部屋が片付く魔法のダンボール!?大切なものを見つけ出せる『Sumally Pocket』って?

ほんのひと月前、大掃除してキレイにしたはずの家の中。いつの間にかとっ散らかっているのを見て見ぬフリしていませんか?そこで話題にしたいのが、昨年9月にローンチしたばかりの収納サービス『Sumally Pocket』です。

Sumally Pocket』とは?SumallyPocket_Box_Figure「部屋が片付く魔法のダンボール」に詰めて送れば、荷物はすべてスマホの中へ。預けたモノを取り出したい時も、スマホアプリからタップするだけ。「必要なモノは、必要な時だけ手元に。それ以外はポケットの中に」という “四次元ポケットがある暮らし” の実現を目指した、新時代の収納サービス。

このサービス。ユーザーからすると、不要なモノを預けて家がスッキリ!というメリットが際立っていますが、じつはかなり奥が深い。新時代のインフラともいうべきエポックなサービスとして注目です。

一体、どこがどうエポックなのか? サービスの発案者である、株式会社サマリー代表の山本憲資氏、すでに 『Sumally Pocket』を使っているというジャーナリストの佐々木俊尚氏、片付けが苦手なTABI LABO編集長の村上陽一による鼎談から探っていきましょう!

キーワードは、ミニマリストとシェア、それとユニバーサルサービスです。

断捨離の一歩手前
捨てるか迷ったら預けてみる

佐々木 僕はローンチ後すぐの夏頃から使っていて、4箱預けてました。先日初めて、冬物のコートなんかを取り出してみたところですね。スマホでオーダーしてから、翌日には届いた。便利ですね。

山本 ありがとうございます。佐々木さんが預けたのは衣料品が中心ですか?

佐々木 うん。あとは、登山道具などシーズンに関係するものを預けてます。おもしろいのが『Sumally Pocket』を利用することで、不要なものが見えてきたこと。コートを出すついでに預けたアイテムを見直していたら「この道具は、もう要らないな」って。すぐには捨てられないものを一旦見えないところに置いておくことで、本当に不要かどうかジャッジすることができた。

村上 断捨離の予備軍ですね。

佐々木 そう、予備軍。ものを必要と不要に完全に分けるのって案外難しくて、その中間にあるものをどうするかってのが問題。それを検討するきっかけとしても『Sumally Pocket』は機能する。このサービスって、単に部屋が片付くとか、家庭の省スペースに役立つっていう以上の意味があると思います。

預けたものは、
自動的にデジタルカタログ化

SumallyPocket_Image_1

山本 『Sumally Pocket』では、預けたものをスタッフが箱から出して、一つひとつ撮影します。ユーザーは写真を見て、必要なものだけを引き取れるんです。一覧で眺めているとクローゼットを広げているような状態になるわけですが、持ち物を俯瞰して見ることで、「ああ、自分はこういうものが好きなんだ」と気づくきっかけにもなるそうで。サービスを通じて、自分と向き合う時間を作りだせるのも面白いなと。

村上 確かに。単体では手に入れた文脈がわからなくても、一覧で見ることで共通点が見えてきそうですね。

佐々木 僕の登山用具もとにかく種類が多い。しかもどんどん増えてきちゃうものだから、何を持ってたかわからなくなる。それが体系化されて百科事典のようになるのはうれしいですね。自分の持ち物が、組織立ってわかるという。
ちなみに、利用者の年齢層はどのあたりが一番多いんでしょう?

山本 30代が中心ですね。

村上 家族ができて、ものが増えたりすることで、だんだん問題意識が芽生えてくる頃だ。

山本 正直、ガンガンものを捨てられる人は『Sumally Pocket』を使おうとは思わないかもしれませんね。洋服や本が預けられるものとしては一番多く、やっぱり一定数捨てられない人はいるものですよ。

捨てるよりも大切なのは、
必要なときにだけ取り出せること

村上 そもそも山本さんが『Sumally Pocket』をはじめたきっかけって、なんだったんですか?

山本 クラシックミュージックが好きで、CDを1500枚ぐらい所有していたんですよ。それが6年ぐらい前に、全部iTunesに入れて、CDを捨てちゃったんです。すると、音楽体験がリッチになった。1000枚以上CDを持っていても、頻繁に聴くのって取り出しやすい場所にある10枚程度で、古いものを引っ張り出して聴くってことなかったわけです。ところが、iTunesに入れて、iPhoneで音楽を聴くようになると、膨大なアーカイブからどれでも簡単にピックアップできる。結果、音楽を楽しむ時間も増えたんです。

村上 『Sumally Pocket』もそれと同じですよね。

山本 そうなんです。「ものがない生活」というより、ちゃんと選択肢を持って、必要なものを必要なときに取り出せるライフスタイルを標榜しているんですね。それこそが本当に豊かな生活だと思うんです。

ミニマリストでも断捨離でもない
『Sumally Pocket』の本質

Rear view of man relaxing on chair at home

佐々木 最近だとミニマリストが注目を集めているけれど、山本さんが考えているライフスタイルとはちょっと違う、と?

