【心理学を応用】結果の出るプレゼンとは?プロが教える6つの方法

スーザン・ワインチェク

米ヒューマン・ファクターズ・インターナショナル社UXストラテジー部門の責任者。心理学博士。心理学の最先端研究をデザインに応用する方法を、30年以上にわたって研究し続けている。

スピーチやプレゼンの計画を立てるとき、プレゼンターは聴衆が何か行動に移すことを期待します。しかし、人に行動を起こさせるのは、さほど簡単ではありません。

近年の調査によると、人の決断の大部分は無意識のうちに下されているといいます。聴衆に行動を起こさせたいなら、決断に至る心理を理解する必要があります。そのための方法を紹介しましょう。

01.
感情と理性に訴えかける

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たいていの意識決定は無意識のうちに行われます。それは決して不合理ではありません。人の直面するデータ量は、1秒ごとに何十億といわれるほど膨大で、そのすべてを意識して処理することはできないので、無意識が進化してデータの大半を処理するようになったのです。

これが「直感を信じる」ということのはじまりで、ほとんどの場合うまくいきます。無意識のうちに行動を起こすとき、多くの場合、人は感情的な理由に基づいて決断を起こします。

私は以前、とある会社のソフトウェアデザインの変更を促すプレゼンを行ったことがあります。そうすることによって、コストが削減でき、購買者のニーズに応えられるという提案でした。しかし、そのためには、現在開発中の製品を中止する必要がありました。製品担当者にとっては大きな決断です。

そのため、私はプレゼン相手と事前に面談しました。その人は、自身を「型破りに進んでリスクを冒し、逆風に向かって行くタイプ」だと思っていることを突き詰めました。そのため、プレゼンではこう説明したのです。

「この時点で製品開発を止めることは大胆だが、型破りでリスクを冒す気概のある人なら取り組むはずだ」と。このプレゼンはうまくいきました。

ただし、行動を起こす真の理由が無意識に訴えかける感情的な要素だったとしても、説明するための論理や、事実に基づく理由は必要になります。感情と理性の両面に訴えかけるプレゼンを行いましょう。

02.
「チャンスを逃したくない」
という気持ちを刺激する

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人は、自分がすでに持っているものや、もう少しで手に入りそうなものを失うことを何よりも恐れます。心理学者のバリー・シュワルツは、車の購入に関する実験を行いました。被験者をすべてのオプションをつけた車に試乗させ、次のA、Bどちらかのパターンで価格を提示します。

A:被験者にはオプションをすべてつけた車の価格を提示する。被験者が高すぎると言うときには、価格を下げるためにオプションを取り払うと伝える。

B:被験者に車のオプションなしの基本価格を提示し、各オプションの説明と価格を伝える。被験者がオプションをつけたいといえば価格が上がっていく。

この実験では、被験者はAの方法で価格を提示される方が、より多くのお金を使うことがわかりました。人はオプションのすべて揃った車を経験すると、それを持っていると感じ、失うのを嫌がるのです。

人に行動を起こさせるには、失う恐れに注目したプレゼンが有効です。損失は、人の無意識に「危険の合図」として伝わるのです。

03.
選択肢を提示するなら
3〜4個まで

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人は、自分で情報をコントロールしたと感じるのが好きです。そのため、選択肢を与えて、そこから選ばせるということは、聴衆に「自分がコントロールしている」と感じさせる有効な方法の1つです。
ただし、選択肢の数が多いほど良いというわけではありません。多すぎる選択肢は思考を麻痺させるからです。

心理学者のシーナ・アイエンガーは、スーパーでジャムの試食をさせる実験をしました。6種類のジャムが試食できる場合と、24種類のジャムの試食ができる場合を比較し、被験者はどちらの場合に、より多く試食し、購入するかを確認したのです。

結果、試食者の数は24種類の試食をできるようにしたほうが、6種類の試食の場合よりも1.5倍多くなりました。しかし、試食者が購入したのは6種類の場合が31%だったのに比べ、24種類のほうはわずか3%でした。またいずれの場合も、試食したのはそれぞれ3〜4種類でした。つまり選択肢の多さは有効に働かないのです。人が一度に記憶できるのは、そこまでなのです。

04.
ミーティングの主導権を握るなら
一番最初にしゃべり出す

グループで決断したことのある人なら、グループの有力なメンバーが会話や決断を独占するのを見聞きしたことがあるはずです。決断がグループで下されたからといって、全員が決断したとは限らないのです。

では、どういう人がリーダーシップをとるのでしょうか。心理学者のキャメロン・アンダーソンとギャビン・キルダフは学生のグループを作り、会話を録音して、自然にリーダーが生まれる状況を探りました。その結果、驚くべきことがわかりました。リーダーは、最初にしゃべった人だったのです。

もちろん、支配的な性格の人が最初にしゃべりやすいのは容易に想像がつきます。しかし、あなたの本質が支配的な性格であるか、その場にいる人のほうが支配的かどうかは問題ではありません。プレゼンターを務めるなら、最初に口を開き、ミーティングの指揮権を手放さないようにしましょう。

05.
「約80%が“非”喫煙者です」
と、
大多数の行動を示唆する

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人は何をするか決めるときに、他者の選択を気にする傾向があります。これを心理学では「社会的証明」と呼んでいます。

たとえば部屋の換気口から煙が流れて来たときにとる行動は、部屋にいる人数に作用されるのです。部屋に1人でいる場合に煙に気づくと、多くの人は外に出て誰かに知らせます。しかし、多くの人がいて、煙を無視する人が多いほど、何もしなくなるのです。

人は他者のすることをしようとするため、あなたがどんな言葉で決断を促すかによって違いが生まれます。たとえばプレゼンで禁煙を促す場合、

「2009年には、18歳以上のアメリカ人の20.6%が喫煙者でした」

「2009年には、18歳以上のアメリカ人の79.4%が“非”喫煙者でした」

という二つの言い方であれば、後者のほうが効果的です。大多数の人がしているといえば、それは心に残り、行動を促せるのです。

06.
無理な提案をしてから
レベルを下げて再提案する

「返報性の原理」と呼ばれる戦略があります。たとえば、必要な予算が2,000ドルの場合、まず決裁者に5,000ドルを要求し、却下されたのちに、2,000ドルを要求して希望通りの結果を得るのです。無理な頼みごとを拒否されたのちに、無理のない頼みごとをして、初めから望んでいた通りのものを受け取るという方法です。

何かを頼まれて拒否するとき、人は借りを負った気分になります。そのため、次に小さい要求をされると、受け入れなければならない気持ちになります。ただし、最初の要求がバカげている場合は、借りを負った気分にはなりません。

プレゼンの終わりに、この「返報性の原理」を活用しましょう。ちょっと無理そうな行動の呼びかけを行い、話の終わりに小さめな、現実路線の呼びかけを行うのです。

コンテンツ提供元:イースト・プレス

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