恨むなら「気候」を恨め。鼻が低いのは高温多湿な土地で育ったから

クレオパトラの鼻がもう少し低かったら歴史は変わっていた──。とは、フランスの哲学者ブレーズ・パスカルの有名な言葉。けれど、実際のところ彼女の鼻の高さで歴史が変わることは、どのみちなかったようだ。

というのも鼻の形状(高い低い)は、暮らしている地域の気候ごとに進化したものなんだとか。

鼻の形状は、
緯度によって変化する

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欧米人の鼻の高さに比べてアフリカ系の人々、さらには我々日本人も含むアジア人の鼻が低い。ほとんど万人が抱いている共通認識。これには、ちゃんとした裏付けがあった。

人間の鼻の形は、それぞれの地域で自然環境に順応するために、最適な形状へと進化したもの。

2016年6月「American Journal of Physical Anthropology」に掲載された、ノーステキサス大学ヘルスセンターの研究者らによる論文によると、北欧など高緯度の地域に暮らす人ほど、高くすらっと細い鼻の持ち主。これに対し、赤道に近い場所で生活している人の鼻は平たく幅が広いことが結論付けられた。

この鼻の形状を定義するのが、地域ごとの温度や湿度、つまりは自然環境が大きく影響を与えているということだ。

温度、湿度に適応する
重要な役割が鼻腔にあり

ではなぜ、地域によって鼻の高低差がついたのだろうか?この研究の詳細を報じた「Mental Floss」は、寒冷の北欧に暮らすヨーロッパ人の細い鼻は、低温で乾燥した空気を加熱、加湿する役割があるとする専門家の意見を紹介している。

曰く、吸い込んだ冷たい空気が鼻腔(鼻の穴)を通るとき、鼻粘膜によって湿気が加えられ、粘膜へ流れてくる血液により温められているそう。これは、冷たい空気が直接肺に入ることを避けるための機能。鼻腔が狭くなれば、その分鼻も大きくなることから、緯度の高い(寒冷地)の人の鼻ほど細く高くなるというロジック。

いっぽう、熱帯地域の人々は高温多湿なため、すでに周りの空気が十分に湿気を含んでいる。暖かく湿った空気は、直接鼻腔の奥へととどくため、鼻の果たす役割も少なくて済む訳だ。

113年分の気候データから検証
幅広の鼻は体温を下げる役割

ところが、今回の研究において指揮をとった人類学者のスコット・マダックス博士は、低く幅広な鼻も北欧ヨーロッパの人々と同じように、「多湿に耐えうる進化だ」と主張する。

同博士らは、1901年から2013年までの世界の年間平均気温、相対湿度、絶対湿度をベースに、膨大な気候データを分析しビッグデータを再構築。その後、世界147カ国、15,000人以上の鼻を計測した1923年のデータと比較することで、熱帯地域に暮らす人々の鼻も、高温多湿に合わせて進化を続けてきたことを証明してみせた。

高温多湿になればなるほど
日本人の鼻は低くなる!?

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「2016年7月は観測史上最も暑かった」とNASAが発表したように、世界の平均気温は20世紀より1.57℃上昇しているという。それは日本でも。長期的には100年あたり1.16℃の割合で上昇しており、1990年以降、高温の年が頻発している、ことが気象庁のデータからも見てとれる。

このまま高温多湿が襲うようだと、未来の日本人の鼻は必然的に低く幅広になるということか。これはもう、気候を恨むほかない。

温度、湿度と鼻の進化の関係性。クレオパトラが仮に北欧生まれでもない限り、彼女の鼻の高さも、歴史も、やっぱり変わることはなかったのでは。

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