倫理的な問題も・・・「サルの頭部移植手術」が実施へ
中国、ハルビン医科大学の外科医Xiaoping Ren氏は、2013年に世界で初めて実験用マウスの頭部移植に成功した人物だ。これまでに約1,000頭ものマウスで移植手術をしており、今度は同じ方法をサルに応用する予定だという。
こちらは2013年7月にRen氏が手掛けた10時間に及ぶ頭部移植の様子だ。
結果、マウスはすぐに呼吸を開始、1時間後には体も動き、更に数時間後には目を開いたという。頭と体の色が違う様子には驚く。
※動画では、実際の手術の様子が含まれています。ご注意ください
Reference:The Wall Street Journal
Ren氏の移植手術は、世界的にも大きな話題となった。しかし、注目すべき点は、マウスが術後1日ほどで死亡していることだ。「ウォール・ストリート・ジャーナル」の記事によれば、Ren氏自身も今回のサルの頭部移植手術も「少しの間でも、自分の力で息をしてくれれば」との見解のもと、計画を進めているという
当然、倫理的問題はある
この手術を倫理的に批判する声は当然大きい。Ren氏は、Dr. Frankenstein(ドクター・フランケンシュタイン)と揶揄されることもしばしばだ。
ニューヨーク大学の医学倫理教授Arthur Caplan氏は「発想が根本から馬鹿げている」と、手術そのものもさることながら、発想自体を批判している。同じくアメリカの脳神経外科協会会長であるHunt Batjer氏も「Independent」に「私は今回のような手術を誰にもすすめない。死よりも酷い結果になるだろう」と語っている。
なお、じつは1970年に一度サルの頭部移植は行われている。ケースウェスタンリザーブ大学で行われたRobert White氏による実験では、頭部移植後のサルを8日間延命することに成功したそうだが、脊髄の接続が上手くいかず拒絶反応が現れ、呼吸も身動きも出来ないまま死に至ったそうだ。
それでも、頭部移植技術の推進を望む声があるのも事実。いずれにせよ、 Ren氏は2015年夏の手術に向けて、準備を進めているところだという。
Reference:The Wall Street Journal , DIGITAL JOURNAL , Independent