なぜ「北海道の住所」には、珍しいものが多いのか?

地図や鉄道関連の本に多く携わってきたフリーライターの今尾恵介さん著書『番地の謎』(光文社)では、日本の住所表記について掘り下げ、歴史や傾向について詳しく紹介しています。

今尾さんは本書のなかで他の都府県とは違い、独自の表示方法を持つ「北海道の都市」に注目。いわゆる屯田兵村や植民地として発達をしてきた「北海道の地名」の特徴とは?

※以下は光文社知恵の森文庫『番地の謎』を再編集したものです。

札幌の住所は
「算用数字」が一般的

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札幌の住所には、次のようなパターンが多くあります。

札幌市中央区北1条西2丁目(札幌市役所)

北海道の場合は算用数字が多く使われており、市街地図でも多く、「北1条西2丁目」といった表記が一般的です。北海道では住所が、北8条でも西12丁目でも誰も気にしませんし、戸惑いません。

それどころか、略称で「南2西7」のように表示されることも多くあります。そういえば、札幌市営地下鉄の駅名も「北24条」など算用数字が正式となっています。

ちなみに、北海道では武士の失業対策の意味合いも込めて、開拓と防衛を併せた任務をもつ屯田兵の制度が設けられ、明治8年(1875)に現・札幌市西部の琴似に初めて屯田兵が設置されました。

その後、明治32年(1899)の士別および北剣淵・南剣淵地区に至るまで、石狩・空知・上川各市庁(現・総合振興局・振興局)管内を中心に全道で37の兵村が設置され、計4万人が入植していました。

屯田兵村とは別に一般の入植地として、明治22年(1889)の大水害で土地を失った奈良県十津川村から600戸が現・新十津川町の地域に入ったのを皮切りに入植が続き、北海道内の「国有未開地」の開拓が進められたのです。この「未開地」こそが先住民の生活の場であったことを忘れてはいけません。

条・丁目と、東西南北

次に、札幌の住所表示の仕組みについて。

まず、札幌では東西の通りが「条」と名づけられています。大通りを起点として北は1筋目が北1条、2筋目が北2条……と北上して北51条まで、南は同様に南39条まであります。ちなみに公園をはさむ2筋の通りが「大通り」で、これが事実上の「0条」ということになります。

1ブロックは、通りの幅員(道路の幅)を除いた正味の寸法が1辺1町(1丁=60間、約109m)の正方形で、街区によっては中間に路地が1本はさまっています。それぞれの条・丁目の道路は標準サイズで10間=約18mだから、当時としては、かなりゆとりを持った設計だったといえます。

また、南北の通りは「丁目」となります。起点は南から北へまっすぐ流れる創成川で、これより東へ行けば東1丁目、東2丁目、西へは西1丁目、西2丁目……となっています。ただし「条」の起点・大通りが「ゼロ条」であるのと異なり、丁目は創成川の両側の通りがそれぞれ「西1丁目」「東1丁目」です。

明治11年(1878)までの札幌では、通り名に固有名詞がついていました。たとえば北1条が「浜益通」、南1条が「渡島通」、西4丁目が「小樽通」、西6丁目が「室蘭通」など、いずれも道内の地名が採用されているのです。

旭川・帯広などの住所も
条・丁目

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北海道の市街地の住所表示は、基本的には札幌と同様のところが多いのですが、当然ながら違いがあります。

【旭川市】
駅前から200m北の東西の通り、つまり旧・西部旭川店に面したバス通りが1条通で、そこから北へ2条通、3条通……と加算するので、南北はつけません(路線の南側は忠別川)。東西は、旧市街の西端にあたる旭川赤十字病院の東側の通りから1丁目、2丁目と数えます。旧市街の東端が26丁目で終わりますが、昭和通、緑橋通、中央橋通などと固有名詞がついているものも多くあるのが特徴です。このように旭川市街には東西南北がないので、住所の表示もだいぶシンプルな印象です。なお旧市街の西に隣接する地区は◯条西◯丁目、北に隣接する地区は◯条東◯丁目と表示されています。

【帯広】
条が南北通り、丁目が東西通りで、札幌や旭川とは逆。このため「東1条南20丁目」といった表示になります。

【その他の都市について】
屯田兵などの開拓村起源の都市では条・丁目方式が多いのですが、その他の港町や炭鉱都市など、たとえば函館や小樽、室蘭、三笠、歌志内などの住所のシステムは完全に「内地風」であり、函館の栄町や末広町、小樽の相生町や稲穂など、アイヌ語起源でないもののほうが多い印象があります。

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