山本 ええ。ちまたで最近言われているミニマリストのコンセプトって、ちょっと極端だと思うんです。現実的にみんながその身軽さを享受できるかというと、そこまで現実的じゃない。

佐々木 それ、わかります。『僕たちにもうモノは必要ない。』(ワニブックス)で知られる佐々木典士さんなんかは、洋服も6着ぐらいしか持っていないと言っていました。彼自身はすごいと思うし、なかなか普通の人は真似できない。

村上 僕なんか全然無理ですね。

山本 でしょう? 僕もです。例えば、断捨離という言葉を作ったとされるやましたひでこさんは、断捨離ってなんでもかんでも捨てることじゃなくて、豊かになるためにすることだ、とおっしゃっています。まさに『Sumally Pocket』ってそういうイメージなんです。
先ほど佐々木さんが言っていたように、一旦思考を整理して、そこから必要なもの、不必要なものを整理するっていうのが、本質だと思うんです。

優れた物流と国土の狭さ。
日本だからこそのサービス

村上 その本質的な部分に気づく人って、増えてきているとは思うんですが、まだまだ少ないとも思うんですよ。肌感覚として。そこで気になるのが、文化的な意味だけでなく、ビジネスとしてのスケール感です。
『Sumally Pocket』のダンボールって1箱1ヶ月300円、取り出す際には800円で届けてくれるという価格設定ですが、僕はこれ、かなり安いと思っていて……。

山本 もちろん、採算分岐点などは見ていますが、ビジネス面で見た時にヒントになるのって、ものを預けるっていうサービスを広く捉えることかもしれません。例えばトランクルームの市場って日本は約500億円、アメリカは約2兆円と言われているんですよ。そして、日本では年10%ぐらいの勢いで成長しているんです。

佐々木 ただアメリカの2兆円っていうのは、車社会との結びつきが背景にありますよね。不要なものを車に詰め込んでトランクルームに運び込むので、サービスを利用しやすい。一方、国内だとトランクルームに車で行っても、駐車場代がかかるなど面倒が多い。

山本 そこを補うのが日本の優れた物流システムだと思うんです。最初に佐々木さんが言ってくれたように『Sumally Pocket』は、都内であれば翌日には段ボールが届くようになっています。このように、物流システムは現在でもとても優秀だと思いますし、これからさらに進化していくでしょう。そのシステムを利用して、ますます便利になっていくはずです。

ものを必要としない世代の
「本当に必要なもの」

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村上 ここまでの話で、「世代」がひとつのキーワードになると思うんです。というのも、TABI LABOのメンバーって20代が多いんですが、彼らに『Sumally Pocket』の話をしてもイマイチ響かないんですよ。そもそも、ものを持ってない。CDもないし、洋服もそんなに持ってない。

佐々木 TABI LABOのメンバーは極端な人が多いよね(笑)。さきほどのミニマリストに近い人もいる。

村上 1/4はシェアハウスに住んでますからね。ある意味、先端。でも、アラフォーの自分から思うに、彼らって所有の体験が少ないがゆえに、「本当に必要なもの」を選択する目が養われにくいんじゃないかなとも思うんです。

山本 たしかに、今の若い世代がものを持ってないのって、ちょっとデフレの影響があるというか、必ずしも豊かな感じはしませんよね。でも、それは経年変化の問題かもしれませんね。年齢をある程度重ねることで、自然とものは増えてくるし、結婚や子どもが生まれるなどライフステージが変わるとなおさらですし。
だから、今すぐに『Sumally Pocket』のユーザーとならなくても、将来的にはなる可能性がある、と考えています。

「もの」の家系図をつくろう

佐々木 ものを捨てるって、どこか「いけない」感じがするんですよね。お金はいらないから誰かタダでもらってくれないかなと思うことがある。自転車やソファをヤフオクで売ったことがあるんですが、普通は宅配便なんかで送ってしまうところ、直接会って渡したことがあるんですよ。話をして、この人にあげてよかったなと感じました。

村上 ほしがる人に譲りたいし、オーナーを継いでもらいたいイメージはありますね。好きだからこそ捨てられなくて。

佐々木 ゴミになるのを見たくないっていう思いが、愛着としてあるんじゃないかな。自分が所有していなくても、誰かがそれを大事にしてくれるのならそれで十分幸せという感覚はある。

