聴衆の記憶に残るプレゼンとは?心理学的に正しい12の方法(後編)

スーザン・ワインチェク

米ヒューマン・ファクターズ・インターナショナル社UXストラテジー部門の責任者。心理学博士。心理学の最先端研究をデザインに応用する方法を、30年以上にわたって研究し続けている。

プレゼンの成功とは何でしょうか。その1つには、聴衆の記憶に残ることが挙げられます。たとえおもしろいプレゼンをしても、プレゼン内容が聴衆に覚えてもらえなかったら、何のためにもならないからです。


記憶に残るプレゼンをするためには、聴衆の心理を理解し、活用する方法があります。その一部を紹介しましょう。

01.
細かく段落分けする

初めて訪れる場所では、行きも帰りも同じ時間がかかるのに、なぜか行きの方が長く感じます。頭を使うことは、時間を長く感じさせるのです。プレゼンがあまりに多くの頭脳労働を求めたら、聴衆はとても長い時間が経ったと思うでしょう。プレゼンは細かく段落分けして、あまり考えさせないものにしましょう。

また、たとえばプレゼンが時間をオーバーした場合など、予期しない状況でも時間は長く感じます。各パートにかける時間をなるべく均等にし、聴衆が進行状況を把握できるようにしましょう。

02.
聴衆をフロー状態にする

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フローとは、何かにすっかり熱中してその瞬間に没入し、何もかもが遠ざかって時間の感じ方が変わり、自分が何者かも、どこにいるかもほとんど忘れてしまう状態です。どうすれば聴衆をフロー状態にできるでしょうか。

心理学者のミハイ・チクセントミハイが行ったフローが生まれる環境についての研究から考えると、プレゼンでは以下のことを行うと良いでしょう。

・プレゼンにアクティビティを取り入れる
・アクティビティは手応えがあるが、難しすぎないものにする
・アクティビティに対して常にフィードバックが与えられるようにする
・プレゼン中に聴衆の気を散らすものが極力ない環境を作る

03.
20分を目安に計画を立てる

TEDの講演には優れたプレゼンがたくさんありますが、なかでも非常に興味深いのが、ほとんどのものが20分で終わること。プレゼンの理想的な長さが20分であることは、ある実験でも証明されています。

心理学者のモーリーン・マーフィーは1時間のプレゼンに被験者を参加させました。内容は同じプレゼンですが、1時間休憩なしのグループと、20分ごとに1回休憩を入れるグループに分けたのです。結果、20分ずつ区切った被験者の方がプレゼンを楽しみ、多くの情報を学んだことがわかりました。

この結果を受けて、プレゼンは20分感覚で計画を立て、その合間にアクティビティやエクササイズ、短い休憩を入れましょう。

04.
視覚、聴覚、運動感覚を
バランスよく刺激する

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人にはそれぞれ自分にもっともあった学習法があることを示すVAKモデルというものがあります。ある人は視覚(Vsual)を重視して図表や絵を見た方が理解でき、ある人は聴覚(Auditory)を重視して話を聞くと理解でき、またある人は動き回ったり物を動かしたりして運動感覚(Knesthetic)を使った方が理解できるという考えかたです。

プレゼンターは、自分の好みの学習法を重視する傾向があります。私は聴覚を用いる学習が好きなので、話の内容を耳から伝えることに重点を置きがちです。しかし、聴衆には視覚や運動感覚を重視する学習法が好みの人も必ずいます。自分と違う学習法を好む人に配慮するプレゼンをしましょう。

05.
否定も肯定もあり!
フィードバックを組み込む

心理学者のダウナーは、医師に投薬の判断をさせ、その後にすぐ正しい判断をしたかのフィードバックを与え、再挑戦させるという実験を行いました。
その調査の間、医師の脳活動を観察したところ、2パターンの脳反応が見られました。
1つは、判断ミスがわかった後の再挑戦では脳の活動を増やし、問題解決の活動を示すパターン。もう1つは、否定的なフィードバックでは脳の活動が増えず、肯定的なフィードバックに反応するパターンです。

人がフィードバックから学ぶのであれば、フィードバックを得る機会を組み込みましょう。その際には、否定的なフィードバックに反応する人と、肯定的なフィードバックに反応する人の2パターンの人たちがいることを考え、以下の点に留意してください。

・アクティビティや演習を用意し、プレゼンの内容を試せるようにする
・たとえば自分の経験を表現するなど、必ずしも正しい答えがあるわけではないアクティビティから始める。
・気楽に失敗できる環境を与え、誰かが失敗しても失敗と言わない。「間違いです」と言うのではなく「あなたがそう考えるのはもっともです。でもここでは別の考え方をしてみましょう」と言う。
・失敗して良いと前もって聴衆に知らせる。誰かが失敗したときには「人は失敗から学ぶものです。ですから、みなさんは学ぶためにあえて失敗したのかもしれませんね」と言う。
失敗におじけづかないように、小グループで活動させる。

少しの工夫で記憶に残るプレゼンはできるのです。ぜひ試してみてください。

コンテンツ提供元:イースト・プレス

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