現活動に取り組んでいる方だ。

「このツアーは牡鹿半島の自然に触れ、自然の触れ方そのものをつくる旅です。そのために、これまでみなさんの行ってきた『経験の仕方』をいったんリセットします。新しい経験の仕方を身につけ、プログラムを体験してください」

これが例の、「Reborn-Art」を蘇らせる方法なのだろうか。
まだ、半信半疑。なぜなら、「体験をリセットする」ということがよくわからない。経験は蓄積されるものではないのか?

と、頭で考えるのがそもそもよくないんだろう。とりあえずここは、全力でプログラムにとりくむことにしよう、と決意を固める。

〈DAY1 10:30〉
カラダ、目醒める?

オリエンテーションからの流れで、最初のプログラム『体をめざめさせるワークショップ』がスタート。

講師を務めるのは、舞踏家の向雲太郎さん。

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向さんは、1994年に舞踏カンパニー『大駱駝艦』に入団し、舞踏家のキャリアをスタート。国内はもちろん、アメリカを含む海外4ヶ国の公演にも出演した。2012年の退団を機にソロ活動をスタートし、常に新しい舞台表現を求めて活動している。

「頭と体をからっぽにして、これから始まる旅のよりよいガイダンスになるとうれしいです」

「Reborn-Art」がさっぱりわからず、そもそも空っぽなんじゃないか疑惑がある頭を、この際もっと空っぽにしていこうではないか。

向さんの指示通り、大の字に寝て目をつぶる。

「自分は水が入った皮袋だとイメージしてください」

え? 皮袋? それも水入りときた。
なかなかに難易度が高い。

そう思っていること自体、もしかしたら私の頭のなかで、「体験」の型ができてしまっている証拠なのかもしれない。

「柔らかい風船に水がいっぱい入った状態をイメージして、横にゆーっくり揺れてください」

ゆらゆら身体を揺らしたあとは、四つん這いになって立ち上がる。それも、関節や筋肉を使って立ち上がるのではなく、水や玉の力で起き上がる動きをイメージして。

何だろう、この不思議な動き……。
そう思うのは私だけじゃなかったようだ。なかなか日常ではやらない動作に、みんなちょっと、恥ずかしそうな様子。

ただ、その一方で私は、イメージ通りに動くことができないフラストレーションも感じていた。意識してこなかっただけで、「体験」の型は、頭だけではなく肉体にもしみついているのだろうか。

もしかしたらこのフラストレーションは、産まれる時に殻を破る痛みみたいなものなのかな。これまでの「体験」をリセットし、生まれ変わる時に伴う感情なのかも。

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立ち上がったら、次は、歩く。

「氷の上を歩くように」
「今この瞬間が二度とない瞬間だと味わうように」
「海の中で水に動かされるように」

向さんの豊かな表現が、私を苦しめていく(笑)。
ただ、それをイメージし、体現しようとすればするほど、普段意識していなかった動きや感触に気づくことができるようだ。

ワークショップが終わるころには、心と体が多少は柔らかくなった気がする。私はここから、本格的に「体験」をアップデートしていくのだ。この心と体を使って——。

(次回へ続く)

Photo by 川島佳輔
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