やはり、人間は「陽に当たらないと」ダメになる……?

ワークライフバランスに注目が集まる昨今。意外と焦点をあてられていなかったのが、「シフト勤務」に関する研究だ。

この働き方が、うつ症状や不安障害にどれだけ影響するのか。英国で実施された大規模な研究により、勤務時間とライフスタイルが健康に及ぼす影響が明らかになった。

結果として、シフト勤務はメンタルヘルスに悪影響を及ぼし、精神障害のリスクが上昇することが確認された。

シフト勤務が、精神疾患のリスクを上げる

研究は、イギリスのバイオバンク調査データを基に、175,000人以上の労働者を対象に行われたものだ。

対象者の男女比はほぼ均等で、シフト勤務者の割合は全体の16%だった。

これらの労働者に対して9年にわたる追跡調査を分析したところ、シフト勤務者は、その他の労働者と比較してうつ症状の発症リスクが22%不安障害のリスクは16%高かったという。

また、ライフスタイル要因(睡眠時間、栄養、BMI、運動不足など)が、これらのリスクに大きく寄与していることも明らかにされた。

肝となるのは、やはり「ライフスタイル」

ここで言うシフト勤務とは、いわゆる夜勤や、早朝などの通常の業務時間外に働くことを指す。この働き方を長期間に続けることで、心の健康に多大な影響を及ぼす可能性が指摘されている。

特に、シフト勤務の頻度が高い、または継続年数が長いなど、この勤務スタイルが生活に落とし込まれているほど、リスクが高まる傾向が見られたそう。

また、単純な業務時間とは別に、ライフスタイルの要因がこの傾向に大きな影響を与えているようだ。

研究によれば、睡眠不足やBMI(体重指数)、摂取物や運動不足といったライフスタイルの悪化が、うつ症状や不安障害の発症に大きく寄与しているとのこと。

これらの要因は、うつ症状との関連性において約33%、不安障害において約20%のリスク上昇に繋がると説明されている。

しかし、「シフト勤務の継続年数が長いほど、うつ症状や不安障害のリスクが少し減少する」という真逆の可能性も報告されていた。これはシフト勤務に慣れることで、ストレスや疲れが減少し、精神状態が回復することを意味している。

改善策の提示は喫緊の課題に

研究の結論部分で引用されたコメントによれば、「公衆衛生上の介入、特に健康的なライフスタイルの促進が、シフト勤務者の心の健康を向上させる可能性がある」とのこと。

この研究は、シフト勤務とメンタルヘルスの関連性について直接言及した最大規模の調査となった。ここで出された詳細なデータは、今後の対策作りへの橋渡しとして期待できそうだ。

特に、シフト勤務者であっても「メンタルヘルス向上の鍵はライフスタイル」である可能性が示唆された点は、昨今のワークライフバランス重視の傾向とも一致した、現代的な視点と言える。

次なるステップは、どのように彼らのライフスタイルを最適化するか、そしてそれが具体的にどれだけの効果をもたらすかを調査することだろう。

多くの労働者(イギリスの労働人口の16%)に影響を与える、重要な問題だ。具体的な解決策が求められる状況で、今後の研究とその応用が注目される。

「9年間の追跡調査」とある通り、かなり大規模だったことが窺えますが、結局のところ勤務時間そのものというよりも、ライフスタイルの影響が強かった。これは今までに散々言われてきたことですし、改めて、といった所でしょうか。

シフト勤務者、特にいわゆる夜勤の人々とその他の相違点を踏まえると、やっぱり「太陽に当たること」が人間にとって大事、と言う話なのかな……と感じています。

それを偲んで夜に働いてくれてる夜勤の方々には、精神面や生活面でより充実した福利厚生が適用されることを願います。

Top image: © iStock.com/konopporn
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。