村上 顔が見えていると付加価値がありますよね。ものとしてシェアするだけではなくて、元のオーナーがどうしていたかが価値として残る。

佐々木 ものの家系図がつくれるかもしれない。元をただせば、これは2000年から使われていたもので…みたいに。

山本 ビンテージジーンズなんかだと、すでに存在していますね。カスタマイズした自転車なんかもそう。価値を高めていくというよりは、すでにある価値を最大限に活かすことがまだできていないところって、たくさんあるんでしょうね。

佐々木 『Sumally Pocket』は、そういったものを価値を高めていく可能性も秘めていますよね。

ダンボールのデザインあれこれ

SumallyPocket_Storage

村上 ちょっと話を変えて。サービス面ではなく、プロダクト面の話なのですが、ダンボールのデザイン、難しかったんじゃないでしょうか? あまり色があってもいけないと思うし、さじ加減が難しそうなプロダクトだなと。

山本 手元にあって違和感のないデザインでありながらも、置いておきたいと思わせるほど色があってもいけないですからね。なんせ僕らは預けてもらわないといけないので(笑)。適度にダサくした方がいいのではという話も出たくらいです。

佐々木 そもそもが、ダンボールって異物感のあるプロダクトですよね。

山本 現在、Amazonでも5枚〜10枚セットで販売しているのですが、デザインは変わっていくかもしれないですね。ジャストアイデアですが、ダンボールに「ここの1件の家賃はいくらですか?」とメッセージングしてみるのも面白いかなと。

村上 デザインはひとつでなくてもいいかもしれませんね。いくつかバリエーションがあってもいいし、面白さから広がっていくかもしれない。ダンボールにも、とにかく一回取り寄せたくなるような、プロダクトとしての魅力があるところが、『Sumally Pocket』って素敵だな、と。

都市文化とユニバーサルサービス

村上 ここまで話を聞いて思ったのは、『Sumally Pocket』は都市文化のサービスなんだなということです。日本は地方も含めて都市文化的ですよね。

佐々木 日本ほどユニバーサルサービスを大事にする国はないよ。テレビがいい例ですが、難視聴地帯にまで徹底的に対策して観られるようにするじゃないですか。郵便だって限界集落にもきちんと時間どおり配達してくれるし。

山本 海外だと土地の広さもあって、全土では難しいでしょうね。とはいえ都市単位であれば可能性はあります。物流が機能するのであれば、海外での展開も進めたいところです。

村上 あらためて考えてみると、日本って異常なくらいインフラが整っているんだなあ。

山本 例えば軽井沢に翌日配達って、スゴいことだと思いますよ。アメリカの山奥に送ったら、3日かかってもおかしくないし。カンタンに預けて取り出せる『Sumally Pocket』は、日本のユニバーサルサービスに支えられてるところはありますね。

ものとの距離を離すことで
本当に大切なものを見つけ出す

Total relaxation. Side view of handsome young man sitting at the

佐々木 ITの話ばかりしていると、「あいつは人間性までコンピュータに吸い込まれるんじゃないか」って悪口言われたりしません? でもそれって違いますよね。そんなどうでもいいことは全部クラウドに押しつけて、最後に残ったものを大事にしようってことなんだと思う。

山本 逆にアナログになっていくということですよね、僕もそう思います。

佐々木 最後に残るものって、こうやって実際に人と会って話すようなリアルなコミュニケーションだったり、あるいは大好きな革ジャンの肌触り、お気に入りのスニーカーの履き心地みたいなものでしょう。デジタルで音楽を聴くんじゃなくて、重いレコードをプレイヤーに乗せて、自分で針を置いて聴く行為自体が残るような。そんな皮膚感覚に近いものじゃないのかな?

Sumally Pocketというサービスの本質って、断捨離とかミニマリストを推進することではなく、本当に大事なものが何かを見つけたり、ものとの付き合い方を考えなおすこと、にあるんじゃないでしょうか。

山本 憲資

サマリーCEO

一橋大学商学部卒業。電通、コンデナスト・ジャパンでの『GQ JAPAN』編集部を経て、2010年4月、物欲刺激SNS「Sumally」を運営するサマリーを設立。
https://sumally.com/
https://pocket.sumally.com/

佐々木 俊尚

作家 ジャーナリスト

『21世紀の自由論ー「優しいリアリズム」の時代へ 』『レイヤー化する世界』など著書多数。キュレーターとして、Twitterで情報技術やメディア、社会について積極的に発信している。

村上 陽一

TABI LABO
クリエイティブディレクター

 

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