また会いたい!と思われる人のおもてなし術「6つのポイント」

相手の行動を先回りして準備するのはおもてなしの基本。しかし、実は先回りのし過ぎも相手に負担をかけてしまうことがあるのです。

ここでは、拙著『「また会いたい!」と言われる女(ひと)の気くばりのルール』から、正しい先回りの仕方を抜粋してご紹介します。

01.
最も喜ばれるのは
「半歩先」を読む気配り

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日本には「察する」という文化があります。しかし、先回りしすぎるとフライングになり、遅すぎると意味がありません。人に対して気くばりするなら、相手の気持ちや状況を考えた、ほどよいタイミングが肝心です。やはり相手に喜ばれるのは、「半歩先」を読む程度の気くばりではないでしょうか。

いつも絶妙なタイミングで素敵な気づかいをしてくれる友人がいます。彼女が私の誕生日に老舗メーカーのペンを贈ってくれたことがありました。名前入りで書き味もよく、デザインもしゃれていて、愛用していました。しばらく経って彼女と会ったときのこと、「ついでだから買っておいた」とプレゼントしてくれたペンの替え芯を渡してくれたのです。プレゼントに同封するのではなく、なくなりそうな時期を見計らった絶妙のタイミング。まさに「半歩先」を行く気くばりです。

気くばりはさりげなく、あくまでもスマートに。「やってやった感」をにじませず、お客様本位の視点で気くばりしましょう。

02.
「○○さんだったら…」
意見は他の人のセリフに
置き換えるとマイルドになる

自分の意見を発言する時や、人にアドバイスするとき、効果的なテクニックがあります。

それは、相手の信頼する人のキャラクターを借りて、
「○○さんだったら、こうお考えになるのではないでしょうか」
「○○さんなら、こういう感じがお好きだと思います」
などという言い方をすることです。

多少耳障りなことも、角を立てずに伝えることができます。その人がどなたの意見を重視し、誰からの評価を気にしているのか、会話を注意深く聞いていると、次第にわかってきます。「女房がこう言うんだ」という方は奥様の意見、「彼が反対するからやめておくわ」という後輩は彼氏の評価を気にしています。その人の価値基準になっている人物をインプットしておき、その人物を引き合いに出すのです。

お客様目線を重視している上司には「私がお客様だったら○○がいいと思います」、彼氏の意見を気にする友人からの相談なら「私が○○ちゃんの彼氏だったら、○○のほうを喜ぶと思うな」といった具合です。相手の評価基準を先回りして把握して、そのキャラクターを使わせてもらいましょう。

03.
相手の立場になって
全力でニーズをさぐる

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日本人のおもてなしのベースには、相手の気持ちを「察する」文化が根づいています。
お客様が言葉にする前に、こちらから先回りして行動する。注文されたことだけではなく、プラスαを加えて対応する。言外の意味を汲み取って、半歩先のことをして差し上げる。日本ではここまでやって初めて気が利くと言われます。

相手が何を求めているのかを想像し、全力でニーズをさぐることこそ、日本人の気くばりのスタートラインです。日本人ならではの「察する文化」を自分のものにして、気くばり上手になりましょう。

04.
自分にとっては当たり前でも
特別に思う人がいるのを忘れずに

自分がいつも飛行機に乗っているからといって、お客様もそうであるとは限りません。自分にとっては当たり前のことも、お客様にとっては特別なことかもしれません。化粧室のドアの開け方がわからなかったり、飲み物のオーダーのし方がわからなかったり。何百回何千回とフライトしているCAとお客様の受け取り方が違うのは当然です。いつもお客様の身になってご案内するということを忘れてはなりません。

また、自分を基準にすると見落としてしまうものもあります。さまざまなお客様がいらっしゃることを念頭に置き、その方のご様子を観察しながら、自分の基準だけで判断しないで考えるようにしましょう。

05.
先回りしすぎは、大きなお世話!

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頼んでもいないことを勝手に判断し、先回りしてやってしまう。こうした対応は気くばりではありません。気くばりは先手を打てばよいというものではなく、自分の思い込みで進めてしまうと、お客様には逆に不快な思いを与えかねないのです。

例えば、お食事のサービスをする時にも、手順だけではない気くばりが必要です。CAは数量の関係上、ビジネスクラスのお客様と同じ食事をいただくことになっています。ある日の搭乗中、私はおいしいソースがたっぷりかかったお肉料理をいただいていました。その日は到着前に終えなければならない書類の整理があり、食事中もその仕事に追われていました。トレーを脇に置き、一段落したら、残ったソースをパンにつけながらゆっくり楽しもうと、楽しみにしていたのです。ところが、後輩のCAは食事が終わったものと思い込み、そのトレーをあっと言う間に片づけてしまったのです。

これが私にではなく、お客様に対してだったらどうでしょう。自分の一方的な段取りで決めつけず、お客様のペースをよく観察して、先回りしすぎない、半歩先を行くサービスをめざしましょう。

06.
優先順位を見極め
スピーディーに動く

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時間をかけてベストをねらうか、万全でなくても今が肝心と見極めてすぐ行動するか、タイミングの見極めは難しいものです。このタイミングを見あやまると、せっかくの気くばりも無駄になってしまいます。

例えば、あるフライトでこんなケースがありました。丈の短いスカートをお召しのお客様が、いったん座席についたものの立ち上がって、CAを探していらっしゃるご様子でした。私はドアサイドに立っており、お客様の素振りにすぐ気づきました。きっとひざかけをお望みだろうとピンと来た私は、少し距離がありましたが「ただいまお持ちします」とお返事し、そばにいたCAにすぐお届けするように伝えました。ところが、いっこうにお持ちする気配がありません。

業を煮やした私がお客様にひざかけをお渡しした後になってようやく、彼女がやってきました。彼女は何度もお邪魔することのないように、新聞や枕などを一式用意した上でうかがおうとして手間取っていたのです。スカートの丈を気にされているのですから、今回のような場合はまず、ひざかけをお持ちするのが先決です。でなければお客様は落ち着いて座ることもできません。

タイミングの優先順位を見極め、二度手間になったとしても、スピーディに動くという姿勢を心がけてください。

「また会いたい!」と言われる女(ひと)の気くばりのルール
コンテンツ提供元:里岡美津奈

里岡 美津奈/Mitsuna Satooka

人材育成コンサルタント。1986年全日本空輸株式会社(ANA)に入社。在職中、VIP特別機搭乗を務め、皇室、各国元首脳の接遇で高い評価を得る。2010年に退職。現在は人材育成コンサルタントとして、一般企業や病院でコミュニケーションスキルアップの指導にあたっている。

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