TVCMでも話題!バイリンガール吉田ちかは、なぜ「ユーチューバー」なのか?

最近、よく耳にするようになったユーチューバーという言葉。その新たな自己表現方法と働き方はまさに時代の先端ともいえる。YouTubeのCMでもお馴染み、日本発の人気ユーチューバー「バイリンガール」こと吉田ちかさんは、その象徴的な人物だ。TABI LABO共同代表の久志尚太郎が、かねてより親交のある彼女に迫る。

001.
企画から制作まですべて自分でやる!
ユーチューバーってとてもクリエティブなんです

久志 YouTubeで公開中の英語学習コンテンツ「バイリンガール英会話」は、チャンネル登録者 24万人。最近ではCMにも出演するなど、すごい勢いですが、職業はユーチューバーでいいんでしょうか?

ちか そう言われていますね(笑)。ただ、「バイリンガール英会話」以外にも、広告と連動した動画制作をしたり、企業のコンテンツへ出演したり、英語学習者向けの英字新聞「The Japan Times ST」で連載をしたり。活動の幅は結構広いんですよ。

久志 海外のユーチューバーと同じで、タレント化していますね。だけど、ただのタレントじゃなくて、もはや自分自身がコンテンツであり、メディアというのがユーチューバーのおもしろいところだと思います。実際、動画制作などは、全部一人でやっているんですよね?

ちか ええ。アイデアから撮影、編集まで、全部一人。だから、自分としてはクリエイターという意識が強いんです。テーマは「エデュケーション」と「エンターテインメント」の融合!

久志 経歴を見ると、もともとは外資系のコンサルティング会社に勤めていたそうですが、クリエイターへの憧れがあったんですか?

ちか そういうのはなかったんですが、昔からやりたいことをやってきたという流れはあります。

子どもの頃から、絵を描いたり、ドールハウスを作ったり、基本はモノづくりが好きなコでした。中学生になった頃から、パソコンが使えるようになりホームページ制作にハマって、大好きなバックストリートボーイズのファンページを作ったり(笑)。

今思うと、一人っ子だからっていうのがあったかも。一人で遊んで、一人で楽しむっていうのが小さい頃から当たり前でした。

ただ、今のように明るい性格だったかっていうと、幼い頃はそんなこと全然なくって・・・。家族の仕事の関係で、小学一年生でアメリカに移り住んだんですが、そこが白人ばかりの小さな田舎の街だったんです。だから、「自分はちょっと違う」っていう意識がずっとあって。あまり自己表現が得意じゃなかった。

久志 その違和感みたいなものって大事だと思いますね。僕もいろんな人に出会うんですが、新しいことにチャレンジしている人って、皆「違和感を持って生きてきた」と言うんですよ。

ちか へ〜。でも、私の場合は、カッコイイものじゃなくて、ちょっと劣等感に近いものだったと思いますよ。アメリカの方って一般的に自分をアピールするのが上手じゃないですか?そのなかにあって、自分はなかなか個性を発揮できなかったんです。内弁慶というか、家の中では母親の前で踊ってみせるのに、クラブに行っても踊れないとか(笑)。

久志 そこからどんなふうにブレイクスルーしたんですか?

ちか 大学に入学したのが転機でしたね。シアトルだったんですが、それまでに住んでいた街と環境が変わって・・・簡単に言えば多国籍だった。いろんな人種の人たちと出会い、やっと一人ひとりの違いを理解して、吉田ちかという「個」でいいんだと思えたんです。

久志  僕も小さい頃から外見がちょっと濃いめで(笑)。ずっとそれを気にしていたんですが、海外に出ることで全然気にならなくなった経験があるからわかりますね〜。「いろんな人がいる」とわかった途端、自分のコンプレックスとかが全部個性になっちゃう。

ちか まさにそんな感じです!YouTube上でのコミュニケーションってすごくリアルに近いと思う。

YouTubeのCM。こちらはテレビでお馴染みのものよりも長いバージョン。ユーチューバーになった経緯をサクッと知ることができる。

002.
YouTube上でのコミュニケーションってすごくリアルに近いと思う

久志 そんな過去から想像できないぐらい、今YouTubeで見るちかちゃんは、輝いていますが、僕は個人的に「YouTubeだからこその自然体」がカワイイなって思っているんです。YouTubeってものすごくユーザーに届くものなのに、発信者側は家にいる。舞台とかのように作り込んだ場ではない分、素の魅力が伝わるものだと思うんです。

ちか 舞台だったら絶対できないだろうなあ(笑)。

「バイリンガール英会話」では、私自身が100%楽しんで、自分が満足のいく動画しかアップしないんです。自分が楽しんでコンテンツを作っているというのは、きっと見ている側にも伝わるだろうし。あと、英会話がテーマと言っても、堅苦しいレッスンの雰囲気はないので、勉強している感覚が少ないというのもいいんでしょうね。

久志 楽しんでいる感じは、見ていてスゴく伝わってきますよ。ただ週2本程度動画をアップしていますよね?それって、個人でやるには結構大変なんじゃないかって思うんです。作業だけじゃなくて、モチベーションの面でも。

ちか ところが作りたい動画があり過ぎて、追いついてないくらいなんです!

もちろん忙しい時期が続いて、疲れちゃう時もあるけど、コンテンツを待っていてくれる人がいると思うと俄然がんばれます。やっぱり作品は、自分のためだけではなく、見てくれる人がいるからこそ成立するもの。そしてYouTubeという場所では、常に「生の」フィードバックをユーザーからもらえるので、原動力になりますね。

久志 その反応って最初から楽しめましたか?一方でユーザーのフィードバックって怖い部分もあると思うんだけど・・・。

ちか 最初は反応を見ながら「どこまで自分を出していいかな」って。結構手探りでした。でも、それってネットだから、YouTubeだからじゃないんです。むしろ、リアルでの恋愛なんかと同じで、当たり前のことだと思う。コミュニケーションを取りながら、少しずつ自分を出していく。「この人はどこまで受け入れてくれるんだろう?」とか。

久志 なるほど。SNSでのコミュニケーションも、結局リアルと同じルールで考えていけばいいのかもしれないですね。特別なことじゃない。

ちか 一方で、クリエイターとしてはYouTubeだからこその動画テクニックもあるんですけどね。

例えば、テンポ。テレビよりも短い時間で伝えることが大切だし、他のページに飛んでいっちゃう時間を与えちゃいけないっていう前提があります。だから、しゃべってない部分はなるべくカットして、効果音を使ったり。飽きさせない工夫っていうのは、常に考えています。

久志 それって体系化されているものじゃないですよね。独学?

 

ちか うん。海外の成功したYouTubeの事例をたくさん見て勉強しました。おもしろいだけではダメなんですよね。ちゃんと役に立つコンテンツであること。

そしてなにより大事なのは、ユーザーが欲しがっているものだけを届けるんじゃなくて、自分が伝えたいことをどう響かせるか考えること。そうじゃないと退屈なコンテンツになるし、自分自身もつまらなくなっちゃう。

003.
「好きなことで、生きていく」
そのためには、プロセスが必要です

久志 今、ちょうどCMでちかちゃんが「好きなことで、生きていく」って言っているじゃないですか。あれって素晴らしいメッセージだけど、なかには「適当に好きな動画をアップしているだけでしょ?」みたいなことを言う人もいるんじゃないですか?

ちか いますよ。なんだか簡単に見えるようで。「YouTubeに動画アップするだけで生活できるんだ〜」とか「いいね〜、好きなことだけやれて」とか(笑)。

久志 アメリカではすでにハリウッドスターを凌ぐほどの影響力があるとされているユーチューバーですが、日本ではまだまだこれからですね。

 

ちか 登録者を増やすって、すごく地道な作業を継続する必要があるんです。ユーチューバーで生活が成り立っている人って、もう何年もやっている人ばかり。急にポッと出てきて成功しているような人がいないんです。

久志 そこにフォーカスすると、他の業界と同じで努力や技術が必要だってことがわかります。当たり前だけど。

ちか 「好きなことで、生きていく」って考えたり、憧れたりする人は多いと思うんです。でも、好きなことって急に出てくるわけじゃないんですよね。待っているだけで出会えるものでもない。

私が知る限り、好きなことを見つけて、それで生きている人は、皆ものすごく活動的な方ばかりです。自分から好きなことを探して、見つけて、そこを突き詰めていった結果として、「好きなことで、生きていく」。

久志 好きなことを見つけるコツってあるんですかね?

ちか いろいろ方法はあるんでしょうけど、私が思うのは「やってみないとわからない」かな。

私、これまでネイルサロンを経営してみたり、イベントを主催することにハマったり、いろいろやっているんですね。それも会社員と二足のわらじで。周囲や家族からは、飽き性だと思われていただろうけど、自分のなかではちゃんとつながっていて、今に至っているわけで・・・。それって簡単に言えば「やってみた」としか言いようがないんです。

久志 探究心とか好奇心とも言えますね。

ちか そう!だからってわけじゃないんですが、私は明確な目標とかゴールって設定していないんですよ。単純に「やりたいことをやる」ってだけ。目標なんてなくても、変化することを恐れなければ、想像以上のことができる。少し前の私が、会社を辞めてYouTubeに動画をアップしているなんて、想像できなかったようにです!

こちらは2014年に開始した「The Japanagos Channel」の紹介動画である。さらに、CMでも話題となった「バイリンガール英会話 Chika's English Lessons」の閲覧・チャンネル登録はこちらから!ちかさんと一緒に、今日からバイリンガルへの一歩を踏み出そう!
吉田ちか/ Chika Yoshida

ユーチューバー/バイリンガール英会話(Chika’s English Lesson)主宰。

7歳から大学卒業までの16年間をアメリカで過ごす。帰国後、大手外資系コンサルティング会社に就職、並行して2011年よりYouTube上にて英語学習チャンネル「バイリンガール英会話」を開始。2014年からは世界に日本文化を発信する「Chika’s Japanagos Channel」も開設。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。